先日、モスビル1Fの中劇のチラシコーナーにチラシを補充していたら、
すぐそばで雑談していたおばさまたちが、
「やってないわねえ!いつからなのかしら。でもテレビであんなにやってたのに全然タイトルも出てないのはおかしいわね!秀吉の。ねえ!萬斎さんの。」
と、フォーラムさんの上映案内を見ながら話しているのが聞こえまして。
いつまでも「おかしい」「なんで」「どこで」なんて言い続けているので、
もうガマンできずに私、つい、
「それ!南部興業さんです!6月3日から、ピカデリーさんでやるはずです!」
と言ってしまいました。。。
ええ、他館の映画だってちゃんと案内しますよ(゜∇゜)
だって私も観たいもん☆
野村萬斎さん、好きですから~♡(朝ドラ「あぐり」、最高でした♪)
それに、ビルの5Fの中劇に、
しょっちゅう他館の映画が観たい方が間違って来るので、
そのたびにフォーラムさんの場所やルミエールさんの場所なんかを紙に書いて案内したりしているので慣れっこです♪
でもいつも、心の中で叫びます。
「ここは中劇だよー!!!今度、中劇にも観に来てねー!!!」
さて、気が付いたら6月。
さらに、今、気付いたのですが今の中劇、
偶然にも「日本映画月間」になってました(゜∇゜)/
今、気付くなよ。。。(^-^;)
午前十時の映画祭では1963年の市川崑監督作品、
異色の時代劇「雪之丞変化」
©KADOKAWA 1963
主演は長谷川一夫。この作品が公開になった年に映画界から退いたということなので、
私は知らなかったのですが、
大スタアと言われた長谷川一夫の300本記念作品。
ジャズ調の音楽に、光と闇のコントラストが美しい、スタイリッシュな時代劇。
当時は賛否両論だったらしいですが、
今観てもクールでかっこいい映像美が、さすが市川崑って感じです。
勝新太郎、市川雷蔵、山本富士子、若尾文子と、大映オールスターが勢揃いした豪華な作品。
このメンツが集まるなんて、すごいこと!
昭和の映画スターたち、ぜひスクリーンで見ておきたいですね☆
公式サイト→http://asa10.eiga.com/2017/cinema/726.html
そして6月3日公開「海辺のリア」
(C) 「海辺のリア」製作委員会
こちらは、俳優人生65年、仲代達矢84歳の主演映画。彼が演じるのは、舞台・映画と半世紀以上のキャリアを積み、
さらに俳優養成所を主宰する大スター。
・・・・・って、仲代達矢本人じゃん!?
そう、仲代達矢本人をモデルにして書きあげられた脚本で、
日本を代表するシェイクスピア俳優としても知られる仲代達矢と、
シェイクスピアの「リア王」が重なる圧巻の作品。
かつての大スターに認知症の兆しが見え始めるところから始まります。
いまや見る影もないかつてのスタアと、
そこに関わる人間たちの、
生々しくてリアルな感情と言葉たち。
老いや介護は、もう他人事ではなく、誰にでも起こりうる身近な問題だけに、
クスッと笑えるシーンもありながら、
グサッとくるシビアなせりふに胸が痛んだりも。
かつては黒澤明監督の「用心棒」や「椿三十郎」などで
若々しく溌剌としたイケメンぶりをこれでもか!とまき散らしていた仲代先生。
マジでかっこよかったですよね!
私はこの年齢にしてはラッキーなことに、それらの仲代先生のたぶんピーク時のお姿をリバイバルや特集上映などでスクリーンで観れているので、迷わず言い切ります。
「仲代達矢、めっちゃかっこよかった!」
鋭い眼差しが特徴的。
それこそ「用心棒」の、首にスカーフを巻いてピストルをぶっぱなす仲代達矢は最高でしたよ(≧▽≦)!
白黒映画なのに、首に巻いているのがなぜか絶対に“赤いスカーフ”に見えてくるくらいのキザっぷり。
役に入り込み、その役の性格の悪さを最大限に漏らし続ける目力と、計算し尽くされたゲスっぷり。
最高でした(*‘∀‘)
のちにシェイクスピアの『リア王』をもとにした黒澤明監督作品「乱」で主役を演じた仲代達矢が、
それから30年経ち、今回の「海辺のリア」では、芝居への執念と狂気が溢れ出す認知症の大スターを演じて『リア王』が乗りうつるのです。
大きな事件が起こるわけでも、どんでん返しがあるわけでもない、
老いに対峙する一人の男を取り巻く人間ドラマですが、
監督が仲代一人に向けた熱い思いと、
仲代自身が「映画生活最後になってもいいかなと引き受けた」と言う圧倒的な芝居は、
それだけで鳥肌もの。
10月には午前十時の映画祭で、仲代達矢が犯人に振り回される捜査官を演じた黒澤明監督「天国と地獄」が上映になるので、
現在の「大スター・仲代達矢」と、
30歳前後の若かりしころの「若手スター・仲代達矢」をスクリーンで見比べるのも面白い☆
「海辺のリア」では、
阿部寛、原田美枝子、黒木華、小林薫と、
私も大好きな役者さんたちが揃って大スター・仲代達矢をいじめ(絡み?)ます。
まるで生の舞台を見ているかのような圧巻の人間ドラマ。
お見逃しなく!
