2021年11月25日木曜日

結果、壮大なる匂わせになってしまった件。

こんにちは。
言霊(ことだま)。
口に出すことって、大事だよね。
好きなもの、欲しいもの、そして要望。
みなさん、どんどん口に出して言っていきましょう。
ほんと、マジで。
と、しみじみ感じている今日このごろ。
前々回、「黒いチラシばかりで嫌!キラキラとかおしゃれ系とか上映したーーーい!!」
と、この場でほぼ愚痴のような心の叫びを書き連ねてしまっていた私でしたが。
・・・・・結果、それが匂わせになってしまったことをお詫びします。。。
書いた時点ではまだ何も決まっておらず、
この12月はどっしりと黒く、噴火と呪術の映画だけで終わるのかなと思ってたんですよ、ほんとに。
そしたらいきなりバタバタと映画が入ってきたんです!
「キラキラがやりたーい!おしゃれな音楽映画とかやりたーーい!若者がたくさん来る映画もくださーーーい!!」
と、しょっちゅうスタッフたちが天に向かって(?)叫んでいたので、願いが聞き入れられたんですかね!
一気に決まりました(*'▽')/
音楽映画2本青春映画心震わす人間ドラマ
そして三浦春馬くん特別上映まで。
・・・・・ていうか急に入れ過ぎじゃね(゚д゚;)!?逆に!!
ってくらいに。
こちらからアクションを起こしたものもあるし、
これまた中劇あるあるでたまたま、棚ボタ的なものだったりもあるんですが、
なんだっていい!もうこの際、お客さんがあんまり来なくたっていい(!?)!!
「中劇、いつもなんかイイ感じの映画やってる!」
ってイメージ!
それさえキープできればいい!
・・・・の気持ち。
志が低いですか?
いや、いいんです中劇は。
長い時間かけてやっと、今くらいの質の良い映画をコンスタントに上映できるようになったんですから。
スクリーンが2つしかないので、子ども向けアニメが入ると一気に上映コマ数が減ってしまって上映できる作品が少なくなりますけど、
それでも「常に次に観たい映画がある映画館」を目指してますんで( `ー´)ノ
たとえお客さんが少なくたって、いつも何か面白そうな映画を上映していきたいと思ってます!!
というわけで、
上映までもうすぐという時期に急遽入ってきたものから年明けの目玉になりそうな楽しみな作品まで、ざざっとご紹介していきますね!

なんと、公開まで1週間、12月3日公開のものがいくつか決定しています。
まずはこちら。
12月3日公開
「エリック・クラプトン ロックダウン・セッションズ」
(C) 2021 Bushbranch Productions Ltd All Rights Reserved (C) Dave Tree
・・・・・え、うちでやっちゃっていいんですか!?
エリック・クラプトンですよ!?
世界的なミュージシャンのなかでも大御所中の大御所じゃんっ(゚д゚)!
「アメリカン・ユートピア」に続き、音楽映画のテッペンきちゃってません!?
ていうか、どうした!?中劇(゚д゚;)!?
この数か月、「勝手に音楽映画祭」やっちゃってます。
この映画は、コロナ禍でライブが中止になってしまったことにより、
無観客のアコースティックライブを行うことにしたエリック・クラプトンの姿に密着。
みなさん、予告観ました!?
「ティアーズ・イン・ヘブン」のイントロがポロロン・・・♪と響いただけで鳥肌!
なんでしょうね、この方のギター!
そしてあの声!!
激シブ!!!かっこよ(゚д゚)!!!!
なんて言ったらいいか、、、、、沁みる?細胞の奥に溶けていく?
エリック・クラプトン
初めてこの方の名前を知ったのはいつだったか。
たぶん、〇十年前、私がまだナウでヤングなピチピチの女子大生だったころ。
バイトしてたおしゃれな居酒屋のお髭の店長さん(そういえばアマチュアバンドをやってたなぁ。)がお店でいつも自分の好きなCDをかけていて、
あるときめちゃくちゃカッコいい曲がかかったので「これ、誰のなんて曲ですか?」と聞いたら「クラプトンだよ。〝いとしのレイラ”今日、CD持ってったら?」と言って貸してくれたのが、ギターの神エリック・クラプトンとの初めましてだったのだと思います。
それからは、ギターのことやエリック・クラプトンがどれだけすごい人なのかなんてことは全くわからないまま、なんとなくいつも聴くようになったんですよね。
そして私が初めて自分で買ったクラプトンのCDが、
30年前に発売されたアコースティックライブのこれ。
買ってから今まで、ずっとプレーヤーの近くに置いてあるヘビロテCDになってます。
ぼんやりしたいとき、やらなきゃいけない何かがあるとき(たとえば夜、このブログを書いたりね)、すっごく落ち着くお気に入りのCDです。
あ、観てからちゃんと書きたいと思ってたのにすでに語り始めちゃってました(;'∀')
とにかく今回、映画館という空間で、まるでアコースティックライブを生で観ているような感覚でエリック・クラプトンのギターと歌声をじっくり堪能できるなんて最高です!
ほんと楽しみ!!

