2022年3月2日水曜日

韓国映画の新しい風「声もなく」

こんにちは。
前回の更新も、たくさんの〇ャニヲタ・・・いやファンのみなさまに読んでいただいたようで、ほんとにありがたい(´ー`)
え?このブログ書いてる、〇ャニヲタの人と香港映画ヲタの人と、
それからいつものマニアックな映画ヲタの人は、私です
ぜーーーんぶ同じ人ですよ?
ちょっと頭がイカれ気味ですが、多重人格ではありません。
広く浅くができなくて、いちいち沼が深いので大変(;´Д`)
今回は韓国映画について長く語るつもりだし(胃もたれ不可避を予告しておきますので、胃腸の調子が良くない方は体調整えてからお読みください)、
しかもイギリス映画も好きなので、アカデミー賞に7部門ノミネートされた「ベルファスト」についても近くなったらゴリゴリに語るつもりだし(めちゃくちゃ良かった!マジ良かった!絶対観てくださいね!)、
お仕事しつつ、推し事もしつつ、お笑いも好きだしドラマも見たいので、アマプラ見たり録画見たり映画は映画館で観たいし・・・・って、
だから毎日睡眠5時間無いんです(-_-;)
一日が24時間なんて足りないよ!!!
ねえ、睡眠って、ほんとに必要!?
どうして寝なきゃいけないんだ!?(→毎日コタツで寝落ちの人)
一つだけ願いが叶うなら、一日を48時間にしてください(>_<)
・・・・・そうなったらそうなったでそれでもまた足りないと言いそうな私ですが。


と、いうわけで今回は韓国映画です。
「声もなく」
(C) 2020 ACEMAKER MOVIEWORKS & LEWIS PICTURES & BROEDMACHINE & BROCCOLI PICTURES. All Rights Reserved.
こちらは、韓国のアカデミー賞といわれる青龍映画賞新人監督賞主演男優賞を受賞したほかアジアじゅうの映画賞を総なめにした話題作。
口のきけない主人公の青年を演じるのは、カンヌパルムドール(最高賞)候補になった「バーニング 劇場版」(原作は村上春樹)のユ・アイン
韓国ではモデルとしても活躍中の、竹内涼真似のイケメンスター俳優なんですが、
「バーニング」ではめっちゃイケメン!https://youtu.be/fBxkD6wEqrI
この映画ではなんと15kg増量し、だらしない体型の冴えない田舎の青年として、
「あぁ・・・こういう人、いるなぁ・・・(-_-;)」って感じのぬぼーっとした〝ダサめの大男”の存在感でスクリーンに登場します。
作品全体に漂うのは、どことなく重さと暗さをまとったまさに〝韓国映画”っぽい空気感ではあるんですが、
そのなかにほんのりとした優しさや透明感みたいなものを感じたのは、
緑濃い田舎ののどかな風景や、空の色、計算され尽くした小物たちなんかのさりげない映像の美しさ、
そしてシビアなストーリーにおかしみを滲ませて絶妙なユーモアを織り交ぜた巧みな作り方によるものなのでしょう。
犯罪映画なのに全体がふわっとしたあたたかみで包まれる、不思議な感触のこの映画の脚本と監督を手掛けたのは、
たくさんの日本映画やアニメを観て育ったという新人ホン・ウィジョン
この長編デビュー作で数々の賞を受賞し世界各国の映画祭の話題をさらった、
1982年生まれの女性監督です。
#Me Too運動の広がりで、最近はアメリカのアカデミー賞の傾向を見ても、アジア系、そして女性クリエーターに対する評価が上がっていることがわかりますが(〝世間の空気を読んだ忖度”ともいえますが・・・)、
いまだに厳しい家父長制男性尊重主義が消えない韓国で、
若手の女性監督の初監督作、しかも低予算のオリジナル脚本作品が評価されたというのは素晴らしい快挙といえますよね。
この映画では、親から身代金を払ってもらえない少女に垣間見える男女差別だけでなく、
口のきけない主人公や、足をひきずり闇の仕事をする男性など、社会的に差別を受ける人々の不条理全体を描きたかったと語っています。
テーマは重いし、始まってすぐにわかるのは主人公が闇の仕事をして生計をたてているということ。
うわ、暗い映画なのかなあ・・・と思いながら観ていると、
いつの間にかクスクス笑っている自分に気が付きます。
ゲラゲラでもない、ほんわかでもない、不思議なおかしみ。
パステルカラーの風景にとけこむのどかな夏の一日に、
うっかり心が洗われるような気さえしてきます。
スクリーンに映しだされているのは思いっきり犯罪なのに。
前半はわりとのんびりと、ド田舎の美しい田園風景のなか、
偶然と必然に引っぱられるようにして始まったいびつな疑似家族のような日々がつづられます。
親が身代金を払ってくれない誘拐された少女
命令に従うしかなくて、その少女を預かることになった口のきけない青年その妹
そしてその兄妹の面倒を見てきた足の不自由な男
その、ごくごく小さなコミュティのなかの儚い一瞬の夏休みのような時間が眩しくてせつない。
(C) 2020 ACEMAKER MOVIEWORKS & LEWIS PICTURES & BROEDMACHINE & BROCCOLI PICTURES. All Rights Reserved.
