2023年6月8日木曜日

必見「せかいのおきく」そして今、中劇が熱いっ!!(自己申告)

こんにちは。
いつも、盛岡近郊の物好きな映画マニアの方々が、気が向いたときに覗きに来てくれる程度のこの映画ヲタブログですが、
なぜか前回の「ライオン少年」の回の閲覧数がいつもより伸びててビックリでした。
・・・・・ただのヲタブログなのに・・・( ゚Д゚)!!!
ていうか、よく考えたら私の専門分野の〇ャニーズとか生涯研究対象の香港映画とか学生時代からの〝趣味”世界史世界情勢なんかの、ゴリゴリにヲタクを発揮した回ばかりがいつもバズるんでした(;'∀')
そうだったそうだった、世の中ヲタクが回してるんだった!(語弊があります)
とにかくありがたい。
いろんなヲタクのみなさん、いらっしゃいませ(?)。
前回は、昭和生まれ映画館通り育ちの映画ヲタ(私です)に世界史好き中国映画好きをブレンドした得意分野の講座だったようなもんなので、暑苦しくてウザくて眠くなった方もいたかもしれませんが、
私が熱く語る時はガチで推してるときなので迷わず観にきてください( `ー´)ノ

さてさて、ここ数年、誰も言ってくれないので、
「中劇もなかなかいいでしょ!?たまにいいのやるんですよ!!」
なんてこれまた暑苦しく自己申告していた私でしたが、
いよいよ来ました!!
自己申告ではない「今月の中劇さん、、いいよねー!!観たいのばっかり!!」の声!!
・・・・・・YES!!!!!( `ー´)ノ
それな!!!!!
自己アピールって、大事よね!!
・・・・じゃなくて。
そうなんです。
いいんです。
マジでキテるんです。
ヤバいんです、中劇
・・・・・ま、お客さんが入るかどうかは別問題だけどね(!)。
そりゃそうですよ。〝面白い映画”〝入る映画”は全く別物。
そこは、映画関係者としては常に悩ましい部分ではありますが、
それはそれ。
このところの中劇は、
「え!?これ、うちでやっていいの!?」(長年の苦労でしみついた卑屈な感情)みたいな、
「え!?これ、観たかったやつなんですけど!?ほんとにうちなの!?」(観たいやつはたいてい、よその劇場に行っちゃうことに慣れきってしまったセリフ)みたいな、
そんな作品が次から次と公開になります。
中劇で。(→しつこい)
・・・・・ヤバい・・・・これじゃ中劇、普通にオシャ映画館じゃん・・・(*´з`)
と、なにげにイキリ出した私ですが、
つい先日受けた電話で、そこそこのお年を召したシニアのお客様から発せられた、
「中劇ってどこにあるの?」
「フォーラムじゃない映画館もあったんだ!?」
などという無邪気な鋭い刃(しかも大きく太くトゲだらけの)みたいなセリフで、
そのイキリだしてムクムクと天狗になりかけた私の鼻はバッサリ斬られました。
中劇、映画館通りにあるよーーー( ゚Д゚)!!!
映画館通りで、昭和10年から映画やってるんだよーーーーー( ゚Д゚)!!
あ、そっか、電話くれたマダム、最近こっちに越してきたのかな?
それか彼女、ずっとお城に閉じ込められてて映画とか観にいったことないのかな?そんで長い髪でお城の塔から抜け出して、今初めて宮沢賢治の映画(「銀河鉄道の父」の問い合わせでした)観ることになったのかな?きっとそうだよ!そうに違いない!(それはラプンツェルです。いや違います。)
・・・・・・思いっきり盛岡弁だったけどね(-_-;)
マダム、若いころどこで映画観てたんだろうか・・・・?
とりあえず、中劇映画館通りにあるってところから始めないといけないようでした。。。
中劇、まだまだですね・・・どうやら名刺配りが足りないようで・・・。
ていうか、昭和10年創業って、なにかね???
「老舗」なんて言葉、こうなってくると無意味だし無駄だし虚しいね!!(ヤケクソ)
盛岡住みでゴリゴリに盛岡弁のシニア層が、中劇知らないんじゃお話にならないよ!!!
どうすればいいのさ(/_;)!!??
・・・・あれ?それでなんの話だったっけ??
もういいや、しんどいことは忘れて前を向きましょう。
そうそう、マジで最近の中劇、いい映画多すぎてヤバいって話ね(?)
前回ご紹介した「ライオン少年」もめちゃくちゃよかったって話をしましたが、
9日から上映の「せかいのおきく」
これもまた良かったわけですよ~~~(´ー`)
(c)2023 FANTASIA
モノクロ、スタンダードサイズの時代劇。
舞台は幕末江戸の片隅
でも、チャンバラではありません。
主人公は22歳のおきくちゃん(黒木華)。
武家育ちでありながら、今は貧乏長屋で質素な生活を送るおきくと、
古紙や糞尿を売り買いする最下層の仕事に就く中次寛一郎)と矢亮池松壮亮)。
この三人を中心に、貧しいながらもたくましく生きる長屋の住人たちを見つめる、
静かであたたかく、優しい物語。
江戸が舞台の時代劇と言われて、藤沢周平山本周五郎、はたまた黒澤明作品なんかを期待された方はゴメンなさい!!!
侍たちが斬りあうシーンは皆無です・・・!!
お殿様も、新選組も、竜馬どころか刀を持った侍すらほとんど出てきません。
数分、出ては来ますけど。
しかも映画が始まってから終わるまでスクリーンに描き出されるのは、
ウ〇コ、ウ〇コ、またウ〇コ!
とにかくひたすらウ〇コを掬い、集め、運ぶ若者の姿と、
そんな当たり前の江戸の風景のなかで暮らす貧しい人々の日常。
世界が大きく動こうとしていた幕末の江戸が舞台ではあるものの、
カメラが描き出すのはありのままの自然と、
そこで質素ながらも食べて出し、出たものを田や畑に運んで肥料にし、
そこで作られたものをまた食べるという循環型経済で社会を回していた、
下町に暮らす名もなき市井の人々の姿です。
それは当たり前のように描かれてはいますが、当時の江戸のこのやり方は実は世界の中でも最先端!
西洋では糞尿を道端に捨てたり川に流したりしていた時代。(今もそうしている国も多いですけど。。。)
しかもその画期的な循環型経済は、徳川家康のときにはすでに行われていたというんだから驚きです。
まさにSDGs!!
やるじゃん、家康!!
そもそもこの映画の始まりは、利益追求型の映画作りに疑問を感じていたプロデューサー(原田満生)が関心を持った環境問題と、
そのプロデューサーとともに京都・太秦を訪れた阪本順治監督がそこで育まれてきた日本の時代劇という技術を継承していかなければいけないと痛感した使命感から。
もう、映画ヲタクはこの二人の名前が出た時点でこの映画が気になったはず。
原田満生といえば、日本を代表する美術監督。
『舟を編む』『テルマエ・ロマエ』などの有名作品はもちろん、
