2019年6月14日金曜日

必見!中国で爆発的大ヒット「芳華」

こんにちは。
6月もなかば。
このところ涼しい日が続き、
過ごしやすくていいですよね。
もうすぐ梅雨の時期がやってくると思うと憂鬱ですが、
映画館的にはひと息つける、静かで、穏やかな季節です。
お客さんまで来なくて静かだと問題なのですが、
おかげさまで「チア男子!!」「ブラック・クランズマン」が予想以上にたくさんのお客さんが来てくれて嬉しい限り。
このあとも7月のポケモンが始まるまで、中劇にしてはイイ感じの作品が続くので、
じわじわとお客さんも来てくれるといいなあと思っているところです。
7月に入るとなぜか、忙しいような、落ち着かないような、バタつく感じがしますよね。
みなさんもその前に、ゆっくりと映画を楽しんでおいてくださいね!

さて、明日からはいよいよ私のおすすめ、
ずーっと心待ちにしていたこちら。
「芳華~Youth」が公開に。
(C) 2017 Zhejiang Dongyang Mayla Media Co., Ltd Huayi Brothers Pictures Limited IQiyi Motion Pictures(Beijing) Co., Ltd Beijing Sparkle Roll Media Corporation Beijing Jingxi Culture&Tourism Co., Ltd All rights reserved
こちらは、これまで中国国内だけでなく世界中で数々の映画賞を獲得してきた中国の巨匠フォン・シャオガン監督の最新作。
激動の1970年代中国の、
監督自らも所属していた軍の歌劇団である文工団(文芸工作団)を舞台に、
時代に翻弄された若者たちの美しく切ない青春の日々を描き、
中国で公開されるや2週連続1位を獲得、
1か月で興収230億円という爆発的な大ヒットを記録、
年間興収ベスト10入りを果たし、
しかもアジアのアカデミー賞と呼ばれるアジア・フィルム・アワード最高の最優秀作品賞にも輝いた話題作。
フゥ・・・・(;'∀')
基本事項の紹介だけでも息切れしそうなくらいに、
とにかく要注目の作品です。
こうやって、さらっと言ってますけどね、
1か月で興収230億円てどのくらいかわかります?
なんと、あの映画史に残る(映画関係者の記憶にも残る)名作「タイタニック」の日本での作品全体の興収が230億円ですからね。
・・・・・・って、そもそも人口の桁が違うよね(゚Д゚)ノ
で、そこからいろいろと中国の歴史的背景や状況を考えてみると、
そのものすごい人口の国・中国の1970年代ということは、
世界中が大きなうねりに飲み込まれていたような、
どこもかしこもざわついていたような、
激動の、狂乱の、混乱の時代の中で、
毛沢東という圧倒的なカリスマのもと1966年から始まった文化大革命による糾弾と粛清の嵐で荒れに荒れ、
1976年には、毛沢東の右腕と呼ばれ、中国の首相に相当する国務院総理を長年務めた周恩来が死去、
さらに第一次天安門事件に20世紀最大の地震といわれる唐山地震からの、
カリスマ毛沢東
そこから文化大革命を仕切っていた毛沢東の妻・江青ら四人組が逮捕、
とまさに大混乱。
それで少し落ち着くかと思いきや、
世界はベトナム戦争の真っただ中。
中国もベトナムに侵攻して中越戦争が始まります。
もうーー、この期に及んでベトナム戦争にまで首を突っ込まなくてもいいものを!
と、映画を観ながらつい思ってしまった私でしたが(*_*;)
ほんと、すごい時代ですね。
この時代の中国の若者たちは、国に、政治家に、時代に振り回されて大混乱だったでしょうね。
と、他人事のように言ってますけど、いや待てよ。
1976年て・・・・。
私・・・生まれてる・・・・(゚Д゚;)!!
隣の国でそんな混乱と激動の嵐が吹き荒れていたなんて知る由もなく、
海を隔てただけのこの日本で、
ピンクレディーを踊ったり、
キャンディキャンディのアニメに夢中になったりしていた1976年の私です。
そこに思いをめぐらせつつこの映画を観ていると、
またそこには複雑な、なんともいえない息苦しさを感じます。
そして、日本とはまた全く別世界の1970年代がそこにあるとともに、
環境や状況は違っても、きらめく青春時代というものは、
いつの時代もどこの国でも、そこにいた若者たちのなかには必ずあるものだということを実感します。
お話は、軍で歌や踊りを披露し兵士たちを慰め鼓舞する役割を担う文工団(文芸工作団)に、
17歳のシャオピンがダンスの才能を認められて入団するところから始まります。
(C) 2017 Zhejiang Dongyang Mayla Media Co., Ltd Huayi Brothers Pictures Limited IQiyi Motion Pictures(Beijing) Co., Ltd Beijing Sparkle Roll Media Corporation Beijing Jingxi Culture&Tourism Co., Ltd All rights reserved
夢と希望だけを抱えて華やかな憧れの文工団に入り、
目を輝かせていたシャオピン