12月3日公開
「ショップリフターズ・オブ・ザ・ワールド」
(C) 2018 SOTW Ltd. All rights reserved
これ、気になってたんですよねー(*‘∀‘)
伝説のバンド〝ザ・スミス”の名曲と貴重なインタビューで80年代が蘇る!
未来への不安と、自分を探して彷徨う刹那を描いた珠玉の青春音楽映画。
中劇、「おしゃれな音楽映画特集」、なぜか突然始まっちゃってます♪
マイケル・ジャクソンマドンナシンディ・ローパーカルチャークラブ・・・
私が初めて目にした洋楽の世界は、
カッコよくて色鮮やかで、ド派手な映画みたいに華やかだった。。。
そのころはインターネットもユーチューブも携帯電話ももちろん無くて、
たまたまテレビで見かけた洋楽のミュージックビデオが次いつ見られるかわからない、
さっきかかってた曲が、誰のなんていう曲なのかも調べることすらできない、
そんな時代。
この映画の予告を見たとき、
映画「グーニーズ」の主題歌を歌ってたシンディ・ローパーに衝撃を受けて洋楽に目覚め、
中央郵便局の向かいにあったレンタルレコード店で洋楽のレコードを借りてはカセットテープに録音してたあの頃を思い出した私でした(´ー`)
レコード・・・・あ、歳バレます?
いや、もう歳なんてどうでもいいのだ!
この映画はもう、
「エモい!おしゃれ!懐かしい!」
それだけでOK!
私は青春映画大好き×絶賛思春期だった80年代を思い出す×ファッションも音楽も楽しみ!
ってことで早く観たいなー!!!!とワクワクしています♪
こういう映画が観たかった(*‘∀‘)
公式サイトhttps://sotw-movie.com/

12月31日公開
「明け方の若者たち」
(C) カツセマサヒコ・幻冬舎/「明け方の若者たち」製作委員会
ヤッターーーーーーー(≧▽≦)!!!!
待ってましたの、今をときめく若手俳優たちが出演する「イマ」が舞台の日本映画!!
北村匠海!!(ガチイケメン!!)
黒島結菜!!(マジで好き!!)
青春映画!!(大好物!!)
という文句なしの一本。
リアルで痛いに違いない。
誰もが古いかさぶたを剥がされるに違いない。
でも、ダメだとわかっててもどうしても引っ張ってしまうささくれのように、
どうしても気になる映画です。
楽しみすぎるーーーーー( *´艸`)
公式サイトhttp://akegata-movie.com/

