なんだか暖かい11月ですね。
コタツが壊れたけど全然平気!助かる!(それは買いましょう。)
地球温暖化がどうのと、たまに思いついた時だけ言ってはみるものの、
やはり寒いよりは暖かいほうが、
雪は多いより少ないほうが、助かりますもんね。
背に腹は代えられない。
なるべく暖房も使いたくないのよ。灯油も高いんで(>_<)!
ごめんね、北極の動物たち!
そんな自分の薄っぺらい環境への配慮の後ろめたさから、
このごろ白クマのぬいぐるみやマスコットばかり買ってしまいます。。。
つい先日も、でっかいモチモチの白クマちゃんをお迎えしてしまいました♪
絶滅危惧種を我が家で保護(?)!!!
・・・でもそんなことよりも、このままコタツを買わずにひと冬越したほうが電気代が抑えられて環境に優しいのか?
いや、やはりコタツを新調して石油ストーブの設定温度を下げれば良いのか?
それともたくさん着こんで、食事は毎日鍋もの!?
などとしょうもないことばかり考えている11月でした。
というわけで結果、暖房費の節約のため、
なるべく家にいないように映画を観ます( `ー´)ノ
・・・・決意表明。
そんなこんなで、気が付いたら11月もなかばです。
中劇でも私自身が楽しみにしていた作品いろいろ始まっちゃってました(*_*;)
前から、がっつり映画の感想書くために資料も読み込み、
劇場で映画も観て、テレビでやってた特集も見て。
と気合が入ってたんですが。
結局こんな時期に(/_;)
ほんとはもっと早く書かないと映画の宣伝にならないんですけど。。。
月末は・・・・カンベンしてください!!
これでも一応、仕事あるんで(;´Д`)
と、精一杯の言い訳をしたところで、
まずはすでに観たい人は観てしまったであろう10月29日から上映中のこちら。
「モーリタニアン 黒塗りの記録」
© 2020 EROS INTERNATIONAL, PLC. ALL RIGHTS RESERVED.
すごかったですね。
アメリカ同時多発テロを引き起こしたメンバーとされ、
テロリストを中心に収容するグアンタナモ収容所に拘禁された青年モハメドゥ(モーリタニア人=モーリタニアン)の、地獄のような投獄生活。
司法手続きなしに長期拘禁され、厳しい尋問や拷問を強いられる様子が、
本人の手記をもとに描かれています。
2015年に出版されたこの手記。
アメリカ政府による検閲で多くが塗りつぶされたもので、
しかも出版当時はその著者はまだグアンタナモに収容されていたという異例尽くしのこの本は、
瞬く間にアメリカで大ベストセラーとなり、
その後、世界20か国で翻訳され刊行されました。
そしてこの手記をどうしても映画化したいと名乗り出たのが、
そう!我らがベネ様!
イギリスの至宝!ベネディクト・カンバーバッチだったのでした。
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さすがです(*‘∀‘)
ベネ様クラスの超一流俳優になると、プロデューサーとしての腕も一流なんですね!
当初、自身の映画製作会社でプロデューサーに専念するはずだったのが、
当初、自身の映画製作会社でプロデューサーに専念するはずだったのが、
完成した脚本に感銘を受けて、やっぱり自分も出たくなっちゃったという。
そして、そこはベネ様でよかったー!!!の満点以上の素晴らしさ。
親友が9・11でハイジャックされた機に搭乗していたという怒りと、法律家としての正義に悩みながら起訴を担当するスチュアート大佐(実在の人物!)の役は、
このベネ様しか考えられない!
そして最初はあまり乗り気でなかったはずが、調査を始めると次々出てくる驚愕の真実に弁護士としての使命や正義を揺り動かされる主人公ナンシー(こちらももちろん実在!)役のジョディ・フォスターがまた完璧にハマり役!