シャオピンを演じるのは、
「初恋の来た道」のときのチャン・ツィイーのような、超小顔でおさげ髪に意志の強そうなクリッとした目がかわいらしいミャオミャオ。
周囲となじめずにいる彼女の唯一の支えとなる模範兵リウ・フォンには、
「空海ー美しき王妃の謎」では主役級の白楽天を演じたホアン・シュエン
まっすぐで真面目、嫌がりもせずにメンバーをまとめる好青年が、
ほんのささいなことから、時代や状況に振り回されて壮絶な日々の中に巻き込まれていく姿はせつなすぎる!
(C) 2017 Zhejiang Dongyang Mayla Media Co., Ltd Huayi Brothers Pictures Limited IQiyi Motion Pictures(Beijing) Co., Ltd Beijing Sparkle Roll Media Corporation Beijing Jingxi Culture&Tourism Co., Ltd All rights reserved
この二人の何十年にもわたる関係を中心に、
ある壮絶な時代の特殊な状況ではあるものの、
その場所できらきらと輝く青春を過ごす若者たちの恋や人生を描いた青春ドラマ。
見事なまでに綺麗な色づかいとスタイリッシュな空気感をまとったノスタルジックで美しい映像のなかで、
文工団のダンサーたちが踊る、京劇と現代的なバレエを融合させた華麗で躍動的なダンスや、
楽団員たちが奏でる印象的な音楽が、
眩しい日差しと若者たちの笑い声や笑顔に溶け込んで綺麗なこと!
この青春映画の特徴としては、
「きらきらしたあの日の記憶」だけで終わらない、というのがあります。
どこにでも、誰にでもあるはずの青春の初恋や若かりしころの苦くて甘い思い出を描きつつ、
激動の時代の真っただ中にあった中国という国の現代史を背景に、
どこにでもいる普通の若者たちが飲み込まれていく、
特殊で、困難な、それでいてキラキラと美しい日々を、
痛すぎるほどシビアにリアルに、誠実にスクリーンに写しだします。
そしてそこからの戦争シーンの激しさがまたすごい。
まるでその戦場の最前線にいるかのようなリアリティ。
やんわりと省略などせずに、戦争の残酷さまで緻密に細かく描きます。
文化大革命をテーマにした映画はこれまでいくつも製作されていますが、
そのほとんどが、迫害された者や、上山下郷運動(下放政策ともいい、都市部の青年たちを農村に送ることによって、失業問題の解決や、無職の若者の政治的結託を防ぐ目的があった)によって地方に送られた若者の話で、
この「芳華」のように文化大革命を支えた軍の側の目線で描かれる作品はかなり珍しいもの。
お話じたいに政治的な色は入っておらず、
あくまで背景としての文化大革命ですが、
ここにも確かに存在した若者たちの話であり、
中国という大きくて難しい国の激動の時代のなかにいた人々の暮らしや匂いというものも、
文工団という特殊な世界のこともなかなか詳しく知ることができないものなので、
いまだに報道規制や言論の規制がある中国という国のことを考えてみると、
とても興味深く、なかなか面白い題材であることがわかります。
(C) 2017 Zhejiang Dongyang Mayla Media Co., Ltd Huayi Brothers Pictures Limited IQiyi Motion Pictures(Beijing) Co., Ltd Beijing Sparkle Roll Media Corporation Beijing Jingxi Culture&Tourism Co., Ltd All rights reserved
監督自身が、若いころ実際に文工団に所属して青春時代を過ごしていたことにより、
細かいディテールまでリアルで説得力のあるものになっているし、
出てくる女性たちが生き生きとしてすごく魅力的に描かれているのは、
原作者でもある女性脚本家のゲリン・ヤンも当時、文工団でバレエを踊っていたというリアリティからくるものなのです。
そもそもこのゲリン・ヤンという方は、
文工団から中越戦争の記者となり、のちに作家となるのですが、
映画の中でのスイツという女の子のモデルになっています。
彼女の作品は、チェン・カイコーチャン・イーモウといった中国を代表するそうそうたる巨匠たちに気に入られて次々と映画化していますが、
私はそのなかで1998年公開のこちらも文化大革命に人生を狂わされる少女のお話「シュウシュウの季節」という作品をたまたま劇場で観ているのですが。
いやあ~・・・・しんどかった(+_+)
おしゃれでかわいいヴィジュアルのポスターやチラシだったのに。
観たあとだいぶ長いこと気分が落ち込んでしまった映画でした。
文化大革命を知るのにはすごくいい教材でしたけど。
映画は、いろんな時代のいろんな国の生活や文化を、自分が体験してるかのように観ることができるので好きなのですが、
文化大革命を題材にしたものはまるで遠い別次元のお話のように感じるのに、
自分がすでに生まれてのほほんと暮らしていた時代の、
すぐ隣の国での出来事だということに毎回、衝撃を受けます。
だからこそ興味深くて、ついつい観てしまいます。

