暑さ寒さも彼岸まで。
というわけで、盛岡もお盆を過ぎてだいぶ過ごしやすく・・・
過ごしやすく・・・・・????
なりませんね( ゚Д゚)!!!
さすがにそろそろ朝晩くらいは涼しくなってもいい頃ですよね!?
ていうか、少し前まではお盆を過ぎたら盛岡なんかもう一気に秋でしたよね!?
やっぱり地球がおかしくなってます。
温暖化は心配だし、電気代は値上がりするし、節約したいのはやまやまなんですが。
・・・・・・暑い(;゚Д゚)!!なにしろ暑い!!!
子供の頃はエアコンなんかいらなかった(そもそも家になかった)のに、
今は朝起きたらまずつけて(暑いと食欲が出ないんですよね。。。)、
仕事が終わって家に帰ったらすぐつけて(暑いと動けません。。。)、
寝るときも設定温度は高めですけどつけてます(暑くて眠れないよね(/_;))。
冬生まれのせいか、暑さに弱くてごめんなさい。
ペンギンさんや白熊さんの住むところを減らしてるのは私です。
わかっちゃいるけど、エアコン使わずにはいられない。
こうやって温暖化が進むわけなんですね。
勉強になりますね(?)
そんなわけで夏休みも終わり、またいつもの静かな映画館に戻った中劇です。
え?夏休み中も静かだったって?
・・・・・・。
とにかく、夏休みが終わったということは、映画マニアたちの動きが活発になる「大人映画シーズン」がやってきたということ。
いいですね。楽しいですね!
中劇もなんだかんだでオファー殺到のためパンク寸前、すでに口からいろいろはみ出ちゃってる状態で今回の大人映画シーズン走り出してます。
中劇の公式サイトの近日公開コーナーにいくつか載せ始めてはいますが、
そのほかにも「!!!」「いいじゃん!!」「観たかった!!」と個人的に嬉しい作品が何本も待機中。
映画の情報解禁は、ロードショー系の大きな作品はもちろんですが小さめのセカンド作品(全国公開から遅れて上映になるもの)でも厳しいきまりがあるので、中劇では基本的に作品の公式サイトのシアターリスト(上映劇場案内)に名前が載ったら中劇の公式サイトに挙げて宣伝を始めるということにしています。
もうー、決まってるなら早く言ってよね!!という気持ちも、私も映画ヲタクなので超わかりますが、実は我々も、ジリジリしながら待っているんですよね、映画の公式サイトに名前が載る日を。
毎日、映画の公式サイトに見に行って、「・・・まだかー(-_-;)」ってね。
そう、皆さんと同じです。
さすがにおかしいでしょ!!ってほどに遅い場合は電話しますけどね。
「あのー・・・シアターリストにまだ名前が載らないんですが、そろそろ載せていただきたいんですが~いかがなもんでしょう?」ってね。
なので、言いたい!けど言えない!苦しい!!
というこの辛さ、どうかご理解いただき、一緒に公式サイトに名前が載る日を待ちましょう(?)
そんななか、中劇の大人映画シーズンのトップバッターとして上映が始まるのはこちら。
「春に散る」
©2023映画『春に散る』製作委員会
この映画のプロデューサーが、作家・沢木耕太郎が2017年に発表した小説の映画化権を獲得してから6年がかりで完成にこぎつけた、執念の作品。
沢木耕太郎といえば、それはもうやっぱり「深夜特急」ですよね!
バックパッカーのバイブルと呼ばれ、ノンフィクションにおいて独自の世界を築き上げた代表作。
私も若かりし頃にまんまとドハマりして何度も何度も読み返し、
そして「同じように旅をしたい!!!」と思ったのですが。
この小説にインスパイアされて企画されたテレビ番組「電波少年」のなかの『ユーラシア大陸横断ヒッチハイクの旅』(大人気でしたよね!私も好きで、帰国後に全国を回った猿岩石
のトークショーにも行きました。。。)を見てあまりにもハードだったため、
「・・・・・・・・やっぱ無理。」となり、
それでもやっぱり『深夜特急』のような旅への憧れはあきらめきれず、
結局のところ『ヨーロッパ3か国だけ横断列車&バスの旅(しかも1か月限定)』という、コンセプトはうっすら『深夜特急』へのリスペクトを残しつつも、よりマイルドで安全な旅に変更したバージョンで旅をしてきた私でした。
ちゃんと一人でアジアを回ったり、ヨーロッパをがっちりロシアの手前まで横断した友人もいましたが。
そこまでストイックでもない、暑さも虫も混雑も不便も苦手なくせにミーハーな好奇心だけは人一倍という私は、自分のなかでの折衷案を取ったわけなのでした。
ヨーロッパに行く前に、映画「恋する惑星」にハマって突然香港には行ってあったので、
『深夜特急』のスタート地点はクリア済みだったしね(?)
『深夜特急』に触発されたというわりに、目的は『映画のロケ地めぐり』というどこまでもミーハーなものでしたけど。
そりゃそうでしょ、私ですからね!