1月28日公開
「前科者」
(C) 2021 香川まさひと・月島冬二・小学館/映画「前科者」製作委員会
キターーーーーーーー!!!!
有村架純、中劇に降臨!!
嬉しいなあ(*´з`)
有村架純も好きだし、ゴー・モリタ(森田剛)も出るし、
今、私が激推し中の磯村勇斗まで出るってか!!
そして「監察医 朝顔」(観てましたーーー!!!面白かった!!)の原作者が描く感動作を、「あゝ、荒野」岸善幸監督が映画化ですよ?
絶対観たいじゃん!!
しかもこれ、ドラマ版がすでにWOWOWにて放送・配信開始してるんです♪
だけでなく、毎週土曜よる10:30各話放送後、
WOWOWオンデマンドとアマゾンプライムビデオで見逃し配信中!!!
(WOWOW→
アマゾンプライム→
・・・・というわけで、私。
見ました( `ー´)ノ
たまたま、アマゾンプライム入ったばっかりだったんですよ!
私が大昔から事務所推し継続中のJ事務所から先日デビューした某アイドルグループ「Nにわ男子」の密着ドキュメンタリーをアマゾンプライムで独占配信中なのでね( *´艸`)
もちろん見たいじゃないですかー(?)!!
迷わず、即、入りましたけどね(*´з`)
え?自担はまた別G(私が応援しているグループはそれとは別、という意味)ですけどね?
事務所の後輩は応援しなきゃだし、
イケメンは地球を救いますからね♪
推しはたくさんいたほうが毎日ハッピーですよ!
推しなんか、なんぼあっても困りませんからねー(´ー`)/
(→ヲタクの戯言はスルーしてください)
とにかく、だから入ったばっかりだったんです、アマゾンプライム
なんてナイスタイミング!!
タイトル通り、「前科者」たちの更生・社会復帰を目指す保護司を描いた作品。
現在、1話目の見逃し配信中。まだ間に合う!
面白いです!
せつないけどユーモアがあって、
クスッと笑いながらもギュッと胸をしめつけられるストーリー。
さすがWOWOW、キャストも豪華。
みごたえ抜群!そして1話30分。見やすい!!
そこから始まり、映画へとつながっていくお話です。
・・・・・・これは絶対に、このドラマ版を観てから映画を観たほうがいいやつ(゚д゚)!!
WOWOW契約中の方はもうそのまま見られるし、
アマゾンプライムなら1ヶ月は無料お試し可能、その後は月500円でアマゾンの配送料が無料&配信されているドラマや映画が見放題!
・・・・・って、アマゾンの布教をしているわけじゃないんですけどね(;'∀')
でも観ておいたほうが、映画もより楽しめるというもの。
みなさんもぜひこのドラマ版を観て、準備万端にしておきましょうね♪
公式サイトhttps://zenkamono-movie.jp/

それからまだある!
12月11日のみ限定上映
公開1周年特別上映「天外者」
(C) 2020 「五代友厚」製作委員会
春馬くんがスクリーンに蘇る!
なんだかせつなくなっちゃいますけど、
やっぱり春馬くんは映画館のスクリーンがお似合いですね。
朝ドラ「あさが来た」では、おディーン様(ディーン・フジオカ)が演じて社会現象にもなった五代友厚。
この映画では激動の幕末を駆け抜けた青春群像劇として描かれています。
私も見逃してた作品なので、スクリーンで復活してくれてよかった!
ここからもうこれ以上、歳をとることのない春馬くんの笑顔も目に焼き付けて。。。

そして12月10日から1週間限定上映
「劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ」
(C) 2017 ビックウエスト/劇場版マクロスデルタ製作委員会
現在、かなりの数のリピーターのみなさまに支えられて絶賛上映中の「劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!」がいよいよ終了。
ということで、最後にこちらの旧作を上映して有終の美を飾ってもらおうという企画。
悪くないでしょ(*´з`)
もうすでにこの作品の公式HPが最新作「絶対LIVE!!!!!!」に上書きされていて上映のお知らせができないので、
地道にSNSなどで告知するしかありません。。。
マクロスファンのみなさま、ぜひ告知をお願いします!!