最近だとカンヌパルムドールを受賞した是枝裕和監督の「万引き家族」にも通じる、〝社会から見えない人々”を描いたお話です。
そういえばアカデミー賞の作品賞を受賞した韓国映画「パラサイト」や、
日本アカデミー賞を受賞した「ミッドナイトスワン」なども、
貧困やマイノリティ、格差社会などをテーマにした映画でした。
いま現在、世界中の先進国が抱える闇であり、
人々が関心を持っている問題です。
この映画では、外の世界とは一線を引き静かに誰にも気づかれないように暮らしてきた青年が、
他者と密接に関わることになったときの戸惑いや、
育ちは良さそうなのにあまり幸せそうでない少女と、
身なりは汚いし学校にも行ってなさそうなのにどことなく幸せそうな少女が、
一緒に暮らすことでほんのちょっと何かが変わる瞬間。
そんな小さな心の揺れ動くさまが、
のどかで美しい田舎の景色をバックに、
静かに、だけどくっきり濃密に描きだされます。
登場人物はわずか、
ストーリーはごくごくシンプル、
しかも主人公は一言も喋らない。
本当に必要なもの以外すべてを潔く削ぎ落した作りだからこそ、
濃厚に浮かびあがってくるメッセージ。
自分で選んだわけではないけどそうするしか生きるすべがなくて闇の仕事を淡々とこなしながらギリギリの静かな暮らしを続ける微妙なバランスも、
自分が弟より価値が低いためどうやら親が身代金を払うのを渋っているようだというのに気付いている少女が、誘拐されているにもかかわらずなんとなく居場所を見つけたように心を許した表情になる瞬間も、
それまで何事にも抵抗せず流れに身をまかせるようにしか過ごしてこなかった主人公が、
一度だけ自分の心に正直に、まっすぐに感情をあらわしたときの弾けるような心の高まりも、
そのままどすんとストレートに伝わってくる。
でも、ほのぼのとして心が通いあってきたんだなと思った直後、
グイッと現実に引き戻されたり、
あっさりしたドライな描き方で実はものすごい犯罪のシーンを映し出していたりと、
ところどころドキッとさせられながら、
いつの間にかすっかり自分もその不思議な疑似家族のなかにいるような気分に。
そして彼らの状況や心がすこしずつ変化するにつれて、
同じ場所でも色合いや雰囲気も変わっていく。
人は、他者との関わりによってどんどん変わっていくものなんですよね。
(C) 2020 ACEMAKER MOVIEWORKS & LEWIS PICTURES & BROEDMACHINE & BROCCOLI PICTURES. All Rights Reserved.
そして後半、たたみかけるようなハラハラドキドキの展開に息をのみながらも、
あちこちに張り巡らされた伏線があったことに気付いてハッとする瞬間が心地良い!
それぞれが着ている服にもきっと意味があるし、
パステルカラーの美しい風景場所場所の色合いも、
最初に少女がつけていたお面やヤクザが着ていたスーツ
トイレの外で叩き続ける手や、
家で無造作にちらばっていた服近所のおばあさんとのやり取りまで、
すべてが完璧に計算し尽くされた伏線!
もっとあったはず!だからもう一回観ないと!
そして圧倒されるのは、誘拐される少女役の子(ムン・スンア)の静かな演技!
センスも好みも影響しない無機質な制服に身を包み、お面で顔を隠して、
自分が置かれている状況を冷静に見極め、
どうすれば生きられるのか、いま何をすべきかを常に考えているような賢い少女の顔と、
疲れ切って世の中をあきらめているかのような乾いた女の顔
さらに時折、聖母のようにすべてを包み込むような優しい母親のような顔も見せながらそのときそのときの流れに身をまかせる姿は、
子役というより完全に実力派女優。
(C) 2020 ACEMAKER MOVIEWORKS & LEWIS PICTURES & BROEDMACHINE & BROCCOLI PICTURES. All Rights Reserved.