阪本順治監督と20年以上ともに作品を作り続けている盟友でもあります。
そして私も大好きな映画たち『顔』阪本順治監督)や、『ざわざわ下北沢』市川準監督)、『深夜食堂』松岡錠司監督)!!
そして中劇で上映した稲垣吾郎主演『半世界』阪本順治監督)もこの方が美術監督を務めています。
つまり大好きってこと!
阪本順治監督に関してはもう、1996年公開の『ビリケン』が好きすぎて青春18きっぷで大阪に行っちゃった(気に入った映画があるととにかくロケ地に行きたがる)私なもんですから、好きに決まってます。
松山ホステス殺人事件の福田和子・元受刑者を題材にした2000年公開の『顔』はめちゃくちゃ面白かったし、
日本アカデミー賞で12部門もノミネートされた王道作品『北のカナリアたち』みたいな作品もありつつ、
『闇の子供たち』では人身売買や児童買春の闇に切り込んでタイ政府から上映中止にされちゃったりするようなとんがった作品を撮ったり、
かと思えばなんのドラマティックな出来事も起こらない田舎の暮らしを見つめる『半世界』みたいな作品を作ったり。
1作ごとに題材も、撮り方も、全然違うものを生み出してくるところが興味深く、やっぱりいつでも動向が気になる監督です。
今回は、初めてのオリジナル脚本での時代劇。
毎回、ワクワクさせてくれるなぁ・・・!!
若いころはやっぱりエキセントリックな題材や大胆な切り口で話題を呼んだ個性派監督と言った感じでしたが、
このところはわりと静かな人間ドラマになってきましたかね。
とはいえ実は昔から、そこまで派手な作品ばかり作ってきた人ではなくて、
選ぶ題材としてはセンセーショナルなイメージがあったとしても、実は主題はいつも名もなき市井の人々を見つめる作品だったりします。
世間を騒がせた金大中事件誰も知らない裏側を描いた『KT』然り、
チェ・ゲバラとともに革命戦争に身を投じた無名の日系人の生涯を描いた『エルネスト』(中劇で上映しました!)然り、
結局は最初の頃からずっと変わらず、掲げたテーマの裏にある普通の人々やなんでもない日常にスポットを当ててきた人のような気がします。(私の個人的な見解です。)
そして今回はまた、モノクロのオリジナル脚本の時代劇という日本映画の王道かつ一見派手そうな取っ掛かりでありながら、
中身はチャンバラ無しの糞尿まみれの青春ドラマという、誰も観たことのない全く新しい時代劇。
さすがです。
これからもまだまだ面白いことをやってくれそうな阪本順治監督。
楽しみだなぁ・・・!
そしてなんといってもやはりキャスト
キャストが良い!良すぎる!!
とにかくヒロインの黒木華ちゃんの、なんともいえないつるんとした、カラッとした、江戸の下町のおきゃんな娘が良い!!!!
(c)2023 FANTASIA
ハキハキとした、利発で気の強そうな、それでいて好きな人の前ではシュンとしちゃうかわいらしい江戸時代の女の子がまるで今、目の前にいるような気がしてきます。
後半、声を失い一言も言葉を発しないおきくちゃんになってからも、
凛とした清々しい透明感と芯の強さが垣間見える素晴らしい演技でした。
手話もまだない時代に、心も体も傷つき声を失った若い娘が、身振り手振りで愛する人に気持ちを伝えようとする姿は心をしめつけます。
このときの身振り手振りは、監督から丸投げされた黒木華ちゃんのオリジナル。
良いシーンでした・・・!
おきくと顔なじみらしい矢亮池松壮亮)の、ざっくりとした軽やかな明るさの裏の辛さや苦しみが滲む笑顔はせつないし、
それまでいろんな思いを飲み込み閉じ込めて踏ん張ってきた彼が最後まさにクソ喰らえ!と感情あらわにするシーンは圧巻。
お菊が想いを寄せる中次寛一郎)は、最初は空虚で生気の無い無表情な顔が下肥買いになったことや恋によって世の中を知り、徐々に表情が変わってくるのがほんとによかった!
(c)2023 FANTASIA
池松壮亮の朴訥とした、それでいて腹に一物持ってそうな一癖ある存在感はさすがだし、
寛一郎くんに至っては、ご存じだとは思いますが祖父が三國連太郎、父が佐藤浩市という嘘みたいなサラブレッド俳優。
中劇でも上映した『ナミヤ雑貨店の奇跡』のときはまだ十代で映画デビュー作だったこともあり、表情も硬くて印象も薄めでしたが、あれから6~7年。
今回の『せかいのおきく』の彼は、すっごく良い!!
スラッとしてガッチリとした恵まれた体型と、
自然でのびのびとした表情やなにげない佇まいからにじみ出る、
祖父&父から脈々と受け継がれる二枚目俳優の遺伝子!!
汗を拭って空を見上げる笑顔はマジで、スクリーン映えするまさに〝映画俳優”のお顔でした。
え・・・・嘘!!寛一郎、こんなにイケメンだった!!??(やっぱりそこ!?ていうか何様!?)
そしてもちろん今回、共演している父・佐藤浩市とのシーンはシビれますよ~!
(c)2023 FANTASIA
佐藤浩市の渋く枯れた元武士の空気感や、
飄々と、ナチュラルに長屋の長老としてそこにいた石橋蓮司
その昔、大河ドラマ「武田信玄」で信玄の少年時代を演じて私のハートを撃ち抜いた(あれがもう35年前だって!?ウソでしょ!?)眞木蔵人の、毒も牙も抜かれたような表情の(彼もまあいろいろありましたからね。。。)まさに悟りを開いた僧侶のような(僧侶です)住職役もピタッとハマり、
すべてのピースが揃ったパズルみたいなキャストでした。
メインキャストはこの6人。
そして紡がれていく、江戸の片隅の静かな日常。
雑然とした江戸の町の喧騒や鳥たちのさえずり、
花や草が揺れる音や肥溜めの匂い(!)までこちらに伝わってくるような臨場感のなかで、
るろ剣みたいにドラマティックなエンタメ感は無い、
三池崇史作品みたいなハードな斬り合いも無い、
でも、だからこそ時代も場所も超えて自分の隣にひっそりと暮らしているかのような身近なリアリティと共感に溢れた作品。
(c)2023 FANTASIA
静かで優しく、清々しい映画です。
ぜひ劇場で、この江戸の片隅の長屋の住人になったような気持ちで見守ってください。
近くに、時代劇と聞いて興味を持ったようなお父様やお母様がいらしたら、
「チャンバラではないよ。水戸黄門でも仕事人でも大岡越前でもないからね!」
と、必ず確認してから映画館に送り出してくださいね!
黒澤明とか、私が子供のころ大みそかに必ずやってた年末時代劇(「白虎隊」とかね!「忠臣蔵」とかね!ラストに堀口孝雄が流れてね!いや、もちろん私も大好きでした当然。)なんかを想像して来られちゃったら困るので、そこだけ要注意です!
公式サイトhttp://sekainookiku.jp/


