2021年10月15日金曜日

フランス人の目から見た一人の男の30年「ONODA」&奇才祭り

こんにちは。
10月なかばですね。
つい数日前までは出勤だけで汗だくだったんですが、
昨日の夜、ふと気付いたら足が寒くてついコタツに電気を入れていました。。。。
さすがにコタツ布団はかけてないですけど。
もう冬!?びっくりです。
1年どころか5年、10年まであっという間のこの感覚。
犬や猫なら10歳で高齢といいますからね、
動物並みに時がたっているよう。
最近、実話系の映画が多い中劇ですが、
「モーリタニアン」の予告を見たときに、
9・11(アメリカ同時多発テロ)が起きたとき仲間がうちに集まって酒盛りをしながらオールナイト桃鉄をやっていて、たまたま誰かが携帯を見てテロを知ったんだったなと、そのとき(2001年)のことをほんとにはっきりと昨日のことのように思い出したり、
なんなら10年20年どころか、先日シェイクを飲んでいたとき急に、高校時代の夏休みに肴町のマックで友達の宿題を写させてもらったことまで先月くらいの感覚で思い出したりして(着ていた服や食べたもの、宿題の内容まで思い出したんです!)、
そのくらいあっという間なんです、30年も40年も(;´Д`)!
現実は、お腹の脂肪も、たるんだ顔も、
手のひらに刺さった棘がボヤけて見えるようになってしまった目も、
1階ぶん階段を上っただけで息が切れてゼエゼエしてしまう体力も、
この体のすべてが、その年齢を立証しているというのに。
残念ですね。。。
人生折り返し地点くらいに来てしまったというのに、
頭の中がマジで中2なことに、自分でドン引きします(-_-)
身体と心がバラバラでしんどい!!
そんなの、誰も教えてくれなかった!
歳をとれば自然と中身も大人になると思ってたのに!
・・・・・まあ、こんな大人もいるってことで、
若い人には自信を持ってもらいましょう。。。


