2019年6月28日金曜日

「凪待ち」は石巻&「ハッピーアイランド」は福島の映画です。

こんにちは。
6月も終わりですね。
ということは、今年ももう半分終わり。
・・・・・。
何、してたっけ?
「一年て、あっという間だなあ」
なんて言いますけどね。
もう私くらいになると、
「十年なんて、あっという間だなあ( ;∀;)」
です。
先日、飲みの席で親しくなった方(もちろん女子)と、
実家が近所で小学校も同じということが発覚し、
干支を聞かれて答えたところ、
「あ、同じー!!タメですかねえ!?」
と言われ。
・・・・・・。
言いたくないけど、マジ言いたくないけど。
でも、そこはごまかせない。
無駄に正直なのが、私のいいところ。
「・・・・・・・いや、どう考えても一周り違うよね」
と言ったら。
急に敬語に(-_-;)
・・・だから。
だから言いたくないのよね!
別に、歳を隠したいわけでもごまかしたいわけでもないんだけど、
そうやってせっかく仲良くなれそうかなあと思ったのに、
年上とわかったとたんの敬語。
それが嫌なんです!
桃井かおり先生が仰ってます。
「女は、30過ぎたら同い年」
とね。
ほんと、そうだと思います。
私なんて、頭の中はずっと中2ですけど、
実際の体感でも二十代後半からあとのことなんて全部去年くらいの感じです。
三十路に入ってからの十年なんて、一瞬なんだよおぉぉぉ(;´Д`)!!!
みなさん、歳を聞くのはいいけれど、
思ったよりいってても敬語にならないで!!
マジ、おねがいします!