というわけで。
やっば!!
ついこないだまでは中劇、年末の作品が少なくてしかも色みが暗すぎて文句タラタラだったのに、
なぜかいきなりめっちゃイイ感じのラインナップになってません!?
ジャンルも、音楽からおしゃれ若者人間ドラマまで充実!
最高です。
私らスタッフのモチベーションも上がるというもの!
やっぱり、自分が楽しみにしていた映画とか、
いろんなお客さんが来てくれる作品とかを上映しているとテンション上がるんですよねえ(*‘∀‘)/
本格的に寒くなってきましたが、
めげずに劇場へ足を運んでみてください!
気分は晴れるし、暖房費も節約になるし、目の保養にもなるし(?)、悪くない。
長い冬に突入する盛岡ですが、
ひとつひとつ楽しみを見つけて、春まで乗り切っていきましょう♪

最後にお知らせ。
上映が延期になって公開日が未定だった「ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021」
公開日が決定しました!やっと。
3月4日公開!!
ムビチケの販売も再開しています。
すでにムビチケをお持ちの方はもちろんそれで観られますので、
3月まで大事にとっておいてくださいね。
それと、中劇は29日から12月2日まで上映機器の入れ替えのため、
連日の上映時間の変更などありますので、
上映スケジュールをご確認いただきご来場くださるようお願いいたします!
1館ずつの作業なので、全体での休館はしないですむのですが、
期間中は1スクリーンでの上映になるので、各作品の上映回数が減ってしまいます(/_;)
それでも12月3日からの怒涛の新作ラッシュには間に合わせようと必死なので、
何卒ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます!
どの作品も1回は回せるようにスケジュールを組んであるので、お許しくださいませ
!!
スケジュールはこちらからご確認くださいね♪
中劇公式サイト PC→http://www.chugeki.jp/


2021年11月12日金曜日

必見!心揺さぶられる大人の映画2本。

こんにちは。
なんだか暖かい11月ですね。
コタツが壊れたけど全然平気!助かる!(それは買いましょう。)
地球温暖化がどうのと、たまに思いついた時だけ言ってはみるものの、
やはり寒いよりは暖かいほうが、
雪は多いより少ないほうが、助かりますもんね。
背に腹は代えられない。
なるべく暖房も使いたくないのよ。灯油も高いんで(>_<)!
ごめんね、北極の動物たち!
そんな自分の薄っぺらい環境への配慮の後ろめたさから、
このごろ白クマのぬいぐるみやマスコットばかり買ってしまいます。。。
つい先日も、でっかいモチモチの白クマちゃんをお迎えしてしまいました♪
絶滅危惧種を我が家で保護(?)!!!
・・・でもそんなことよりも、このままコタツを買わずにひと冬越したほうが電気代が抑えられて環境に優しいのか?
いや、やはりコタツを新調して石油ストーブの設定温度を下げれば良いのか?
それともたくさん着こんで、食事は毎日鍋もの!?
などとしょうもないことばかり考えている11月でした。
というわけで結果、暖房費の節約のため、
なるべく家にいないように映画を観ます( `ー´)ノ
・・・・決意表明。