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この稀代の名優二人のバッチバチの演技対決はシビれます。
でもこれ、弁護士vs軍の検察官の裁判対決ではないし、
犯人を捜せ!でもない。
お話は、複雑なようでいてごくごくシンプル。
9・11の容疑者として拘禁された一人のモーリタニア人青年モハメドゥの容疑に対して、
その不当な長く厳しい拘禁生活を軸に、
弁護士と検察官、それぞれの立場からまっすぐに事実を見据え、
いろいろな葛藤や困難に見舞われながらもお互いの正義を貫いて真実に辿り着こうとする姿を描きます。
その描き方はまさに中立であり公平。
モハメドゥを真ん中にジョディ・フォスターとベネ様、両方の立場からまっすぐ真摯に疑問や真実に向き合います。
実在する登場人物が存命で、しかも実際の出来事からそれほど時間がたっていない実話ものの映画化は難しいと言われていますが、
この作品では原作に忠実なだけでなく、
著者モハメドゥ、弁護士ナンシー・ホランダー、検察官スチュアート・カウチ大佐本人たちが脚本の段階から関わりチェックしているので、
こちらの想像以上にリアルで、細かい部分まで誠実に作られているというのが画面越しにも伝わってきます。
エンディングでは、このご本人たちが登場して現在の様子を見せてくれています。
モハメドゥの大きく朗らかな笑顔も、
弁護士ナンシーの美しく凛とした佇まいも、
スチュアート大佐の柔らかい物腰のなかに秘めた芯の強さも、
それぞれ演じた役者と驚くほどリンクしていて、
私は画面を見ながら、思わず大きく頷きました。
監督も数々のドキュメンタリーで高い評価を得ているケヴィン・マクドナルド。
エンタメの要素を盛り込みながらも、ヒリヒリとした緊張感とクールな眼差しで、
弁護側と検察側双方に同じ熱量で向き合います。
生々しい事実の暴露や激しく悪を糾弾するような形での作り方ではなく、
誰にでも起こりうるだけに衝撃が強いこのテーマを、
冷静かつドラマティックにスリリングに描き、
心を揺さぶる人間ドラマに落とし込んでいるのがすごい。
声高に人権を叫ぶわけでも、テロへの報復に囚われて暴走するアメリカを擁護するわけでもない。
この明らかなる中立の目線は、イギリスの製作会社によって製作され、監督もイギリス人だからこその公正さによるもの。
なんかこの、冷静で客観的な事実の描き方、最近もあったなあ~・・・と思ったら。
「クーリエ 最高機密の運び屋」も、
「ONODA 一万夜を越えて」も、そうでした。
事実をもとにした実話の映画化で大事なのはやはり、
片側からの一方的な語り口ではない冷静で客観的な目線ですよね。
それが、事実をよりリアルに浮かびあがらせ真実を描くことにつながるのだと思います。
そういえば「クーリエ」では、ベネ様はソ連に拘禁され拷問を受ける役を演じていましたし、
そもそも国交断絶したキューバにアメリカ軍の基地があり現在も収容所を使っているというのも〝アメリカがキューバの独立を援護した見返り”だったので、キューバ危機を題材とした「クーリエ」に関係しますね。
この秋の「中劇・漢(おとこ)祭り」、さりげなくいろいろつながってましたね!
今、気付いたけど(;'∀')
ちなみに、次にご紹介する「サウンド・オブ・メタル」の主人公ルーベンを演じているパキスタン系イギリス人のリズ・アーメッド。
彼は2006年にマイケル・ウィンターボトム監督の「グアンタナモ、僕たちが見た真実」に出演、アルカイダのメンバーと間違われ、グアンタナモに送られた青年を演じていて、
こちらもさりげなくつながっていて、まるでわざと特集したみたいになってますね。
もちろん偶然だけど(*‘∀‘)
話がそれたので戻しますが、サブタイトルにもあるようにこの作品は、
都合の悪いことを黒塗りで潰して強引に事実を捻じ曲げ一人の人間の人生を変えてしまった大きな国家と権力の闇を描いた映画ではありますが、
政治も宗教も人権もとりあえず脇に置いておいて、
一人の人間としての尊厳や、真実に向き合い正義を全うしようとする者たち(それは実際に国家と闘った人たちだけでなく、この映画を誠実に作ろうとした人たちも含めて)のパッションと真摯さに心をゆさぶられる作品でした。
ていうかこの映画、なんでアカデミー賞に全然ノミネートもされなかったの!?
ゴールデングローブ賞にはノミネートも受賞もあったんですけどね。
そんなところにもアメリカの闇をチラッと感じたりしつつ、
それもまた面白いじゃねーか!と思ったりする映画ヲタクでした。
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現在、グアンタナモを強化して拷問などを合法化しようとしていたトランプ政権から、
グアンタナモの閉鎖に動こうとしているバイデン政権になったアメリカですが、
自由と民主主義を謳う大国アメリカが今後この問題をどうしていくのか、
今までグアンタナモについてそれほど詳しく考えたこともなかった私も、とても気になる問題となりました。
こうしていつも、映画から世界のこと、政治のこと、国際問題のことを学んでいる私です。
今回の映画についても、もっと書こうとすれば書けるんですが、
こういった実話ものは特に、書けば書くほど陳腐になるというか、
自分の語彙の無さと知識の薄さに失望して先に進めなくなるのでやめておきます。
それに、お話がシンプルなだけにあまり細かいことを説明しようとするとこの映画のせっかくのスリリングで臨場感のある映像体験が半減してしまいますからね。
まだ観てない方はぜひ!
