2019年2月22日金曜日

じんわり日本映画「半世界」&「きらきら眼鏡」

こんにちは。
朝、「あれ?あったかい・・・」
夕方、仕事が終わって外に出ると、「あれ?明るい・・・」
そして降りだしたのは、雪でなくて雨。
これ。
これってもしかして。
・・・・春?
いや、まだだけど。
盛岡の冬はそんなに甘くないけど。
それでも、ほんの少しづつ春が近づきつつあるようですね。
今年は雪が少なくてだいぶラクでしたが、
やっぱり春は待ち遠しい!
かさばる厚手のアウターを早く脱ぎ捨てたい!
来週はもう3月に入ります。
気持ちがちょっとだけ上がってきますね♪
が、3月1日にはもう「ドラえもん」が公開に(*_*;)
ほんと早いなあ(/_;)
春の定番「ドラえもん」が落ち着くころは、もう4月。
そして4月公開の「クレヨンしんちゃん」「名探偵コナン」へと怒涛のアニメロードが続く中劇です。
6月、一息ついたら夏の「ポケモン」
が終わったら秋!?
・・・なんて自分で言っててめまいがしました。
一年て・・・・ほんとあっという間ですね(-_-;)
あまり考えないようにします。。。

さて。
このブログが混雑状況のお知らせばかりになる「ドラえもん」の公開前にご紹介しておきたい作品がありました。
「半世界」
(C) 2018「半世界」FILM PARTNERS
舞台挨拶のご案内しかしていませんでしたが、
実はこの映画、すっごく良かったんです。
観終わったあと、じんわりと、しんみりと、心にしみる。
ストーリーは、本当になんてことないお話なんですよ。
田舎に住む、40歳前後の私や、あなた。
あるいは親や友達や親戚や、誰もが経験する状況、出来事、そして人生の物語。
一言でいえば、「圧倒的な共感」
なんとなく親から継いだ仕事。
妻にまかせっきりの家事や子育て。
暮らしはラクではないけれど、ごくごく普通の家族。
のはずが。
元自衛官の旧友がひっそり帰郷してきたことにより、
見えないフリをしてきたことに向き合わなくてはいけなくなったり、
大事なことに気づいたり、
何かがちょっとだけ変わってきます。
みんなそうなんですよね。
私もそうです。
面倒くさいことは後回し、あるいは見ないフリ。
でもいつか、何かのきっかけで向き合わなくてはいけなくなる。
そして、自分の存在なんてちっぽけで、世の中にそれほど影響は無いって思っていたけど、
ある日、気付く。
みんながそれぞれどこかに、何かに、誰かに、
関わって、影響して、何かを少しづつ変えているんだってこと。
それは、その小さな町から出たことのない狭い世界にいる主人公も、
人間を、そして世界を見てきて何かに絶望しかけている友人も、
わりと世の中を知ってるつもりになっている(でも実は全然知らない)私も。
この映画に描かれていることは、
実際、誰にでもあることなんです。
商売がうまくいかないのも時代のせいだからまあしょうがない、
しかも息子がいじめられているのにいまいちピンときてないというダメ夫にイラつく奥さんが翌日の弁当に「バカ」と書く仕返しや、
映画館も風俗もない小さな町で一緒に育ってきた幼馴染と浜辺でじゃれあうたわいない時間。
そんな、なんでもない日々のどうってことのない出来事に見えていたものが、
実はすごく大切でかけがえのないものなんだと、
私たちはいつ気付くのでしょうか。
こうやって映画を観たりして、そのときは頭ではわかっていても、
たぶん自分のことになるとやっぱり大切なものを本当に大切なんだと実感するのは意外と難しいのかもしれません。
そんなことを、この映画ではセリフや説明では一切語りません。
ただ、ごく普通のとある家族と、どこにでもいるような仲間の一瞬を切り取った、
そんな映画です。
(C) 2018「半世界」FILM PARTNERS
その町の観光名所をさりげなく回るような「風景の美しさ」もない、
イケメンと美人のキラキラした恋愛模様ももちろんない、
あるのは、圧倒的な緑の森と、じっくりと時間をかけて炭を作る光景、
そして、小さな町に暮らす市井の人々の生活。
なのに、全然飽きない。
風呂上がり、チェックのパジャマに着古したパーカーを羽織り、頭にタオルを巻いてミカンを食べる妻(池脇千鶴)のリアリティ。
→これは昨夜の私の姿!
帰っていくいじめっこを見ながら息子に向かって「いい子たちじゃないか」と言ってのける無神経な父親(稲垣吾郎)への既視感。
→私ら世代の父親はたいていこんな感じだったと思います。
親ではない大人とのちょっとした交流だけで何かが変わってくる中学生の小さな世界の息苦しさ。