そんなこんなで、気が付いたら11月もなかばです。
中劇でも私自身が楽しみにしていた作品いろいろ始まっちゃってました(*_*;)
前から、がっつり映画の感想書くために資料も読み込み、
劇場で映画も観て、テレビでやってた特集も見て。
と気合が入ってたんですが。
結局こんな時期に(/_;)
ほんとはもっと早く書かないと映画の宣伝にならないんですけど。。。
月末は・・・・カンベンしてください!!
これでも一応、仕事あるんで(;´Д`)
と、精一杯の言い訳をしたところで、
まずはすでに観たい人は観てしまったであろう10月29日から上映中のこちら。
「モーリタニアン 黒塗りの記録」
© 2020 EROS INTERNATIONAL, PLC. ALL RIGHTS RESERVED.
すごかったですね。
アメリカ同時多発テロを引き起こしたメンバーとされ、
テロリストを中心に収容するグアンタナモ収容所に拘禁された青年モハメドゥ(モーリタニア人=モーリタニアン)の、地獄のような投獄生活。
司法手続きなしに長期拘禁され、厳しい尋問や拷問を強いられる様子が、
本人の手記をもとに描かれています。
2015年に出版されたこの手記。
アメリカ政府による検閲で多くが塗りつぶされたもので、
しかも出版当時はその著者はまだグアンタナモに収容されていたという異例尽くしのこの本は、
瞬く間にアメリカで大ベストセラーとなり、
その後、世界20か国で翻訳され刊行されました。
そしてこの手記をどうしても映画化したいと名乗り出たのが、
そう!我らがベネ様!
イギリスの至宝!ベネディクト・カンバーバッチだったのでした。
© 2020 EROS INTERNATIONAL, PLC. ALL RIGHTS RESERVED.
さすがです(*‘∀‘)
ベネ様クラスの超一流俳優になると、プロデューサーとしての腕も一流なんですね!
当初、自身の映画製作会社でプロデューサーに専念するはずだったのが、
完成した脚本に感銘を受けて、やっぱり自分も出たくなっちゃったという。
そして、そこはベネ様でよかったー!!!の満点以上の素晴らしさ。
親友が9・11でハイジャックされた機に搭乗していたという怒りと、法律家としての正義に悩みながら起訴を担当するスチュアート大佐(実在の人物!)の役は、
このベネ様しか考えられない!
そして最初はあまり乗り気でなかったはずが、調査を始めると次々出てくる驚愕の真実に弁護士としての使命や正義を揺り動かされる主人公ナンシー(こちらももちろん実在!)役のジョディ・フォスターがまた完璧にハマり役!
© 2020 EROS INTERNATIONAL, PLC. ALL RIGHTS RESERVED.
この稀代の名優二人のバッチバチの演技対決はシビれます。
でもこれ、弁護士vs軍の検察官の裁判対決ではないし、
犯人を捜せ!でもない。
お話は、複雑なようでいてごくごくシンプル。
9・11の容疑者として拘禁された一人のモーリタニア人青年モハメドゥの容疑に対して、
その不当な長く厳しい拘禁生活を軸に、
弁護士と検察官、それぞれの立場からまっすぐに事実を見据え、
いろいろな葛藤や困難に見舞われながらもお互いの正義を貫いて真実に辿り着こうとする姿を描きます。
その描き方はまさに中立であり公平。
モハメドゥを真ん中にジョディ・フォスターベネ様、両方の立場からまっすぐ真摯に疑問や真実に向き合います。
実在する登場人物が存命で、しかも実際の出来事からそれほど時間がたっていない実話ものの映画化は難しいと言われていますが、
この作品では原作に忠実なだけでなく、
著者モハメドゥ弁護士ナンシー・ホランダー検察官スチュアート・カウチ大佐本人たちが脚本の段階から関わりチェックしているので、
こちらの想像以上にリアルで、細かい部分まで誠実に作られているというのが画面越しにも伝わってきます。
エンディングでは、このご本人たちが登場して現在の様子を見せてくれています。
モハメドゥの大きく朗らかな笑顔も、
弁護士ナンシーの美しく凛とした佇まいも、
スチュアート大佐の柔らかい物腰のなかに秘めた芯の強さも、
それぞれ演じた役者と驚くほどリンクしていて、