余談ですが、私が今までに観た文化大革命をテーマあるいは背景にした作品のなかで、
特に印象的だったものをいくつかご紹介しますね。
もし、この「芳華」を観て、この時代の中国のことに興味を持ったら、
そういえばこれ観てないなあと思ったら、
ぜひ観てみてください。
「小さな中国のお針子」
こちらも、かわいくておしゃれな宣材だったのに、文化大革命に巻き込まれたシビアでリアルな田舎のお話でした。「シュウシュウの季節」よりはまだ希望の持てるラストでしたが。
「活きる」
1940年代から文化大革命に至るまでの庶民のまさに“活きる”姿を追った壮大なるチャン・イーモウ監督の大作。決してハッピーではないけれど、時代や国に翻弄された数多くの庶民の姿が浮き彫りになる作品。
「さらば、わが愛」
故・レスリー・チャン主演、カンヌ映画祭でパルムドールを受賞した作品。京劇役者の目を通して近代中国の50年を描き出した、私も大好きな作品で、芸術に関わる人物や知識人などを“反革命分子”として弾圧した文化大革命を生々しく写しだしています。
そして忘れちゃいけないのが「太陽の少年」
米『TIME』誌が選ぶ年間ベスト1に輝いた中国映画。これ、大好きです!「芳華」のあとはぜひこれを観てみてほしい!上山下郷運動で大人が消えた北京の街を舞台にした青春ドラマ。とにかく美しいノスタルジックな映像と、少年の目から見た少し冷静な文化大革命
、そして残酷で美しい青春の思い出が胸をしめつけます。

中国映画はちょっとめんどくさい、あるいはこむずかしいというようなイメージがある方もいるかもしれませんが、
足を踏み入れてみると、なんとまあ奥深く、美しく、しかもスタイリッシュで面白い作品がわんさかある宝の山。
それはまあ、ギャグじゃないけど中国4千年、壮絶な激動の歴史の連続だった大国ですからね、
当然といえば当然の話。
今回の「芳華」も、辛く困難な時代だったからこそ同じ時を過ごしたあの場所が青春であり故郷であるという感覚を疑似体験しつつ、
上の決定に身をゆだねて従うしかないなかでも、禁止されているテレサ・テンの曲をこっそり聴いたり、失恋したり、傷ついたり悩んだりする若者たちに共感し、
観たあと深い余韻の残る、ぜひスクリーンで体感してほしい壮大な青春ドラマです。
公式サイトhttp://www.houka-youth.com/


またまた個人的な好みの関係で長くなってしまいましたが(;'∀')
どんなに寝不足でも、どんなに目がショボショボでも、
やっぱりたくさんの人に観てほしい作品については語りたい(>_<)!!
ということで、すでに深夜、明日も早いのでこのへんで。
誤字脱字があったらごめんなさい。
あとで直します。。。



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