さて、かつてないほどの渋滞状態でむりやり走っているような6月の中劇です。
WBCも、「銀河鉄道の父」も、まだまだ上映中!
『ハロウィンTHE END』については、明日6月9日から公開です。
(C) 2022 UNIVERSAL STUDIOS
・・・・あの・・・・私・・・・
ホラーは無理なんで(/_;)!!
ゴメンなさい!!
ホラーと戦争ものだけは、カンベンしてください!!
どうしても観られない。
ジェイミー・リー・カーティスは、その昔、友達が大好きだったコリー・ハイムの映画をSY内丸に観に行ったときに同時上映だった映画「ブルー・スチール」でめちゃくちゃカッコよかった女優さん。
「ブルー・スチール」は、もうほんとにこれでもかってくらいに理不尽に周囲の人が殺されてくし、観ていて「もういいよ!」ってくらいにヘトヘトになったハードボイルドな刑事もので、アメリカの刑事ものはしばらく無理!ってちょっとトラウマになりそうだったけど、
この女優さんキレイだなー、カッコいいなー、と思ったことをいまでもちゃんと覚えています。
私の大好きな映画「マイ・ガール」にも出てたー!!
けど。
「ハロウィン」は無理なのーーーーー(/_;)!!!
でも大丈夫。ホラー映画は、私がここで書こうが書くまいが、集客にはまったく影響がありませんから!
このての王道ホラーは、最初から好きな人しか来ないから!!
感想を読んで動員が広がるようなジャンルじゃございませんから!!
そして実は、ほっといてもちゃんとそこそこお客さんが入るジャンルでもあったりします。
ホラー映画好きのみなさま、お待ちしてます!
公式サイトhttps://halloween-movie.jp/