どんな旅行だって、映画のロケ地めぐり抜きではできませんよ!
私は沢木耕太郎のようなストイックな、「己の冒険心と好奇心の赴くままに旅をする」なんて高尚な旅行なんかしたことありません。
・・・・・で、何の話だっけ??
ごめんなさい、前置きが長くて「深夜特急」の映画なのかと思いました??
違うんです。
そうそう沢木耕太郎!
そうなんです、だからこんな私みたいな田舎のミーハーなただの小娘でさえもバックパック一つで海外に行って安宿を泊まり歩きたくなっちゃうくらいに面白い小説を書く作家なんですってことが言いたかっただけなんです。
自伝的作品である『深夜特急』をはじめ数々のベストセラーを世に放ってきた沢木耕太郎はノンフィクションやエッセイが有名な方なんですが、
スポーツを題材としたものも多く、なかでもボクシングに造詣が深いことでも知られており、ボクシングをテーマにした作品もいくつも発表しています。
そんな沢木耕太郎が2017年にノンフィクションではなく小説として発表したのがこの「春に散る」。
©2023映画『春に散る』製作委員会
主人公は二人の男。
40年前、日本のボクシングに失望してアメリカに渡った元プロボクサーが日本に帰国するところから始まります。
これが佐藤浩市。
めちゃくちゃ渋い!!もうそこにいるだけでボクサー。
そしてこの方が出てるというだけで「絶対面白そう」と思いますよね。
中劇で上映した作品のなかでパッと浮かぶだけでも「20歳のソウル」の名門吹奏楽部を率いる名物顧問や「せかいのおきく」でのちょっとワケありな元武士、
そして今回の「昔プロボクサーだったけど思うところあって帰国しました」の役なんかも、もうなんか出てきた瞬間、佇まいから姿勢から動きからその役のバックグラウンドまで透けて見えるような気がするくらいに完全にその役が入りこんでいるのがすごい。
「この人がやるなら絶対大丈夫」っていう安定感と信頼感、そして存在感。
もう一人の主人公は、不公平な判定にブチ切れてボクシングをやめてしまった若者。
こちらが今をときめく横浜流星。
もう・・・なんていうか・・・・ひたすらカッコ良い。
この、過去のボクサーと今のボクサーが出会い、人生が交錯していくたった一年間の物語。
映画の始まりはちょっとユーモアも交じえつつ、人生の夕暮れを迎えた男たちと今を生きる若者の不器用な出会いと交流が描かれてほっこりするんですが、
男たちが本気でボクシングに向き合い始めると途端に、熱くてワクワクするスポ根ドラマになってきます。
でも、ただただ暑苦しいスポ根じゃないのがいい!
目線はずっとフラットで、誰か一人の視点じゃないので熱すぎず。
一人一人を静かに見守り、そこに入り込みそうになるとサッと次の視点に移る、そんな感じ。
だからこそ、ボクシングはもちろん格闘技全般が苦手な私でも、本物の試合に即したボクシングの試合のシーンもリアルすぎて見ているこっちがしんどいくらいに白熱しているのに目を逸らさず観ていられたのかも。
そしてこの、ガチのボクシングシーンがまたすごい。
そもそも空手の有段者、そして今回の役のためにボクシングのC級ライセンスも取得したという本気も本気の横浜流星が、撮影が始まる前にこの映画のボクシング指導の方に「プロから見てカットでごまかしてると思われないようにしたい」と頼み込んだというガチっぷり。
試合のシーンの構成も徹底的にボクシングの本物の試合に沿って作られているし、
撮影の仕方もカメラのせいで芝居を切らないようシネスコサイズで複数のカメラで撮影、そして第11ラウンドだけは完全アドリブという、俳優もスタッフも本気のリアル。
ライバル役の坂東龍汰、そしてディフェンディングチャンピオン役の窪田正孝も、
体作りから食事までプロと変わらない本格的な指導のもと、厳しいトレーニングを乗り越えて撮影された、肉体と魂を燃やし尽くす激しくリアルなボクシングシーンは必見です。
シーンとした会場で、キュッキュッと鳴るステップの音と荒い息遣い、そしてグローブが風を切りパンチが体にめり込む音だけが聞こえる緊迫感は、本当にその場で試合を見ているように手に汗握ったし、
パンチをくらってリングに沈む男たちの姿は熱くせつなく心を揺さぶられました。
かといって、ついつい体に力が入ってしまうボクシングシーンだけではなく。
ボクシングのトレーニングと同時に紡がれていく人間ドラマチームの、
哀川翔と片岡鶴太郎の、妙に説得力のある元ボクサー感や、
27年ぶりに実写映画への出演となる山口智子、
そして、「今の日本でヒロイン役と言ったらとにかくこの人」の橋本環奈。
この布陣が強すぎる。
特に注目してほしいのは橋本環奈。
©2023映画『春に散る』製作委員会
この、ほんともうマジでどこから生まれたの?レベルのガチ天使クラスの超絶美少女・橋本環奈姫が、今回、ほんとに、大分の田舎から出てきたスッピンで飾り気もなく着ている服も小ダサい、しかも父親の介護疲れで表情も薄い素朴な娘を演じてるんです。
すごくないですか?