ゴホン。
ひたすら切ない年齢の話は置いといて。
さてさて、いよいよ公開。
「凪待ち」
(C) 2018「凪待ち」FILM PARTNERS
〝慎吾ちゃん”が去年の春、この中劇に来てくれてから1年ちょっと。
(https://moriokachugeki.blogspot.com/2018/04/blog-post_13.html)
今、彼の主演映画を、ここ中劇でロードショー上映できる。
しかも監督は今、とにかく発表する作品すべてが話題になり、大ヒットし、
俳優たちがこぞってその映画に出演したいと言う注目の人、白石和彌
こんなに嬉しいことはありません。
また中劇、でかしたと褒めてやってください。
さて作品ですが、もうこの監督の映画ならとにかくなんでも観るよという方も多いと思いますが、
この白石監督と、俳優・香取慎吾の化学反応は、
私たちが想像した以上にすごいものでした。
スクリーンには、よく考えたらハッと気付く、
いつの間にか40歳を越えていた〝慎吾ちゃん”がいました。
そしてそれは、私たちが30年も見続けてきた、
天真爛漫で、大きな笑顔のアイドル〝慎吾ちゃん”ではありませんでした。
〝誰も見たことがない香取慎吾がここにいる”
まさにその通り。
老若男女、なぜか彼だけはいつまでたっても何歳になっても「慎吾ちゃん」なんですが。
今回、この『凪待ち』では、絶対に「慎吾ちゃん」とは呼べない、
40過ぎの、やさぐれた、ダメ男がそこにいました。
去年、舞台挨拶で中劇に来てくれたときも見せてくれていた、
いつものあの大きな笑顔は完全に封印。
全然笑わない。
よれよれの服、
青白くて生気の無い顔に無精ヒゲ。
「西遊記」とか、「こち亀」とか、「慎吾ママ」慎吾ちゃんではなく、
「クソ野郎と美しき世界」でもまだ見られなかった、
『俳優・香取慎吾』の顔でした。
(C) 2018「凪待ち」FILM PARTNERS
大河ドラマ『新撰組!』では主演して、
近藤勇の役もやったんですけどね。
でもそういった、いわゆるヒーローでもなくて、
それよりさらにもう一段階上の役者のステージに上がった感じ。
今回、ノーメイクで挑んだ〝普通の男”〝ダメ男”みたいな役こそが、
もしかしたら彼がずっとやりたかったものなのかもしれないですね。
そしてそこは、監督も実は狙っていたようですし、
監督自身、本当はずっと撮りたかったテーマでもあったようです。
バイオレンスとか、狂気とか、そういうイメージのある監督ですが、
静かな、人と人との繋がりや家族の話を、
いつか撮りたい、撮らなくてはいけないと思っていたそうです。
殺人事件がキーになっている作品ではありますが、
実は誰が犯人なのかということはあまり重要ではなくて。
「凶悪」「虎狼の血」で日本アカデミー賞を騒がせた白石和彌監督ですからね。
堕ちていく人間を描いた作品が多かった白石監督ですが、
「人間が這い上がる姿をちゃんと描いてみたかった」
と語っています。
そして、それが似合うのが「香取慎吾」だったと。
ちょうど新しい始まりを迎えた「俳優・香取慎吾」を、
ダメ男を描くオリジナル脚本で、
しかも被災地・石巻で撮ることに、
きっと大きな意味があったのでしょうね。
オープニングから、何かが起こりそうなゾクゾクする感じ。
この監督にしては珍しく、そこまで血が出ないヒューマンドラマとはいえ、
絶望、裏切り、不条理、生と死、
そしてどうしようもない人間の業というようなものを、
生々しく、目をそらさずに描き出してくるのはさすがです。
体制への怒りや反抗心をむきだしにして問題作を作り続けた鬼才・若松孝二監督に師事していた白石監督です。
作風にも「ザ・昭和」の映画人の匂いがプンプンしてますもんね。
私は大好きな時代の映画ですけど。
70~80年代の日本映画は最高です。
ヒリヒリして、ゾクゾクして、何が起こるかわからない感じ。
そういった、ちょっとアナログでめんどくさい、
でもすっごく刺激的な人間の描き方をするのが昭和のロマンポルノやATG(1960年代~1980年代まで非商業主義的な芸術作品を映画製作・配給していた映画会社)の作品で日本映画を牽引してきた監督たち。
白石監督は、それをじかに体で感じて取り込んで、熟成させたそれを今、まさに放出し続けている監督です。
〝香取慎吾”の撮り方も、
泥臭くて人間臭くて生々しいし、
あくまで背景という〝被災地・石巻”の描き方も、
リアルで、痛くて、せつない。
だからこそ、どうしても映画として、スクリーンで観たい。
そういう作品になっています。
内容的にも、雰囲気的にも、暗く重くてエンタメ感に乏しい感じがありますが、
監督曰く、
「香取慎吾がそこにいるだけでエンタメ感は満杯」
とのこと。
たしかに。
この、無精ひげを生やしてやさぐれた青白い顔でも、
この〝慎吾ちゃん”を観るだけでもじゅうぶんに劇場に足を運ぶ価値があるし、
作品としても、心がえぐられるようなリアルな痛みのなかにも、
容赦ない絶望の先の小さな光を感じられるような、
強くて優しい映画です。
(C) 2018「凪待ち」FILM PARTNERS
今年の2月に上映した〝吾郎ちゃん”稲垣吾郎主演の「半世界」然り、
残念ながら中劇では上映しませんでしたが〝つよぽん”草彅剛主演「まく子」然り、
あの、伝説の国民的アイドルだった三人が、こうして見事に『ダメ男』を演じたこと、
日本を代表するそうそうたるメンツの監督たちに必要とされ、
そしてそれぞれがそのアイドルという鎧を脱いでもこうしてその個性や才能を発揮してスクリーンで輝きを放っていること、
それが心から嬉しく、素敵なことだなあと思います。
私がSMAPの大阪城ホールのコンサートに行きたいと母親に泣きついたのは、
慎吾ちゃんがまだ小学生のころだったから、
もう・・・・・・・〇十年前(゚Д゚;)ノ
嘘でしょ!?
平成、飛び越えてるじゃん(*_*;)
そんなこんなで、とにかく観ましょう、この映画。
気になってる方は迷わずGO。
この白石監督の作品は、見れば必ず心に何かが刺さってくるものばかり。
そして、一年に数本の作品を送り出してくる、
しかもどれも観る者を唸らせる「面白い」ものばかり。
次はどう来る!これはどうするつもり?
そんなふうに次回作が楽しみな監督は、なかなかいません。
それはぜひ自分の目で、スクリーンで確かめてみてください!
一つだけ注意。
パンフレットは、観る前に買ってもいいけど読まないで!
観終わってから、じっくり読んでください。
余談ですが、白石監督、実は当初、大船渡をイメージして脚本を書き始めていたんだそうですよ( ゚Д゚)!
でもできあがったストーリーはもう少し大きな町を舞台にしたものになったので、
石巻になったそうです。
大船渡・・・・!
慎吾ちゃん主演×白石和彌監督で、岩手が舞台の映画!!
ぜひそちらのバージョンで撮っていただきたかった・・・・(;´Д`)!
公式サイトhttp://nagimachi.com/