→あるよねえ!あの時期特有の、そこが全てなんだと絶望してしまう視野の狭さ。
そして、「炭ってこうやって作るのかー・・・」と感心したり、
「男子ってほんといくつになってもバカだよねー」とニヤリとしたり、
逆に「男子っていつもどうでもいいことばっかり喋って、大事なことは全然話さないんだなー」と思ったり、
石橋蓮司が演じる「やんちゃな父ちゃん」、こういう人いるよねー!とか、
お姉ちゃんの結婚相手!!と笑ったり。
そんな小さな積み重ねのすべてになにがしかの共感を覚えつつ、
クスッと笑い、ハッとしながらも最後は心を揺さぶられる、
味わい深い映画です。
監督は「どついたるねん」原田芳雄さんの遺作となった「大鹿村騒動記」
吉永小百合さん主演「北のカナリヤたち」などの阪本順治監督。
私はこの監督の、初期の「ビリケン」「顔」あたりがすごく好きなんですが、
最近では(と思ったらおととしでした( ゚Д゚)!)中劇で上映した「エルネスト」も良かったです!https://moriokachugeki.blogspot.com/2017/10/blog-post.html
そういえば、金大中の拉致事件をもとにした「KT」や、
タイを舞台に幼い子供たちの臓器移植や売買春を描いた「闇の子供たち」とかの骨太なガツンと痛い映画もありましたね!
この方は、舞台や背景はさまざま、メジャー系作品もあればミニシアター系もあり、
豪華キャストで大がかりなセットを作った大規模なものもあれば
役者の魅力にズームした小さなものも撮る、
とにかく映画が好きでたまらない映画職人といった感じの方なのですが。
一貫して言えるのは、どんな大きなテーマでもどんなにお金がかかった映画でも、
「そこにいる人」と、「その周りにいる人たち」を丁寧に描き出していることなんじゃないかと、私はいつも思っています。
〝事件”〝出来事”ではなくて常に〝人間”を見つめているなと。
だからこそ、稲垣吾郎(元SMAP!)に、田舎の炭焼き職人をやらせたら面白いんじゃないかとか、
長谷川博己に闇を抱えた元自衛官をやらせてみたいと思ったりとか、
あまり思いつかないような意外な、
演じる本人たちでさえこの役がきたことが不思議と言っているようなキャストで、
でもその結果、素晴らしいアンサンブルとハマリ役で、
心に沁みる味わい深い作品が完成したんでしょうね。
吾郎さんは、どことなく王子さまの雰囲気を持つ存在感でありながら、
今回は『SMAP』という鎧を脱ぎ、『スター』のオーラも封印して、
頭にはニット帽かタオル、
身にまとうのはくたびれたワークベスト、
顔には無精ひげを生やして、
ぼんやりと毎日をやり過ごすダメ夫でダメ父のアラフォー男性を、
ごくごく自然に演じています。
(C) 2018「半世界」FILM PARTNERS
長谷川博己さんに至っては、
途中からもうこの人から目が離せなくなってしまったくらいのカッコよさに驚きました。
派手なかっこよさではなくて、いつのまにか惹かれて夢中になっていたというような、
内からにじみ出るそこはかとない色気に衝撃でした。
朝ドラ「まんぷく」にも出演中、
来年は大河ドラマで主演と、今、最も注目の俳優さんですね。
いやあ~・・・いいもん見た!
この方を見れただけで大満足、くらいの良さですよ♡
(C) 2018「半世界」FILM PARTNERS
そして、デビュー作「大阪物語」のころから大好きだった池脇千鶴さんが、
中学生の息子を持つ母親役を妙に生々しいリアルさで演じているのも感慨深かったし、
(C) 2018「半世界」FILM PARTNERS
名バイプレイヤーとして数々の作品で個性を発揮する渋川清彦さんは、
去年、中劇で上映した「泣き虫しょったんの奇跡」(良かった!!)に続いて今回の作品でも「それが大事」(大事MANブラザーズバンド)を熱唱しているのが笑えるし、
(C) 2018「半世界」FILM PARTNERS
ほかにも石橋蓮司竹内都子など個性的で、でも「そのへんにいるいる!」と思うようなリアリティで「その場にいる」脇役たちがいい味出してます。
・・・って、また語りすぎた(>_<)!
そんなこんなで、実は年代を選ばないこの映画。
酸いも甘いも噛みわけたシニア世代の先輩方はもちろん、
主人公と同年代の私やみなさんは「共感」しかないと思いますし、
若い人たちにもじんわりと、ほろ苦くてせつないけど胸に残る素敵な作品になることでしょう。
迷っているなら、ぜひ観てくださいね!
http://hansekai.jp/