公式サイト→http://www.umibenolear.com/
もう一つ6月3日公開「裏切りの街」
(C) BeeTV
ハードボイルドな雰囲気のタイトルですが、一人の平凡な主婦と、一人のフリーターが、
なんとなく出会い、なんとなく肉体関係を続けて、
意味もなくずるずると現実から逃げ続ける逃避行劇。
それを、寺島しのぶ、池松壮亮で。
・・・・観たい。。。。!
なんででしょうね!?
不倫、ドロドロ、R指定・・・そんな作品は世の中にたくさんあるんですけど、
なんでか寺島しのぶと池松壮亮の十八番という感じで、
その2人ならなんか面白そうというか、
観たくなるというか。
もう、寺島しのぶといったら女の情念やエロスを、ど根性で演じるタイプの劇場型女優の代表ですからね。
私が初めて女優・寺島しのぶを見た(認識した)作品は「ヴァイブレータ」。
これも、わけありな感じの男女が出会い、彷徨う逃避行(?)劇でした。
寺島しのぶのオーラというか圧がすごいのと、男前な濡れ場に驚き、
大森南朋も、まだ今ほど売れてはいなかったころですが、役がほんとにハマっていてきっとこのときが一番かっこよかったんじゃないだろうかと思うくらいに良くて、
すごい映画だなと思ったものでした。
寺島先生はこの同じ年、「赤目四十八瀧心中未遂」でもわけありな、背中にごっつい刺青の入った女の役で潔いヌードと濡れ場を披露し、
女優としてブレイクを果たしましたね。
そのあとも、嵐の松潤と不倫関係に陥るエキセントリックな主婦(「tokyo tower」)や、
四肢を失い口もきけない夫との生活に苦悩する妻を演じてベルリン映画祭の最優秀女優賞を獲ったりと(「キャタピラー」)、
「この人でなきゃ!」な役を演じて、
強い骨太女優として君臨しています。
池松壮亮も、「ラスト・サムライ」のあの男の子が!
このところは、過激でかなり話題になった「愛の渦」(今回の「裏切りの街」の三浦監督の作品。乱交パーティークラブに集まる人たちのお話で、ほとんどのシーンが裸というR-18作品。ここでもニートの役だった池松くん。。。)とか、
宮沢りえ扮する、会社の金を横領してしまう銀行員と不倫を続ける大学生役を演じた「紙の月」など、
なかなかにきわどい役どころを演じる、演技派の若手実力派俳優のトップに躍り出た感がありますね。
中劇でも上映した「ぼくたちの家族」も良かったですねえ!
ちょっとうつろというか、クールというか、
あまり大きくいろんなものを表に出さないタイプの役者さんですけど、
個性的で面白い役が次々と舞い込むところをみると、
これからもっと面白い役者になっていきそうな予感。
そしてこの映画「裏切りの街」は、
脚本・監督が「何者」「愛の渦」「ボーイズ・オン・ザ・ラン」の三浦大輔。
・・・「ハマの番長」のほうじゃないですよ(゜Д゜;)!
こちらは、演劇ユニットを主宰し、いまどき珍しく自ら脚本・監督を手掛けた映像作品を多数発表して、その衝撃的で個性的な作風にいま、映画業界がかなりザワついている、
要注目の映画監督・三浦大輔です。
なら絶対観たいよねー(*´з`)
自身の舞台作品を自らの手で映像化したこの作品。
この監督とキャストの組み合わせは気になりますよねえ!
どうにも表現できない鬱屈した気分を抱えた主婦・寺島しのぶ。
とことんダメなフリーターがよく似合う池松壮亮(本人は日藝の映画学科卒!ですけどね)。
この日本の映画界を背負って立つメンバーががっちり組んだドロドロ不倫劇、
観ておいて損はないですよ!
公式サイト→http://uragiri.jp/
さて、夏前のこの時期、しっとりと大人の映画が続く中劇です。
「夏休みに入ると子供たちが家にいて、一人の時間なんて取れないわ!」
な方たちだけでなく、
本格的な夏になると全く映画を観る暇がなくなる私(ポケモンがあるからしょうがない!)のような大人の方々、
それから、春のイベントも落ち着き、また夏のイベントの時期がやってくるまでひとまず静かに過ごしましょうのパリピのみなさんも。
そろそろ梅雨に入るしね、
予定もなくてなんとなく暇な日は、映画館に来ませんか?
静かで涼しく、ゆっくりとした時間が過ごせると思いますよ(´▽`*)
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