明日公開はもう一本。
「ハッピーアイランド」
(C)ExPerson2019
「凪待ち」宮城県石巻市
こちらの「ハッピーアイランド」福島県須賀川市
が舞台です。
中劇得意のミラクルな偶然ですが、
明日公開の作品2本が、被災地が舞台の作品になりました。
こちらは、3.11以後の福島の農家を舞台に、
実話から着想を得た、ほろ苦くてほのかに甘い青春譚。
これが初監督作である福島県須賀川市出身の若い監督が、
原発事故による風評被害を受けながらも農業を営み続けた自身の祖父の姿を見て企画した作品。
主演は若手注目株の吉村界人
ドラマ「GIVER」での、ちょっと頭のいかれた孤独なテロリスト役が強烈に印象に残ってます。まさに〝狂気”でした。
彼が恋するヒロインには、「SAYURI」チャン・ツィイーの少女時代を演じて一躍時の人となった大後寿々花
ドラマ「セクシーボイスアンドロボ」のコメディエンヌぶりがかわいかった彼女ですが、
子役からすっかり大人の女優さんに成長していました。
主人公を叱咤激励しながら温かく見守る指南役には萩原聖人
ドラマ「はいすくーる落書き」で出てきた時の彼はめっちゃかっこよかったなあ( *´艸`)
彼も渋ーいいい役者になりましたねえ!
(C)ExPerson2019
そして、作品を支えるのは〝地元のみなさん”
映画の途中、主人公が地元の方たちに話を聞くシーンがあるのですが、
それはもちろん地元のみなさんの生の声。
一部ドキュメンタリーのような作りになってます。
福島県須賀川市が全面協力、
しかも製作費は250万円!
あの「カメラを止めるな!」よりも低コストで作られた、
超低予算の、ほとんど自主映画のようなものですが、
そこがまたいい。
〝ハッピー”=福
〝アイランド”=島
金ナシ職ナシやる気ナシのダメ男が、
福島の空の下、
ちょっとづつ表情も明るく、笑顔も見せるようになり、
人としてちょっとづつ成長していく。
たったそれだけなのに、
見ている側もほんの少し元気になれたような、
ほっこりと温かい何かをもらったような、
そんな気がしてくる映画です。
公式サイトhttp://movie-happyisland.com/
(C)ExPerson2019
舞台は被災地だけれど、「震災」を描いた作品ではない。
「凪待ち」もそうだけれど、
ドラマティックに、あるいは感動的に、声高に震災を語るわけでは決してない。
でも、見渡す限りの緑のなかでゆったりと流れる時間、
なんてことない日々の暮らし、
普通の一人の青年の日常と成長の向こうに、
うっすらと、でも確実に、震災が見えている。
そして今も、消えていない。
忘れることはないけど徐々に薄れていく「震災」のことを、
こうやって映画としてスクリーンで、
ナチュラルに受け止めること。
一瞬でも、「震災」というものを思い出すこと。
考えてみること。
それだって大事な復興支援だと思います。
今回、たまたまですが2本、
ダメ男が被災地でいろんな経験をして成長していく姿、
生きていく姿を描いた作品を上映すること、
そこにもきっと何かしらの意味があるものだと思います。
誰にだってダメな時期はあるし、
どうしようもないドン底に落ちることもある。
でも、そこからいかにして前を向くか、
どうやって再生するのか、
それをぜひ、スクリーンで見届けてほしい。
そんな気持ちになった2本でした。


マクラが歳の話だったので、サゲも歳の話で。
ツイッター担当のNさんと、映画の話をしていたときのこと。
彼女もかなりの映画好き(オタクの域)。
私:「初めて観た洋画は『E.T.』なんだよねー。」
Nさん:「私は『ジュラシック・パーク』なんですよー。子供だったんで、怖かったなあ」
私:「そうそう、子供は怖いよねー。人間ががっつり食われるからねー。・・・って、そんなのつい最近だわ(゚Д゚)ノ!!!」
『ジュラシックパーク』観たのなんか、体感では昨日だわ!
それが初めて観た洋画って。。。
「もうねえ、スピルバーグって、やっぱすごいよねー♪
私もNさんも洋画デビューはスピルバーグかあ!」
とか言ってる場合じゃねーわ(゚Д゚)ノ
いつも、わりとジェネレーションギャップを超えた「映画オタク」トークで盛り上がってる(つもりの)私とNさんでしたが、
物理的な大きな壁(年齢差)がここにはっきりと横たわっているのを感じましたね。
え、初めてお小遣いで買ったレコード?
(→そもそもCDじゃない)
チェッカーズですよ、もちろん( `ー´)ノ
・・・Nさんに、干支は聞かないでおこう(-_-;)


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