2018年6月8日金曜日

「RAW」&黒澤明3連発!

こんにちは。
もうすっかり夏、ですね。
6月に入ったばかりなのに朝からこんなに暑いと、
今年の夏、乗り切れる自信がありません(-_-;)
暑いのも汗かくのも嫌い、
虫に刺されると死ぬほど腫れる、
しかも夏花粉で目も鼻も最悪。
という私は、
「夏なんてなくてもいい!!」
とまで思っているほどの夏嫌い。
ちなみに、海は嫌いではないが絶対入らない(着替えもシャワーもめんどくさいから)、
アウトドアは近場でBBQ程度ならまあ行ってもいいよ(虫が嫌だからね)、
夏フェスやお祭りはテレビで楽しむのがベスト(人ごみでもない涼しいところでお酒飲みながらゆっくりがいいでしょう♪)。
という徹底した街なか&インドア派。
夏は映画館にこもります(゜▽゜)/

さて、明日からの中劇。
ちょっとスタイリッシュなピンク色のチラシが目に止まる
「RAW 少女のめざめ」
 © 2016 Petit Film, Rouge International, FraKas Productions. ALL RIGHTS RESERVED.
厳格なベジタリアンとして育った16歳の少女ジュスティーヌが、
進学して親元を離れ、人生で初めて肉を口にするところから始まる物語。
タイトルの"RAW”とは、「生の肉」「未加工の」という意味から、
「経験の浅い」「未熟な」
それから「ひりひりする」「露骨な」「不当な」なんていう意味もあるようです。
この映画を象徴するような単語ばかり。
なんとなくエロティックで、ハードコアな、ホラーチックな映画。
かと思いきや、そう単純な作品ではございません。
だってフランス映画なんだもの!
フランス映画、しかも女性監督ときたら、
絶対に一筋縄じゃいかないなって感じがしますよね。
この映画、テーマは"少女の覚醒”であり、
"ホラー映画へのオマージュ”でもあり、
"カニバリズム”であるという、
なかなかに複雑な作品のように見えますが、
でも、私はそんな難しいことではなくて、
実は単純に”思春期の少女の青春残酷物語”なんじゃないかと思うんですよね。
もちろん、かなりダークサイドの、ですけど。
この作品では、肉食へのめざめであり、
ちょっと振り切ってしまってますけどカニバリズムという極端な志向へのめざめでもありますが、
そもそもは16歳の少女が、大事に育てられた家を離れて新しい生活を始めることがバックグラウンドにあるわけで。
そこがまたベジタリアンの少女には過激すぎる慣習や通過儀礼のオンパレード。
心にも体にもダメージが大きすぎるんですね。
そういったくだりは結局、映画としてドラマティックに、
少しおおげさなくらいに描かれているだけで、
ほんとは誰にでも覚えがある、
少女から大人へのめざめであり変貌であるんだと思います。
こんな過激なテーマなのにどうしてこんなにも共感してしまうんだろうと思うのですが、
この作品の根底にあるのは実はとてもシンプルな、
世界共通の"女子”の世界だからなんです。
キラキラしてない、なんなら観たあとかなりブルーになってしまうくらいのダークサイドの、『暗~いガールズ青春物語』は、個人的には私は嫌いじゃない。
むしろ好き。
なぜなら私もダークサイドの女子だったから。
そう、今では立派なオバチャン女子に育ってしまった私ですが、
思春期はあったんですよ、人並みに。
周りは男友達ばかり(男同士扱いの)、
そのくせかなりこじらせ系のめんどくさ女子でしたけど。
でも、思春期の女子特有の、
身体的な変化への嫌悪感自らのアイデンティと周囲との距離感
そして漠然とした将来への不安
大人になることに対する怖さと絶望感
そういったものに支配され、
自分を見失い、戸惑い、悩んでいた時期って、
絶対にみんなあると思うんです。
ソフィア・コッポラ「ヴァージンスーサイズ」
(姉妹が一斉に自殺しちゃうけど、綺麗で残酷でせつなくて美しい究極の青春映画)、
まだ十代だったころのスカーレット・ヨハンソンがダサかわいい「ゴーストワールド」
(世の中に反発し、自分は特別だと思っているが結局なんにもできないうえに、親友の成長を受け入れられずショックを受けるばかりで事実からも目を背ける主人公には共感しかない)、
1920年代の仏領インドシナという特別な舞台での思春期女子にとにかくやられる「愛人 ラ・マン」
(冷めた目で世の中を見て、大人のくだらなさや世界の矛盾をなんでもわかっているつもりでいる少女が、全てが終わったあとに気付く真実のせつなさ)
これらは十代の少女が主人公の、ダークサイドの青春映画たち。
私の中ではこの3作品は、思い出すといつでも心の奥でズシンと音がするような特別な映画たちです。
キラキラもキュンキュンも全くないけど、
それもやはり青春。
でもどの映画も、ひたすら映像が綺麗なのと、バツグンに十代女子のリアルが描かれているのが共通しています。
この「RAW」もそう。
色遣いや音楽がとにかくスタイリッシュでクール。
そしてひたすらリアル。
テーマ的には過激で強烈な作品ですが、
女子ならなぜかどこかしら共感できるはず。
社会へのデビュー姉妹の関係初めての恋
知らなかった世界への扉・・・
ま、男子には理解するのは無理かもしれないですが(^_^;)
「女子ってめんどくさい!」なんてよく言いますけど、
めんどくさいにはそれなりの理由があるんですよねえ!
それだけ、少女から大人の女性になるってことは大変なことなんです。
それを男子諸君には少しでいいから理解してもらいたいものです。
これを観てわかるかどうかは微妙ですが、
そこはほら、フランス映画なんで!
一筋縄じゃいかない、それじたいを楽しむという作品。
公式サイトhttp://raw-movie.jp//