私は画面を見ながら、思わず大きく頷きました。
監督も数々のドキュメンタリーで高い評価を得ているケヴィン・マクドナルド
エンタメの要素を盛り込みながらも、ヒリヒリとした緊張感とクールな眼差しで、
弁護側と検察側双方に同じ熱量で向き合います。
生々しい事実の暴露や激しく悪を糾弾するような形での作り方ではなく、
誰にでも起こりうるだけに衝撃が強いこのテーマを、
冷静かつドラマティックにスリリングに描き、
心を揺さぶる人間ドラマに落とし込んでいるのがすごい。
声高に人権を叫ぶわけでも、テロへの報復に囚われて暴走するアメリカを擁護するわけでもない。
この明らかなる中立の目線は、イギリスの製作会社によって製作され、監督もイギリス人だからこその公正さによるもの。
なんかこの、冷静で客観的な事実の描き方、最近もあったなあ~・・・と思ったら。
「クーリエ 最高機密の運び屋」も、
「ONODA 一万夜を越えて」も、そうでした。
事実をもとにした実話の映画化で大事なのはやはり、
片側からの一方的な語り口ではない冷静で客観的な目線ですよね。
それが、事実をよりリアルに浮かびあがらせ真実を描くことにつながるのだと思います。
そういえば「クーリエ」では、ベネ様はソ連に拘禁され拷問を受ける役を演じていましたし、
そもそも国交断絶したキューバにアメリカ軍の基地があり現在も収容所を使っているというのも〝アメリカがキューバの独立を援護した見返り”だったので、キューバ危機を題材とした「クーリエ」に関係しますね。
この秋の「中劇・漢(おとこ)祭り」、さりげなくいろいろつながってましたね!
今、気付いたけど(;'∀')
ちなみに、次にご紹介する「サウンド・オブ・メタル」の主人公ルーベンを演じているパキスタン系イギリス人のリズ・アーメッド
彼は2006年にマイケル・ウィンターボトム監督の「グアンタナモ、僕たちが見た真実」に出演、アルカイダのメンバーと間違われ、グアンタナモに送られた青年を演じていて、
こちらもさりげなくつながっていて、まるでわざと特集したみたいになってますね。
もちろん偶然だけど(*‘∀‘)
話がそれたので戻しますが、サブタイトルにもあるようにこの作品は、
都合の悪いことを黒塗りで潰して強引に事実を捻じ曲げ一人の人間の人生を変えてしまった大きな国家と権力の闇を描いた映画ではありますが、
政治も宗教も人権もとりあえず脇に置いておいて、
一人の人間としての尊厳や、真実に向き合い正義を全うしようとする者たち(それは実際に国家と闘った人たちだけでなく、この映画を誠実に作ろうとした人たちも含めて)のパッションと真摯さに心をゆさぶられる作品でした。
ていうかこの映画、なんでアカデミー賞に全然ノミネートもされなかったの!?
ゴールデングローブ賞にはノミネートも受賞もあったんですけどね。
そんなところにもアメリカの闇をチラッと感じたりしつつ、
それもまた面白いじゃねーか!と思ったりする映画ヲタクでした。
© 2020 EROS INTERNATIONAL, PLC. ALL RIGHTS RESERVED.
現在、グアンタナモを強化して拷問などを合法化しようとしていたトランプ政権から、
グアンタナモの閉鎖に動こうとしているバイデン政権になったアメリカですが、
自由と民主主義を謳う大国アメリカが今後この問題をどうしていくのか、
今までグアンタナモについてそれほど詳しく考えたこともなかった私も、とても気になる問題となりました。
こうしていつも、映画から世界のこと、政治のこと、国際問題のことを学んでいる私です。
今回の映画についても、もっと書こうとすれば書けるんですが、
こういった実話ものは特に、書けば書くほど陳腐になるというか、
自分の語彙の無さと知識の薄さに失望して先に進めなくなるのでやめておきます。
それに、お話がシンプルなだけにあまり細かいことを説明しようとするとこの映画のせっかくのスリリングで臨場感のある映像体験が半減してしまいますからね。
まだ観てない方はぜひ!
爽快なラストに胸がいっぱいになる、重厚な人間ドラマです。
公式サイトhttps://kuronuri-movie.com/