これはすごい・・・・。
「ユリイカ」のときの宮崎あおいを思い出しました。
泥臭い底辺の暮らしを描きだしながらも、
韓国映画というよりフランス映画のような、
シンプルなのにセンス良く尖ってるヨーロッパ方面の犯罪映画のような、そんな感じ。
・・・・・・嫌いじゃない。
韓国映画に、また新たな風が吹き始めたようです。
エンタメに国力とお金とエネルギーを迷わず注ぎ込んで、
それがカンヌアカデミー賞の常連に名を連ねることで実を結んだといえる韓国映画界は、
今まさにノリにノッてる状態。
国が抱える問題が大きすぎて(朝鮮戦争やその後の北朝鮮との関係、そして脈々とつながる政治的社会的な問題諸々)、
他のアジア先進国から経済的な発展で遅れをとっていた韓国ですが、
逆に言えばそのおかげで、ちょうど世界中でインターネットなどが普及し始めたタイミングで国力を上げるために何が必要か、どこにお金をかければ世界に負けない国になれるのかを見極めて大きく舵をとることができたのだと思います。(→個人的な見解です)
そこで、ITや観光、そしてエンタメにとにかく国をあげてお金とエネルギーを注ぎ込むことでものすごい急速な経済発展を遂げた韓国は、
今、エンタメでもITでもアジアのトップに躍り出た感があります。
私が韓国映画「シュリ」を観てガツンと頭を殴られたような衝撃を受けソッコー韓国旅行を決めたのは、2000年。
まさに世界中で韓国エンタメが大きく動き始める直前のこと。
金銭的にも政治的にも余裕が出てきた韓国は、そのころすでにターゲットは国内ではなく海外。
裕福な家庭ではみな子供を海外に留学させて、先の先を見据えていたようです。
国も本気で世界規模の潮流を作るため、
中国のエンタメのシステム(公的な学校で学問として演技や技術を学んだ者がエンタメの世界に入っていく形)と、
ハリウッドのエンタメのシステム(映画やドラマを作るためだけの場所を持ち、時代劇から最新技術まで一か所でまかなえる)、
日本のエンタメのシステム(〇ャニーズ事務所のように、子供のころから歌やダンスをたたきこんで育て、十代のうちにデビューさせる)、
世界中のいろいろなやり方を学び取り込んで、
いち早く海外マーケットを視野にエンタメを動かし始めていたんですね。(→韓国を旅行した時に仲良くなった現地のガイドの女性から聞いた話ですが、諸説あります)
私が初めて観た韓国映画「風の丘を越えて」(1994年)という低予算、スター無しのアート系映画でしたが、すっごく良くて驚いたのを覚えています。
私がこの業界に足を踏み入れてすぐのころで、
先輩から「好き嫌いしないでなんでも観なよ!それも仕事!」と言われてとにかく選ばず時間さえあればひたすら映画館で観まくっていたのです。
それでそれまで観ようとも思わなかった世界中のいわゆるミニシアター系の映画に触れ、
この韓国映画に出会ったというわけなんですが、
作品的にも海外の賞もたくさん受賞して評価された名作なので、
これは韓国映画界としても一つのターニングポイントだったのだと思います。
その後、何かの映画祭か企画で1980年代の韓国映画を観たのですが(タイトルは忘れちゃったし内容も全く覚えてません)、
火曜サスペンスもビックリの、誰かが殺されて警察署で何か問題が起きたみたいな、ストーリーも言いたいこともよくわからんけどひたすら暗くておかしな映画で、
この映画からたったの10年かそこらで「風の丘を越えて」のような素晴らしい作品が作られたのかと、また違った驚きがありました。
そして今度はそのほんの数年後、技術もお金も製作の仕方も格段とレベルアップした商業映画「シュリ」で、アジアどころか世界中に衝撃を与えることになった韓国映画
ターゲットを世界に据えて、冷静に計算を重ねて力を入れてきたインターネットや最新技術で目覚ましい成長を遂げた韓国は、
エンタメでは最初から国内しかターゲットにしていなかった日本や(今もですね)、
逆に人口の多さと情報操作のやりやすさから国内マーケットだけでじゅうぶんという中国(これもまた今もそうですが)とも違った独自のやり方で、
エンタメの世界マーケットに躍り出たのです。(→しつこいですが個人的な見解です)
ちょうど、それまで映画やアイドルなどアジア中のエンタメ分野のトップを独走してきた香港が、中国への返還によって人材も技術も勢いも一度に失った時期でもあり(社会主義の中国への返還を嫌がり海外へ出た人がたくさんいた)、
そこへ技術も実力もスターも完璧に揃った韓流が一気に映画でもドラマでもアイドル業界でもトップに躍り出た、というわけ。
でも私はずっと、香港映画が一番好きだよー!!
