すっかり秋本番ですね。
暑すぎず寒すぎず、私も大好きな季節です。
外を歩くのも気持ちいいし、
イベントや映画も充実していて楽しいシーズン。
本格的な冬を前に、短くても有意義な秋を満喫しておきたいものですね。
中劇でも、怒涛の毎週新作公開月間を猛ダッシュ中。
・・・・・お客さんは・・・・ちょっと寂しい入りなんですけどね。
それはいつものことなんで気にしない。
たくさん映画を観まくってる常連さんたちが、
「今、観たいのたくさんあって大変だよ」
と言ってくれる言葉だけが心の支えです(´ー`)
→それでいいのかとか、おいおい大丈夫かよとか、そんな辛辣な言葉はいりません。
褒められて伸びる子なんで(?)
まあそんなことはいいじゃないですか!
とにかく毎週公開ってことですよ!
私も、なるべくちゃんと観てご紹介していこうと思っているのでがんばりましょう!
何を?
たくさん映画観るのを!
だって、冬になったら寒いとか、雪がひどいとか、
ただめんどくさくてとか(!)、とにかく諸事情によって家を出るのが億劫になっちゃうからね!(私だけ?)
各映画館、この時期ならではの充実のラインナップでお待ちしております。
さてさて、実は私は先週のうちに観れていた
「スペンサー ダイアナの決意」
Photo credit:Pablo Larrain Photo credit:Frederic Batier Photo credit:Claire Mathon (C) 2021 KOMPLIZEN SPENCER GmbH & SPENCER PRODUCTIONS LIMITED
・・・・だったらさっさと書けよ!!って感じですよね(*_*;)
ほんとは、同じ日に公開になって現在ルミエールさん(http://nanbukogyo.jp/morioka/)で上映中の「プリンセス・ダイアナ」(映画『プリンセス・ダイアナ』公式サイト|9/30(金)ロードショー (diana-movie.com))も観てから、そちらの感想も含めて書こうと。
そう、書こうと、思ってはいた。
・・・・・観に行けてない・・・(/_;)
なんかバタついて、予定していた日に行けませんでした(/_;)
そのくせ2回目の「プアン」は観ましたけど(+_+)
・・・・・なんのこっちゃですね。。。
なので結局「スペンサー」だけで書き始めます。
スペンサー家。
それは由緒ある英国の名門貴族。
その令嬢として生まれ、20歳で英国皇太子チャールズ(現イギリス国王チャールズ三世)と結婚したのがダイアナ元皇太子妃。
世界中で「ダイアナ・フィーバー」を巻き起こしたプリンセスです。
あの、世紀のロイヤルウエディングは、
当時まだまだプリンセスのおとぎ話をワクワクしながら読んでいるかわいらしい少女だった私も、テレビに釘付けで見ていました。
ワイドショーも特番もずー--っとそればっかりやってましたからね。
よく覚えています。
ほんと、絵本に出てくるお姫様みたいに綺麗でしたもんね!
ゴージャスなドレスも、お城も、祝福するたくさんの人々も、
夢見る少女だった私には、ハッピーエンドの絵本の最後のページに見えました。
・・・・でも、そこは最後のページじゃなかった(-_-;)
なんなら最初のページでした。
そのあとの、すったもんだや、てんやわんやや、どったんばったんで、
めちゃくちゃ長ーーい本ができますね。
Photo credit:Pablo Larrain Photo credit:Frederic Batier Photo credit:Claire Mathon (C) 2021 KOMPLIZEN SPENCER GmbH & SPENCER PRODUCTIONS LIMITED
実際、あることないこと、真実なのかゴシップなのか、たくさんの本も映像も残されていますが。
「結婚はゴールじゃない」
なんてよく言いますけど。
・・・・あれ?
結婚について、つい最近も語ったなあ~・・・・と思ったら。
「犬も食わねどチャーリーは笑う」で、さんざん語っていましたね。
普通の、そのへんの、庶民のでさえ、結婚って大変なのに!