そしてそして、待ってましたの
「黒澤明スペシャル!」
もう、今年度の「午前十時の映画祭」のメインと言ってもいいくらいじゃないですか!
黒澤明×三船敏郎
もう無敵の!
世界の映画人を虜にした、このコンビの黄金期の三作品。
なんと三連続で、2週間づつたっぷりとお楽しみいただきます♪

「用心棒」
©東宝
三船敏郎のカッコ良さは言うまでもなく、
ついつい引き込まれてあっという間の2時間弱。
仲代達矢
司葉子
志村喬
すべてのキャラクターがちょうどよく立っていて、
ちゃんと少しづつストーリーを動かしていく、
圧巻の「これぞ時代劇」
公式サイトhttp://asa10.eiga.com/2018/cinema/826.html

「椿三十郎」
©東宝
「用心棒」の翌年、
続編のようなそうでないような感じで作られた作品ですが、
テイストは前作よりだいぶコメディタッチに。
やはりキャラクターの個性とさすがのストーリーテリングが際立ちますが、
ラストの決闘は手に汗握りますよね!
「用心棒」「椿三十郎」もモノクロなんですが、
仲代達矢が首に巻いている赤いマフラーや、
庭の椿の真っ赤な色がなぜかほんとに赤く見える気がするのが不思議!
ほんとは黒澤明自身も、この椿だけ赤い色を付けたかったらしいですが、
当時の技術ではそれができず。
のちに「天国と地獄」で、煙突から出る煙だけ色を付けるというのを実現したというのはわりと有名な話ですね。
もう、全部まとめて黒澤明特集をしたいところですが無理なので、
今回、このシリーズと言われる二本を連続で上映できることをまず喜びましょう♪
そしてこれが、世界が憧れた“ミフネ”
ビジュアルも、雰囲気も、体格も、それから声も芝居もすべてがクール!
当時の外国人俳優に全くひけを取らないですよね!
見ているだけでため息が出ますよ♡
公式サイトhttp://asa10.eiga.com/2018/cinema/814.html

そして。出ました。
「七人の侍」
©東宝
何度観てもマジで面白い。
3時間半、全然飽きない!
なんでなんだろう!?
ずーっとハラハラドキドキ。
仲間、裏切り、団結、ミス、死、そして息を呑む壮絶なバトル。
観たことないって人がいたら、絶対にスクリーンで観て!!と言いたい、
昭和を代表する、世界に誇る日本映画の名作。
これをスクリーンで観てない人は、絶対に損してる!
まず、とにかく観て!
時代劇に限らず、たぶん映画の基本とお手本がここに。
これが映画。
これが黒澤明
そして少し若い三船敏郎のワイルドさと身のこなしに感服。
観終わったあと、安堵と切なさ、頬を伝う涙、
すごいものを観たという実感、
それらがないまぜになってしばらく動けない。
そんな映画です。
公式サイトhttp://asa10.eiga.com/2018/cinema/806.html


こんな感じの6月です。
そろそろ梅雨にも入るこの時期。
気分もいまいち冴えない日々が続きますよね。
そんな日は映画を観に来ませんか?
きっと、あなたの中の何かを刺激する作品に出会えるはず。
観たいの無いなあ・・・・って人はまず、午前十時中劇へ。
昔の古い映画はちょっと・・・なんて言わないで!
古くない!むしろ新しくて面白い!
ずーっと愛され続ける映画って、それなりの理由がありますからね。
古くて新しい、未知の扉を開けてみて!

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