そしてニコラス一筋だよーーーーーー!「レイジング・ファイア」ニコラス・ツェー
〇ャニーズとかけ持ちだけどねー!
それから一瞬、チャン・ドンゴンヒョンビンに浮気しそうになったけどねー!
ごめんなさーい!!(どうでもいい)
・・・・・で?なんの話でしたっけ(*'ω'*)
そう、そんな韓国映画は今、カンヌパルムドールアカデミー賞の作品賞も手に入れてアジアではもうすでに敵なしみたいな、無双状態。
なんですが、そのなかで大手製作会社や有名企業のバックアップも無い、
女性の無名監督のデビュー作であるこの「声もなく」という低予算映画が大きく評価されたのはとても良い傾向だと思います。
(C) 2020 ACEMAKER MOVIEWORKS & LEWIS PICTURES & BROEDMACHINE & BROCCOLI PICTURES. All Rights Reserved.
お金や権力だけでない、作品じたいが持つ力。
「ミッドナイトスワン」日本アカデミー賞を受賞した時と同じ、
まっすぐなすがすがしさを感じます。
これからまたどんどん新しい韓国映画が出てきそうですね!
楽しみ(*‘∀‘)♪
初めて韓国を訪れた数年後、
今度はヨン様にハマった母親に強制的にガイドとして韓国旅行に連れていかれたのですが、そのとき、
外国も飛行機も怖くてそれまで海外旅行を避けてきた母親に迷わず韓国行きを決めさせたそのものすごいエネルギーを持つ韓国エンタメの力を実感し、
「これはすごいことになってきたなあ・・・」
と思った私でした。
え?母のやってることが私と同じだって?
そう、ミーハーは『血』なので仕方ない( `ー´)ノ
と、そんな、初めて観た韓国映画にまでさかのぼって感慨深く語っていたらまたしても大長編になってしまったヲタクブログでした。
こうやって暑苦しく語りましたが、
この映画「声もなく」、シンプルなだけに観る人や観方によってガラッと印象が変わる映画です。
ぼんやり観るとそれなりにぼんやりとしたイメージ、
思いっきり入り込んでみると圧倒的な奥深さがある映画だと思います。
まあ、そもそも映画ってそんなものかもしれませんが、
これは特に。
なので、これから観る方は、あちこちにアンテナを張って観てもらえればと思います。
こんなに見応えあるのに90分だしね!
それでいて省略感も早送り感も無いって、それもすごい。
映像が綺麗で、
銃撃戦も血みどろの殺人シーンも出てこない、
最後、ハッピーエンドを願ってしまう不思議な犯罪映画。
ぜひ劇場で、物語に入り込んで観てください。
公式サイトhttps://koemonaku.com/


さて、初恋の人が去り(「スタンド・バイ・ミー」が終わって初恋のリバー・フェニックスが見られなくなったという意味)、
生涯で一番愛した元彼もまたしても私の前から姿を消し(「レイジング・ファイア」が終わってニコラスが見られなくなったという意味)、
そしてもうすぐゴーモリタまで私を捨てて行ってしまう(「前科者」が3月3日で終了してしまうという意味)、
なんか・・・・・・・・・春ですね(?)
目もかゆいし鼻もグズグズ・・・・・やっぱり春ですね(+_+)
もう今週末からは春の代名詞「映画ドラえもん」が登場。
やっと。やっとで観られる、春のドラえもん
一年越しです。
・・・いや、一年延びたということはつまり、二年ぶり!?
今年はほんとにやれるんでしょうね!?
またドタキャンとかなんないでしょうね!?
と、スタッフみんな疑心暗鬼。
今のところ上映延期の連絡は入ってきていないので、たぶんいける?
映画館でのクラスターなどは出ていないので、
マナーを守って観てもらうぶんには映画は大丈夫、と周知されてきていると思いたい!
こんなに長引くとは思いませんでしたからね、
結局、未知のウイルスとはどうにかして日常生活をキープしながら向き合っていくしかないということか。
え?混雑状況?
・・・・・・・・・・・・そんなに混まないので大丈夫ですよ。
(→あちこちから怒られます)
というか、コロナがまだおさまらないこの状況もありますが、
同じ地区内で拡大上映する(複数の映画館で同じ映画を上映する)場合、
座れないほど混み合うなんてことは今、ほとんどありません。
特に中劇?
失礼だな(゚д゚)!!
・・・・・・・そうだよ!文句ある!?
今はオンラインで空席状況を見てから出かけてもいいんですからね、
そういうのを活用して、安心安全に映画を楽しんでいきましょう。
リアルタイムの混雑状況は中劇ツイッターで発信していますので、
そちらをぜひご利用くださいね。



★中劇公式サイト PC→http://www.chugeki.jp/