そして来週公開の『聖なる復讐者』は、重くてしんどい韓国の復讐サスペンス。
ⓒ2022 FINECUT Co., Ltd. & BLUE PLAN’IT Co., Ltd. ALL RIGHTS RESERVED
無惨に殺された弟の仇を討つために、容疑者たちが入所している少年院に自ら罪を犯して乗り込んでくるお兄ちゃんのお話です。
さあ、弟を殺した犯人は誰だ!?
なんですが、私、けっこう最初のほうで犯人わかっちゃったんですよね(;'∀')
ていうか、犯人探しの映画じゃなかった!
こちらもまた韓国映画特有の、韓国の抱える格差社会や社会問題なんかを容赦なくあぶり出しながらの、
ほんとに重く、救いのない人間ドラマ。
何と言っても主演のパク・ジニョンがすごい!
復讐に燃える主人公(地元でも有名な札付きのワル)と、知的障害のある(ピュアで笑顔のかわいい爽やか青年)の二役をこの方がやってるんですけどね。
最初、二役だとは気が付きませんでした!
すごい!!上手い!!
そしてこれは若者達の抗争が原因の痛ましい事件(舞台は少年院)なので、関係者も若者だらけ。
・・・・つまり韓国のイケメンパラダイス(またそれ!?)ってわけ。
兄弟の友人役のイケメンとか、敵役のイケメンもよかったですよ♪(結局それ。)
とはいえ日本でも定期的に大流行する「不良少年たちのカッコいいアクションもの」では決してなくて、
この映画のなかの喧嘩はつい目を背けてしまうほどの理不尽で救いようのないただの暴力。
そして、主人公は愛する弟を殺されて復讐に燃えているのではなくて、
自分も疎ましく邪魔にすら思っていた弟が殺されたことに対する後悔と、
弟のことを何も知らず関心も持っていなかった自分への罪の意識に突き動かされる兄というところが、ズシンと深くて重い。
もう、観ていてとにかくしんどくてせつない映画ですが、
韓国映画らしい暗さと重厚感のある犯罪ものでした。

そして、作品がぎゅうぎゅうに詰まってる渋滞中に限って、長尺の作品がやってくる午前十時の映画祭
172分の『大脱走』登場です。
© 1963 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.
めちゃくちゃ面白いんで、全然長く感じないんですけどね!
そしてここからスタートするのがなんと、学生さん半額キャンペーン!
これは嬉しい!!
前は、学生さんは500円で観られていたんですけどね。
シリーズ全体で値上がりしてしまったので、この半額はマジで嬉しいですよね!
若い人たちに、古き良き名作たちを映画館でたくさん観てほしい!
これから夏休みまで、たっぷり時間ありますからね、ぜひぜひ半額で名作たくさん観ちゃってください!

はー・・・・今回も超大作となりました(;'∀')
それでも今月、まだまだ新作待機中!!
全部は無理でもなるべくちゃんと観て、感想をあげていくつもりなので、
ウザがらずに覗きに来てくださーい!!


★中劇公式サイト  http://www.chugeki.jp/