「きらきら眼鏡」
(C) 森沢明夫/双葉文庫 (C) 2018「きらきら眼鏡」製作委員会
なんと、気が付いたら2月の中劇、『池脇千鶴特集!』になってました。
スクリーン1では、中学生の息子を持つ田舎のお母ちゃんを、ずっと変わらない「モンスター級の普通さ」という武器で演じきった『半世界』
スクリーン2ではこちら「きらきら眼鏡」
恋人の死を乗り越えられない青年と、
余命宣告を受けた恋人と向き合う女性の、
ひたむきな恋と人生の物語。
見たものぜんぶを輝かせる“きらきら眼鏡”をかけているという、
いつも笑顔で前向きな、
これまた普通にそのへんを歩いてそうな事務員あかねを「モンスター級の普通さ」で演じています。
私も大好きなデビュー作「大阪物語」から「ジョゼと虎と魚たち」「そこのみにて光輝く」など、
変わらない圧倒的な普通さと、どんな役でも消えない透明感、
そしてそれぞれの作品で『その場所に暮らす女性』として、
役にリアルな説得力を与える存在感でコンスタントにキャリアを重ね、
すっかり大人の素敵な女優さんになりましたね。
相手役の金井浩人くんはなんと、この映画の撮影時はまだ事務所にも所属していないガチの新人。
そして、余命宣告を受けた恋人には安藤政信
彼は、ちょっと芸能活動から遠ざかったような時期もありましたが、
このところ立て続けに映画やドラマに出演していますね。
俳優という仕事に対して、最近やっと本気で向き合い始めたと語っているのを見ましたが、
それこそ私は、この安藤政信さんが北野武監督「キッズ・リターン」でデビューを控えた新人のときに舞台挨拶でお会いしたのがいまだに自慢です( *´艸`)
早いなあ!「キッズ・リターン」も20年以上前か(*_*;)
原作は、「津軽百年食堂」「ふしぎな岬の物語」「夏美のホタル」など数々の作品が映画化されている森沢明夫の小説。
「半世界」に続きこちらも、決して派手ではないし、大事件や大どんでん返しもない、
「そこに暮らす普通の人々」を描いた、
じんわりとしんみりと心に残る作品。
原作者の熱烈なオファーで抜擢された監督が、
小説の舞台であり原作者の地元でもある船橋で撮影した、
いろんな愛にあふれた映画です。
https://kirakiramegane.com/movie/


今回は久しぶりに、個人的にすごく肩入れをしてしまうメンツばかりなので長くなりましたね(^_^;)
2月3月と、個性的でバラエティに富んだ作品が続く中劇です。
気温も暖かくなるころなので、
ぜひ劇場に足を運んでくださいね!


★中劇公式サイト PC→http://www.chugeki.jp/携帯→ http://www.chugeki.jp/mobile