もう一本、この秋絶対に観たほうがいい、大きく心を揺さぶられる人間ドラマ。
「サウンド・オブ・メタル」
© 2020 Sound Metal, LLC. All Rights Reserved.
この映画は、とにかくすごい。
小説でもマンガでも映画でも、その世界観のなかに入っていこうとするときこちら側は必ず、自分が役に入り込むか、客観的に追うのかを選択することになるのですが、
作り方によっては最初から主人公目線で描かれていたり、
ナレーションありきの作りだったり、いろいろですよね。
そしてこの映画はというと、完全に自分が主人公。
観ている観客が主人公になって、彼が目に見えているものや聴こえてくる音を感じます。
描き方はクールですが、もう始まってすぐから私はこの〝ゴリゴリにタトゥーが入ったアジア系イケメンのドラマー”になってました。
メタルバンドの激しい演奏、恋人の声、コーヒーを淹れてスムージーを作る音、街の喧騒。
毎日、当たり前に耳にしていたさまざまな音が、ある日、聞こえなくなってくる。
主観的なカメラの使い方と、主人公がその瞬間に実際に聞こえている音を組み合わせることによって、観客自身がそれを体感しているような疑似体験状態に。
聞こえていた音が徐々に聞こえなくなってくる様子、
そのことに戸惑いつつも冷静でいようともがく自分、
新しい世界に踏み出さなければいけないことはわかっているけどどうしても受け入れられない葛藤と、
すこしずつ見えてくる本当の自分と周りの人々とのつながり、
そしてわずかな希望にすがって無理をして手に入れたものと、
その先にあるものー。
「音を聴く」のではなく「音を感じる」
「聞こえなくなっていくことを実感する」
そして「聞こえないことを感じる」不思議な体験。
これは、家のテレビでは半減してしまう音響効果。
さすが、アカデミー賞で音響賞を受賞しただけあります。
絶対に劇場で、大きなスクリーンで、最上級の音響設備で観たほうがいい、
いや〝体感”したほうがいい映画です。
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主人公ルーベンが選んだ道は、正しかったのかそうでなかったのかはわからないけれど、
すごくわかる!その気持ち、よくわかるよ!とせつなくなります。
もう最悪!人生終わりだなんて思ったときに限って、
もしかしたら!とか、きっとこうすればすべてがうまくいくのでは?
と、少しの可能性に賭けてみたくなるもの。
そこからの後半はせつなく、胸がギュウッと苦しくなりましたが、
決して重く暗いお話ではありません。
悪い人は全然出てこないし、むしろみんなそれぞれに自分の事情を抱えながら常に周囲の人たちのことを思いあっていて、温かくて素敵。
シビアな現実や、やるせない出来事に見舞われながらも、
誰かと心が通じる瞬間の輝きや、子どもたちと戯れるときの笑顔、
静けさのなかに感じる希望をスクリーンに焼き付けて、
主人公ルーベンを自分の中に感じる2時間。
「なんか、すごいの観たね。」
この映画を観たあと、スタッフSさんと交わした言葉です。
その次に二人ともほぼ同時に口から出たのは、
「ていうか、ルーベン(主人公)めちゃくちゃカッコよくない(゚д゚)!!??」
「だーかーらーーーーーー(゚д゚)!!!!!」(→イントネーションは盛岡弁で。鼻濁音の〝か”にアクセントです。)
まあ、口を開けばイケメンの話ばかりしている私とSさん。
とはいえ、好みが全く違うので好きなタイプがカブることはまず無いのですが。
・・・今回はカブりました。
「いや、マジでかっこよかったよね!」
もうみなさん、それだけで観る価値有ります( `ー´)ノ!!
映画を語ってたと思ったら急にイケメンの話でチープになりましたけど。
でもそれも大事な要素。
彼、リズ・アーメッド
上の「モーリタニアン」のところで少し出しましたが、
マイケル・ウィンターボトム監督の「グアンタナモ、僕たちが見た真実」で長編映画初出演(それもすごい)、
なんと「ローグワン/スターウォーズ・ストーリー」「ジェイソン・ボーン」にも出てたりしますが、
絶対にこれからキます!!絶対!!
観ておいたほうがいい!
なによりとにかくカッコいいし!!(?)
この役が、また彼の持つ雰囲気にピッタリですごくいい!!
内に秘めるタイプの、多くは語らないけど不器用でまっすぐな男子。
最高です。好みです♪(は?)
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ルーベンの恋人役オリヴィア・クックもまたいい!
「レディ・プレーヤー1」の彼女ですが、
前に中劇では若かりしころの彼女の作品「サラブレッド」を上映していました。
あのときは普通にギャルで、「また若くてイキのいいの出てきたな」くらいだったんですが。
今回、少し大人びて、ファンキーななかにも複雑な表情を見せる魅力的な女性を演じています。
彼女の気持ちもわかるーーーー(/_;)!!!!
で胸がしめつけられて泣きそうでした。
お互いがお互いを思いやるその気持ちがせつなくて。
© 2020 Sound Metal, LLC. All Rights Reserved.
今年の米アカデミー賞では作品賞・主演男優賞・助演男優賞・脚本賞・音響賞・編集賞の6部門ノミネート。
受賞は音響賞(これは文句なし!)と編集賞の2部門にとどまりましたが、それはしょうがない!
なにしろ最優秀作品賞は「ノマドランド」(仕方ない!)だし
主演男優賞はアンソニー・ホプキンス(これも仕方ない!)だし
脚本賞だって「プロミシング・ヤング・ウーマン」(中劇でやったしね!!)だし!
だからもう、結局のところ受賞したのと同じですわ(?)
それに、受賞以上にすごいのは、主演男優賞にノミネートされたリズ・アーメッド。
オスカーの主演男優賞にノミネートされた最初のイスラム教徒であるということ。
いま、イスラム教徒への風当たりが強いのはアメリカだけではありませんが、
世界中でイスラム教の信者が多いのもまた事実。
それこそアカデミー賞では最近、女性クリエーターや黒人、アジア人もノミネート・受賞が急激に増えてきてはいますが、なんとなく世間の空気を読んだ感じがしなくもない。
それでもエンタメ業界の頂点ともいえる米アカデミー賞で、
人種や性別・宗教なんかの区別なく作品や個人が評価されるようになってきたことは素晴らしいこと。
もっともっと間口が広がればいいのにね!
この作品は、世界中でバリアフリー字幕付き(聴覚障がい者も映画を楽しむための字幕)で上映されており、日本でも上映するすべての劇場でバリアフリー字幕付き上映。
ふだんはあまり映画を積極的に楽しめないという方にもぜひ映画館で観る映画を堪能していただきたいです。
周りにもしもそんな方がいたらこの映画を教えてあげてくださいね!