・・・・ねぇ(^_^;)
大英帝国の次期国王と、名門貴族のご令嬢のロイヤルウェディングですからね。
大変どころじゃないですよね。
あの美貌と、イギリス王室やプリンセスとしてのイメージも変えたといわれる個性で世界中を魅了したダイアナ妃が、
そのファッションや立ち居振る舞いだけでなく、
ライフスタイルやプライベートまでその一挙手一投足が世界中から注目されるようになり、
不倫だ、別居だと騒がれ、結局1996年に離婚。
そして1997年に、世界中が驚き衝撃を受けた交通事故で亡くなってから没後25年。
あのキラキラと宝石でも背負っているかのように輝いていたプリンセスの微笑みは、
あれ以上、永遠に歳をとることのないまま人々の記憶に残り続けています。
今回のこの映画は、世界中が祝福する結婚ののち、
夫チャールズが結婚前から恋愛関係にあったカミラ(現夫人)のことをはじめ、
執拗なパパラッチや慣れない王室の作法からくるストレスにも苦しめられ摂食障害を患ってしまったころのダイアナ妃を描いた作品。
彼女が最も悩み苦しんでいた1991年のクリスマス休暇。
英国ロイヤルファミリーがいつものようにエリザベス女王の私邸に集まって過ごしたクリスマスの3日間のお話です。
Photo credit:Pablo Larrain Photo credit:Frederic Batier Photo credit:Claire Mathon (C) 2021 KOMPLIZEN SPENCER GmbH & SPENCER PRODUCTIONS LIMITED
エリザベス女王の私邸のなかの3日間、
しかもことさらに秘密主義を通したがる英国王室。
そのなかでの出来事も、会話も、様子も、もちろん情報が外に出るわけがないので、
映画の最初に「実際の悲劇にもとづく寓話」とテロップが出る通り、
まさに憶測と予想によるフィクションではあるのですが。
作品としてはフィクションでも、
この映画の脚本は、このまさに1991年のクリスマスにエリザベス女王の私邸に集まっていた人達に片っ端から取材を試みて書かれているので、
全てが妄想と虚構というわけでもなくて。
取材で得られた事実と、フィクションを織り交ぜて、
ピンポイントでダイアナ妃の内面に迫る作品を作り上げています。
ダイアナ妃の人生全体を描くとなると、いくら36年の短い人生だったとしても、
波乱万丈すぎてかなり長ーいお話になっちゃうしね(^_^;)
かといって客観的に描く作り方だと、ゴシップ要素も強く出てしまうし。
だから、下世話なゴシップ色を一切排除して、
王室のしきたりや私邸の内部事情などは事実をもとに、
そのとき起きたことやダイアナ妃の内面についてはフィクションを交えて作られているこの〝ダイアナ妃の人生を変えた運命の3日間”
に焦点を当てた作りはさすがとしか言いようがない。
なにしろこの監督、ナタリー・ポートマン主演「ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命」の監督です。
〝誰かの奥さん”ではなく、自分の運命をじぶんで切り開く、世界を変えるくらいの超個性的なカリスマ性とアイデンティティを持った女性を描くのがうまいんですね!
今回はお屋敷の中のたった3日間のお話なんですが、
オープニング、ダイアナ妃が一人で車を運転して道に迷うシーンからすっかり引き込まれ、まるで自分がダイアナ妃になったような気さえして、
意味がわからなさすぎて息が詰まりそうな王室のしきたりや、
めんどくさい人間関係や、全く心が通じない夫、
そして気の合う友人とおしゃべりしたいだけなのにそれすら阻まれてしまうような絶望的な小さな世界のなかで精神的に追い詰められていく彼女の心に、
いつしか自分を重ねて胸が苦しくなってしまっていました。
由緒ある重厚な作りのお屋敷に、何百年も全く変わっていなさそうな家具や調度品、
暗い心の中を暗示するような小道具、不協和音の響く音楽、
そしてトイレに向かってえづく純白のドレスの美しい背中までもが、
彼女の苦しい胸中を鮮やかに表現します。
だけど、ひたすら苦しい映画ではなくて。
きっと実際に彼女の心の支えであったであろう息子たちとの幸せな優しい時間や、
唯一心を許せる友人との静かな会話、
そして一人の人間として女性として大きな決断をして新しい扉を開こうとする姿も、
気高く、美しく、本当にすがすがしい。
Photo credit:Pablo Larrain Photo credit:Frederic Batier Photo credit:Claire Mathon (C) 2021 KOMPLIZEN SPENCER GmbH & SPENCER PRODUCTIONS LIMITED
一般ピープルでさえもかなり大変だという「離婚」。
それが英国皇太子夫妻の離婚となれば・・・・!
この映画の中に暗喩として出てくるアン・ブーリン。
こちらもナタリー・ポートマン主演の映画「ブーリン家の姉妹」がありましたね。
(・・・ええ、そうですよ。私の知識はほとんど映画からですけどなにか?)