爽快なラストに胸がいっぱいになる、重厚な人間ドラマです。
もう一本、この秋絶対に観たほうがいい、大きく心を揺さぶられる人間ドラマ。
「サウンド・オブ・メタル」
© 2020 Sound Metal, LLC. All Rights Reserved.
この映画は、とにかくすごい。
小説でもマンガでも映画でも、その世界観のなかに入っていこうとするときこちら側は必ず、自分が役に入り込むか、客観的に追うのかを選択することになるのですが、
作り方によっては最初から主人公目線で描かれていたり、
ナレーションありきの作りだったり、いろいろですよね。
そしてこの映画はというと、完全に自分が主人公。
観ている観客が主人公になって、彼が目に見えているものや聴こえてくる音を感じます。
描き方はクールですが、もう始まってすぐから私はこの〝ゴリゴリにタトゥーが入ったアジア系イケメンのドラマー”になってました。
メタルバンドの激しい演奏、恋人の声、コーヒーを淹れてスムージーを作る音、街の喧騒。
毎日、当たり前に耳にしていたさまざまな音が、ある日、聞こえなくなってくる。
主観的なカメラの使い方と、主人公がその瞬間に実際に聞こえている音を組み合わせることによって、観客自身がそれを体感しているような疑似体験状態に。
聞こえていた音が徐々に聞こえなくなってくる様子、
そのことに戸惑いつつも冷静でいようともがく自分、
新しい世界に踏み出さなければいけないことはわかっているけどどうしても受け入れられない葛藤と、
すこしずつ見えてくる本当の自分と周りの人々とのつながり、
そしてわずかな希望にすがって無理をして手に入れたものと、
その先にあるものー。
「音を聴く」のではなく「音を感じる」、
「聞こえなくなっていくことを実感する」、
そして「聞こえないことを感じる」不思議な体験。
これは、家のテレビでは半減してしまう音響効果。
さすが、アカデミー賞で音響賞を受賞しただけあります。
絶対に劇場で、大きなスクリーンで、最上級の音響設備で観たほうがいい、
いや〝体感”したほうがいい映画です。
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主人公ルーベンが選んだ道は、正しかったのかそうでなかったのかはわからないけれど、
すごくわかる!その気持ち、よくわかるよ!とせつなくなります。
もう最悪!人生終わりだなんて思ったときに限って、
もしかしたら!とか、きっとこうすればすべてがうまくいくのでは?
と、少しの可能性に賭けてみたくなるもの。
そこからの後半はせつなく、胸がギュウッと苦しくなりましたが、
決して重く暗いお話ではありません。
悪い人は全然出てこないし、むしろみんなそれぞれに自分の事情を抱えながら常に周囲の人たちのことを思いあっていて、温かくて素敵。
シビアな現実や、やるせない出来事に見舞われながらも、
誰かと心が通じる瞬間の輝きや、子どもたちと戯れるときの笑顔、
静けさのなかに感じる希望をスクリーンに焼き付けて、
主人公ルーベンを自分の中に感じる2時間。
「なんか、すごいの観たね。」
この映画を観たあと、スタッフSさんと交わした言葉です。
その次に二人ともほぼ同時に口から出たのは、
「ていうか、ルーベン(主人公)めちゃくちゃカッコよくない(゚д゚)!!??」
「だーかーらーーーーーー(゚д゚)!!!!!」(→イントネーションは盛岡弁で。鼻濁音の〝か”にアクセントです。)
まあ、口を開けばイケメンの話ばかりしている私とSさん。
とはいえ、好みが全く違うので好きなタイプがカブることはまず無いのですが。
・・・今回はカブりました。
「いや、マジでかっこよかったよね!」
もうみなさん、それだけで観る価値有ります( `ー´)ノ!!