さてさて、今年ももう残すところ1か月ちょっとということで、
ほんとに、コロナだろうが不景気だろうが時間というものは容赦ないなとせつない気持ちになりますが、
そんなつまらないことはえいっとどこかにぶん投げてやって、
日々、小さな幸せにちょっとずつ満足しながら過ごしていこうと、
固く心に決めたBBA(→ババアの意味らしいです。親戚の女子中学生に教わりました。)の年末でした。
そして、やっぱり思ったことは口にしたほうがいいよね!
と実感したこの数日。
前のブログで「黒いチラシばかりじゃなくてキラキラがやりたい!若い子が劇場に来るような映画をやりたい!おしゃれな映画がやりたい!」
天に向かって叫んだ(?)私でしたが、
それが結局、壮大なる匂わせになってしまったことをお詫びします。
あの時点では匂わせではなかったんですが(;'∀')
次回、ちゃんとご紹介しますね。

さ!
やっと書き終わったからおやつ食べよう(*´з`)
今回も更新するまでだいぶ時間がかかっちゃいましたが、
中劇ではできる限り上映期間をゆっくり取ろうといつもがんばってはいるので(たとえあまりお客さんが入らなかったとしても、良い映画は長くやってたくさんの人に観てほしい!・・・・作品が多すぎてどうにもならないときや、あまりにもひどいときはさすがに切りますけど。。。)
のんびりお付き合いくださいませ。
充実した秋を、そして年末をお過ごしくださいね!


中劇公式サイト PC→http://www.chugeki.jp/