イングランド王ヘンリー8世の二番目の妻として知られるこの女性は、
当時のヘンリー8世の妃の侍女から王妃へとのしあがった人。
離婚が認められていないイングランドで、法律を変えてむりやり新しい宗派を作ってまでヘンリー8世を離婚させ、そこまでして王妃に上り詰めたのに、
わずか3年で今度は自分の侍女にヘンリー8世を取られてしまい、
不義密通と反逆罪に問われて斬首という、
聞いただけでなんだかウンザリするような人生ですが。
ま、悪いのはヘンリー8世ですけどね。
それまで認められていなかった離婚をむりやり認めさせたばかりか、その後も結婚離婚を繰り返したという、もうマジで「もっと超越したところへ」(フォーラムさんで上映中の、ガチのクズしか出てこないけどめっちゃ面白い映画。観てください!推しが出てるんで!)よりも最悪なクズ。
そしてそのアン・ブーリンはダイアナ妃の遠い親戚だという、嘘のようなホントの話。
盛岡もかなり狭くて、とにかく行く先々で知り合いやら友達のきょうだいやら
おな中(中学が一緒)やら誰かの元カレやらと(?)ウンザリな街だったりしますけど、
英国王室も名門貴族もやっぱり狭いよねー!!
そんな暗喩もきかせつつ、
生前のダイアナ妃の膨大な写真を参考に、シャネルも協力してファッショナブルなダイアナ妃らしさを存分に表現した衣装や小物たちに目も喜ばせながら、
世紀のプリンセス・ダイアナ元皇太子妃の内面に迫る3日間。
スクリーン上に、私たちが知っているあのダイアナ妃が蘇った!
と思うほど、ビジュアルも、立ち居振る舞いも完璧にダイアナ妃。
演じたのは「トワイライト」シリーズで一躍、世界中のティーンのカリスマとなったクリステン・スチュワート。
それは、ソックリさんでもモノマネ大会でもなく、
どこから見てもクリステン・スチュワートであって、
ぞれでいてどこから見てもダイアナ妃。
Photo credit:Pablo Larrain Photo credit:Frederic Batier Photo credit:Claire Mathon (C) 2021 KOMPLIZEN SPENCER GmbH & SPENCER PRODUCTIONS LIMITED
マネではなくて、彼女の中にダイアナ妃を取り込んだ。溶け込んだ。
クリステンは、しぐさや表情、言葉やイントネーション(クリステンはアメリカ人だしね!)まで完璧にダイアナ妃を自分に融合させ、
ダイアナ妃の人生でとても重要な3日間を過ごすという経験をした。
そんな感じ。
内面からダイアナ妃を表現しようとする彼女を、
ダイアナそっくりに見せるのではなくクリステンの中のダイアナを引き出すことから始め、
パッと見、見間違えてしまうほどダイアナ妃に近づけたヘアメイクデザイナーは、
なんと日本人。
今年2月、中劇もドキドキワクワクだったアカデミー賞シーズン、
「ベルファスト」でもヘアメイクを担当していた吉原若菜さんです。
中卒で美容学校に入り、20歳でイギリスに渡り、ヘアメイクデザイナーとして数々の映画作品に参加してきたスゴイ人。
その、ナチュラルなのにゴージャス、懐かしいのに新しい、匠の技も大きなスクリーンで確認してください。
ほんと、マジで、ダイアナ妃だから!!