ちゃんと見るともちろん超絶美少女なんですけどね。地元で一番の超絶美人でミスなんとかあたり取ってそうなくらい美しいんですけどね。
それでもやっぱり今回は、天使オーラは完全に消しちゃってちゃんとダサいのがイイ!!(超絶褒めてます)
まだまだ若いので、少し前まではどうしてもアイドル女優といった空気感が抜けきれなかった環奈ちゃんですが、今回はそこから一つステージを上げ、
ハンパなく綺麗な女優さんにはもしかしたら一番難しいかもしれない〝田舎の普通の女の子”の存在感も演技もモノにしたかも。
このヒロインのエピソードなんかもできればもっとしっかり見たかったですけどねー!
全体的にちょっと駆け足な感じになってしまっていたのは否めない。
でもなにしろ原作は上下巻からなる長編。
それを2時間ちょっとで描き切るというのはまず無理というもの。
じっくり、ゆっくり、一人一人の人間を見つめたうえで、ボクシングを通じて交錯し少しずつ変わっていくいろんな人生を味わいたかったというくらい、キャストも絶妙で描き方もすっごく良かったので、これをきっかけに原作を読んでもらうといいのかもしれません。
お話も、派手なエンターテインメントではなくて、あくまでも現代の日本に暮らす一人一人に寄り添った、誰でもどこかに共感できる人間ドラマになってます。
ボクシングという一見派手なテーマのもとではありますが、
実は出てくる人みんな、全然キラキラしてない。
・・・・イケメンはどうやったってイケメンだけど。
イケメンたくさん出てて、それだけで癒されましたけど。
流星くんも、坂東龍汰くんも、窪田正孝も、鍛え抜かれた上裸で汗だくで命賭けで戦ってるんだもん!
目の保養。ありがたい。最高です。
ほんとみんなカッコイイよねぇ~~~( *´艸`)!!!
不器用で人生に挫折した人(イケメンだけど)とか、
ほんとはいい子なはずなのにプレッシャーで強がってるボクサー(イケメンだけど)とか、
田舎で介護に明け暮れて疲れ果てた娘さん(超絶美人だけど)とか、
バブル期に日本を離れ、病気を抱えて戻ってきたら疲弊した国と光を失った故郷になってて哀しくなっちゃうおじさん(イケオジだけど)とか、
男運が悪くてしょうもない暮らしから抜け出せない母親(坂井真紀、こういう役似合いすぎ)とか。
出てくる人みんなが重くてリアル。
そんな人たちが、夢と一瞬の光を求めてすべてを懸ける胸熱なドラマです。
それでも重くなりすぎず、一歩引いた目線ですべてを冷静に見つめて「今この瞬間を生き切る」人たちの魂の叫びを描きだす、爽快で希望にあふれた作品です。
©2023映画『春に散る』製作委員会
監督は、「64ーロクヨンー」「護られなかった者たちへ」で数々の映画賞を受賞、
「糸」「ラーゲリより愛をこめて」では大ヒットを記録した瀬々敬久。
温かくも一歩引いた冷静な目線で、深く力強い感動作を送り出してきた映画職人。
若いころ沢木耕太郎のノンフィクション作品を夢中になって読んだ経緯を持つ監督自身が「これぞ沢木耕太郎というような映画を撮りたいと思った」と語っており、
まさに世代を超え、時代を熱く焦がし続ける者たちの魂の叫びをスクリーンに描きだしています。
観たあとの心には、不思議な解放感と同時にほんのりと切なさが残る、
熱く儚い大人の青春映画。
白熱のボクシングシーン、絶対にスクリーンで観てくださいねー!!
さてさて、暑いなかでも毎日ものすごい数の見なくちゃいけないドラマやバラエティ番組に追いかけられつつ、映画もなんとか観ようと頑張っている私です。
この大人映画シーズン、もちろん中劇の作品は可能な限り観ようと思っているし(思ってはいます。もちろんね。)、
先日、推し活もかねて観た「トランスフォーマー」(当然、日本語吹き替え版。みなさん、「トランスフォーマー」観てください。まだの方や迷ってる方はぜひ。もちろん日本語吹き替え版ね。子供も楽しめる究極のエンターテインメントでした!)がめちゃくちゃ面白かったので、なんならもう一回観たいし、
南部興行さんの近日公開作品が私のヲタク心をくすぐる神ラインナップなのでマジでスケジュール大変なんですけど!!とニヤニヤしているところ。
ああー大変大変!通わなくちゃ!
さあ、夏休み期間は観るものがなくてわりとおとなしめにおうちにこもってた映画マニアのみなさん、出番ですよ!!
選り好みせずにすべての映画館の上映予定をチェックして、思う存分マニアックな映画生活を再開してくださいね!
中劇もまだまだ新作入ってきますからね、お楽しみにー!!!
★中劇公式サイト http://www.chugeki.jp/