映画を語ってたと思ったら急にイケメンの話でチープになりましたけど。
でもそれも大事な要素。
彼、リズ・アーメッド。
上の「モーリタニアン」のところで少し出しましたが、
マイケル・ウィンターボトム監督の「グアンタナモ、僕たちが見た真実」で長編映画初出演(それもすごい)、
なんと「ローグワン/スターウォーズ・ストーリー」や「ジェイソン・ボーン」にも出てたりしますが、
絶対にこれからキます!!絶対!!
観ておいたほうがいい!
なによりとにかくカッコいいし!!(?)
この役が、また彼の持つ雰囲気にピッタリですごくいい!!
内に秘めるタイプの、多くは語らないけど不器用でまっすぐな男子。
最高です。好みです♪(は?)
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ルーベンの恋人役オリヴィア・クックもまたいい!
「レディ・プレーヤー1」の彼女ですが、
前に中劇では若かりしころの彼女の作品「サラブレッド」を上映していました。
あのときは普通にギャルで、「また若くてイキのいいの出てきたな」くらいだったんですが。
今回、少し大人びて、ファンキーななかにも複雑な表情を見せる魅力的な女性を演じています。
彼女の気持ちもわかるーーーー(/_;)!!!!
で胸がしめつけられて泣きそうでした。
お互いがお互いを思いやるその気持ちがせつなくて。
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今年の米アカデミー賞では作品賞・主演男優賞・助演男優賞・脚本賞・音響賞・編集賞の6部門ノミネート。
受賞は音響賞(これは文句なし!)と編集賞の2部門にとどまりましたが、それはしょうがない!
なにしろ最優秀作品賞は「ノマドランド」(仕方ない!)だし
主演男優賞はアンソニー・ホプキンス(これも仕方ない!)だし
脚本賞だって「プロミシング・ヤング・ウーマン」(中劇でやったしね!!)だし!
だからもう、結局のところ受賞したのと同じですわ(?)
それに、受賞以上にすごいのは、主演男優賞にノミネートされたリズ・アーメッド。
オスカーの主演男優賞にノミネートされた最初のイスラム教徒であるということ。
いま、イスラム教徒への風当たりが強いのはアメリカだけではありませんが、
世界中でイスラム教の信者が多いのもまた事実。
それこそアカデミー賞では最近、女性クリエーターや黒人、アジア人もノミネート・受賞が急激に増えてきてはいますが、なんとなく世間の空気を読んだ感じがしなくもない。
それでもエンタメ業界の頂点ともいえる米アカデミー賞で、
人種や性別・宗教なんかの区別なく作品や個人が評価されるようになってきたことは素晴らしいこと。
もっともっと間口が広がればいいのにね!
この作品は、世界中でバリアフリー字幕付き(聴覚障がい者も映画を楽しむための字幕)で上映されており、日本でも上映するすべての劇場でバリアフリー字幕付き上映。
ふだんはあまり映画を積極的に楽しめないという方にもぜひ映画館で観る映画を堪能していただきたいです。
周りにもしもそんな方がいたらこの映画を教えてあげてくださいね!
さてさて、今年ももう残すところ1か月ちょっとということで、
ほんとに、コロナだろうが不景気だろうが時間というものは容赦ないなとせつない気持ちになりますが、
そんなつまらないことはえいっとどこかにぶん投げてやって、
日々、小さな幸せにちょっとずつ満足しながら過ごしていこうと、
固く心に決めたBBA(→ババアの意味らしいです。親戚の女子中学生に教わりました。)の年末でした。
そして、やっぱり思ったことは口にしたほうがいいよね!
と実感したこの数日。
前のブログで「黒いチラシばかりじゃなくてキラキラがやりたい!若い子が劇場に来るような映画をやりたい!おしゃれな映画がやりたい!」と
天に向かって叫んだ(?)私でしたが、
それが結局、壮大なる匂わせになってしまったことをお詫びします。
あの時点では匂わせではなかったんですが(;'∀')
次回、ちゃんとご紹介しますね。
さ!
やっと書き終わったからおやつ食べよう(*´з`)
今回も更新するまでだいぶ時間がかかっちゃいましたが、
中劇ではできる限り上映期間をゆっくり取ろうといつもがんばってはいるので(たとえあまりお客さんが入らなかったとしても、良い映画は長くやってたくさんの人に観てほしい!・・・・作品が多すぎてどうにもならないときや、あまりにもひどいときはさすがに切りますけど。。。)
のんびりお付き合いくださいませ。
充実した秋を、そして年末をお過ごしくださいね!
★中劇公式サイト PC→http://www.chugeki.jp/