そんなみどころたっぷりな「スペンサー/ダイアナの決意」。
しっとりと、じんわりと、ずっしりと、心に来る映画です。
秋。なんか、まさに秋にピッタリの映画でした。
もう一本。
いかにも秋。な映画、観ましたよ。
「戦争と女の顔」
(C) Non-Stop Production, LLC, 2019
・・・・・・暗そう(/_;)重そう(/_;)
なので、あまりノリノリではなかったんですけど。
見始めたら入り込んじゃってあっという間。
もちろん、そもそもタイトルで〝戦争”って言っちゃってて、ロシア映画で、
そんななか女性二人が主人公で、チラシやポスターも「・・・・・」(↑)。
当然、ハッピーでワクワク!な映画のわけがないし、
ほとんどが室内、戦後のロシア(ソ連)、主人公は元・女性兵士・・・。
「みんなで観て、SNSで盛り上げてね☆」な作品なわけないですけど。
絶対暗くて重くてしんどいやつ。なんだけど。
そして実際、暗くて重いんだけど(^_^;)
(C) Non-Stop Production, LLC, 2019
色→暗い。
ストーリー→重い。
展開→やっぱりしんどい。
でも、なぜか、カラッとしている。
こういった映画でありがちな、ジメッとさが皆無。
決して明るくはないし、ハッピーハッピー♪なシーンもないんだけど。
なんなら、女性の裸をそのまま、ってシーンもあるけど全くいやらしくないし、
待って、それはあんまりじゃないの。。。ってシーンももちろんあるけど、
押しつぶされるような耐えられないような胸糞の悪さは無い。
それは、たぶん、女たちが、自分の意志で決めたことだから。
時代が、政治が、環境が、そうさせていた最悪な事態だったとしても。
彼女たちは、悩み、苦しみ、それでも自分の意志で選び、動く。
絶望しながら。葛藤しながら。
きっと、今よりマシな明日があると信じて。
決してハッピーエンドとは言えないし(歴史的事実を知っているので)、
観終わって心が晴れ晴れ!とも言えないけれど。
身も心もボロボロに傷ついて、辛く弱く、今にも崩れて消えてしまいそうにも見えるけど、
それでも寄り添い、ほかにすがるものもなく互いに支えあう二人の姿は気高くたくましい。
この印象的で個性的な主人公が、二人ともこの作品がデビュー作となる新人女優だということに驚き。
(C) Non-Stop Production, LLC, 2019
たしかに、若々しいフレッシュさと、壊れそうなナイーブさを同時に抱えた不思議な魅力がありました。
落ち着いたトーンで静かに、だけど惹きつけて離さないストーリー。
無機質で、必要最小限の色合いで進んでいく映像の中で唯一鮮やかにひらめく緑のワンピースと、それを着てはしゃぐひとときや、
しかめつらばかりの登場人物のなかで主人公たちが時折見せる少女のような笑顔。
その、小さなきらめきやなにげない日常が、なによりも大切な宝物なのだと感じます。
今まさに、戦争を始めて世界中から非難を浴びているロシアと、
そしてその攻撃を受けてボロボロになっていく街や人々の姿が目に浮かぶ作品。
この映画の監督が1991年生まれということにもビックリですが、
観終わったあと、絶対にどんよりと暗く落ち込んでいるに違いないと思いながら観始めた私が、なぜかカラッと、どこかシャキッと、ほんのりと優しい気持ちになっていたことにもっと驚き。
あ、いや、ほんとに、重くて、暗くて、しんどいんですけどね。
でもなぜか、どんよりと沈むような気持ちにはなっていなかった、っていう。
終戦から77年。
寒くても美しい、厳しくても力強いこの広大な大地では、
また戦争が始まってしまったけれど。
女として、人として、この世界を取り巻くやりきれない現実と、今を生きる自分について、いろんなことを考えさせられる映画。
秋・・・・・でした。
なんかスッゴク。秋。
そして、観てよかった。
公式サイト→https://dyldajp.com/
と、いろんなものと闘う女たちについて語っていたらまた今回もいつの間にか長編大作に(*_*;)
そう、怒涛の毎週公開に、追い越され引きずられつつもなんとかついていこうと必死な私でした。
例え映画の公開日に間に合わなくとも!
始まってしまってサッパリお客さんがこないとわかってしまった映画だったとしても!(例えです、たとえ。)
それでもやっぱり、「どうしても観てから書きたい( `ー´)ノ」という自己満足な信念を曲げられない不器用なBBAでした。
→一生これ。
そんな私も常に何かと戦ってる気がする。
これでもまだ女だし。
・・・・・闘ってるのは締め切りか?(→毎週です)
それとも年齢か??(→抵抗してるだけ)
はたまた睡魔か???(→戦う前に毎晩負けてます)
抑えきれない食欲か????(→もはや戦うつもりは無い)
・・・・・・・・・。
でも、欲と煩悩があればなんとか生きていけるような気がします。
来週、あの映画観よう!
今日は奮発して日本酒飲もう!
たまには一人で焼き肉ランチしたっていいよね!
そうやって、お先真っ暗な今後や、野垂れ死にしそうな老後のことを一瞬忘れて、
生への希望をつなぐ人生も、ここにあります。
だからみんな、あきらめないで(>_<)!!
(→誰も諦めてませんかね?ていうか、みなさん私よりははるかにまともな人生ですよね。)
そんな、秋の夜長でした。
★中劇公式サイト http://www.chugeki.jp/