さて、そんなしょうもないゴミみたいな私の人生の話のあとで話題を出すのは申し訳ないのですが、今日ご紹介したいのはこちら。
太平洋戦争終結後30年もの間、フィリピン・ルバング島のジャングルに潜んでいた小野田寛郎さん。
その実話をもとにしたフランス人監督の作品です。
「ONODA 一万夜を越えて」
©bathysphere ‐ To Be Continued ‐ Ascent film ‐ Chipangu ‐ Frakas Productions ‐ Pandora Film Produktion ‐ Arte France Cinéma
監督が、有名な冒険小説「宝島」のような冒険ものを撮りたくて題材を探していた時にたまたま小野田さんのことを知り、そこから始まったというこの映画。
小野田さんが陸軍中野学校二俣分校で上官(イッセー尾形)から「君たちに死ぬ権利は無い」と言われるところから、
戦地に赴き激しい戦闘をくぐり抜けてジャングルに身を潜めその後日本に帰国するまでの30年間をまるで記録映画のように淡々と写し出しています。
その目線は本当にシビアで客観的。
どこかに感情が入りすぎると、説教臭くなってしまったり嘘っぽくなってしまいがちな実話系。
でもこの映画の、どこにも感情を入れすぎずクールにカメラを回し続けるその撮り方は、
たぶんそもそも冒険映画を撮りたかっただけのフランス人監督だからこそだったのだと思います。
こんなドラマティックでセンセーショナルな題材を、これまで日本ではドラマにも映画にもほとんど使ってこなかったのは、
日本では作るのがなかなか難しくデリケートな問題だったからで、
実際に日本で作られていたら感情が入りすぎた重めの人間ドラマになるかエンタメに走るか、でもそれでは炎上しそうだからと忖度に忖度を重ねた中途半端なものになるか、
だったんじゃないかなと思います。
今回のこの作品は、それとはまったく違うアプローチ。
主人公のバックグラウンドや国、政府、外界の様子などには一切触れず、
本当に淡々とシンプルに、ジャングルのなかで独自の価値観で30年もの時間を過ごした一人の人間の姿を見つめています。
でも、逆に外国人監督でなければここまで踏み込めなかっただろうなという切り口が、潔くて素晴らしい。
描き方だけでなく、基本的なスタンスがとてもクール。
〝戦争映画”ではなく、
〝やむをえずジャングルに30年、身をひそめることになってしまった一人の男の物語”という感じ。
主人公・小野田の壮年期を演じた津田寛治さんも「監督は、〝ジャングル”を描きたかったんだなと思いました」と語っているので、きっと本当にそうなんでしょう。
淡々としているとはいえ、そもそも第二次世界大戦の激戦区に入っていってるので敵襲もあるし、もちろん仲間とのいざこざなんかもあるのですが、
それを見つめる目線がまた、クールなのに生々しくてしんどい!
ジャングルの中、年齢も価値観も全く違う数人の仲間との潜伏生活です。
すべて削ぎ落した究極にシンプルな舞台でのドラマ。
だからこそ役者の演技が重要なんですよね!
この役者たちがとにかく上手い!!
小野田役は、青年期を遠藤雄弥、壮年期を津田寛治の二人で演じていますが、
これがまた全く違和感が無い!
雰囲気もソックリだし、顔も似ている!!
私は二人が入れ替わったときすぐには気付けませんでした!
まず仲間役の俳優さんがやはり壮年期を演じる方になっているのに気付いて、
「あっ、替わってたんだ( ゚Д゚)!?」っていう。
年代的に言えばどちらか一人が全編演じてもよかったくらいなんですが、
そこをあえて二人に分けたというのは、
「ジャングルで30年という壮絶な時間が人間に与えたもの」を表現するためだったとか。
たしかに、ただ老けメイクをするよりも伝わることがあったと思います。
他のメンバーも個性的でナチュラル!
上官役のイッセー尾形の、飄々としていながらも強烈なオーラはもちろんのこと、
©bathysphere ‐ To Be Continued ‐ Ascent film ‐ Chipangu ‐ Frakas Productions ‐ Pandora Film Produktion ‐ Arte France Cinéma
注目の若手・井之脇海くん(好きなんですよねぇ~、なんかカワイイ!!彼は子供の頃「トウキョウ・ソナタ」で、小学校の給食費でこっそりピアノ教室に通う次男を演じていました!「えっ、あの子なんだ!?」ってなりますよね!)の繊細な存在感が、戦闘シーンもある殺伐とした前半で唯一の心のオアシスだし(?)、
個性派俳優として大ブレイク中の仲野太賀くんも、小野田さんを見つける冒険家(実在)を生き生きと演じていて、こちらは後半の唯一のオアシスです(´ー`)
©bathysphere ‐ To Be Continued ‐ Ascent film ‐ Chipangu ‐ Frakas Productions ‐ Pandora Film Produktion ‐ Arte France Cinéma
他の仲間を演じている役者さんたちもほんとに上手くて、
それぞれ個性爆発しながらもみんな自然でリアル!
こういう人、いるーーーー!!!!の感じから、
静かななかでジワジワ心に迫る、ギリギリの人間の心情の溢れ方まで、
劇団などを中心に活動する役者さんたちのさすがの演技。
©bathysphere ‐ To Be Continued ‐ Ascent film ‐ Chipangu ‐ Frakas Productions ‐ Pandora Film Produktion ‐ Arte France Cinéma
3時間弱もある作品ですが、
ごちゃごちゃ広げずにテーマを絞ったシンプルな描き方なので、
話についていけなくなることはないし、
壮絶な30年間の実話を描く作品なのでむしろそのくらいの時間は必要。
端折って2時間におさめるなんてやり方なら作る意味が無いですよね。
もともとエンタメ作品として作ってはいないので淡々としてはいますが、
そのぶんドキュメンタリーのような緊張感とリアリティがあって全然飽きません。
戦争ものはちょっとなー・・・という方も、
戦闘シーンももちろんあるにはありますが、
そもそもジャングルに潜伏しているお話なので、
題材というよりも「舞台が戦地だっただけ」という感じなので、
戦争映画がとにかく苦手な私でも観られたので大丈夫。
たった3時間だけど小野田さんの30年を垣間見て、
私たちが教わってきた戦争とはまた別の角度から見た日本の戦争について考えさせられました。
「すごいものを見た。」
それしかない。
深く、じっくり心に刻まれる映画です。
「絶対に死んではならない」と厳しく命令された上官から直接、任務解除の命令を受けるまでは帰れないと言った小野田さん。
その重さは、私なんかにはとうてい想像できるものではありませんが、
上官の命令通り、とにかく死なずに帰ってきた小野田さんのその後の人生が穏やかで幸せであったならいいなと、
観終わったあとしみじみ思いました。
一貫してクールな目線ではありますが、実際の報道写真に寄せてソックリに撮られたシーンもあり、きちんと細かいところまで丁寧に作られた作品ということがわかります。
映画の公式Facebookに、実際の写真と映画のカットが比較で掲載されているので、
ぜひ見てみてください!
公式サイトhttps://onoda-movie.com/#


そして、芸術の秋。
「午前十時の映画祭」も、秋らしくエッジの効いた鬼才(奇才?)祭りです。
のちに、誰もが知ってるスッゴイ映画を監督することになる、
映画好きの必修科目たちを生み出す人たちの作品を、
絶対にスクリーンで観ておきましょう!
「ユージュアル・サスペクツ」
TM & ©2003 by Paramount Pictures Corporation. All Rigts Reserved.
これは面白かったなあ!!
初めて観たとき、少し酔ってたので(コラ)いまいち話についていけなくて(おいおい)、
翌日もう一度、ちゃんと観たのです。
そしたらめちゃくちゃ面白かったんですよ!!(当たり前)
みなさん、これは絶対お酒無しで観てくださいね!
午前十時~であんまりお酒飲んでる人はみかけませんが(;'∀')
ボールドウィン3兄弟が大好きな私は、
スティーブン・ボールドウィンが出てるだけでも嬉しいのですが、
この作品はベニチオ・デル・トロが大ブレイクするきっかけになった作品でもあるし(たしかに強烈!でしたよね。)、
ケヴィン・スペイシーがとにかくスゴイ!!
この方も、しょうもないスキャンダルで最近あまり見なくなったのが残念ですが、
スッゲー怖い役者だ!と思ったのを覚えています。
監督はブライアン・シンガー
のちに「X-MEN」シリーズで世界中にその名を轟かすことになりますが、
最近は「ボヘミアン・ラプソディ」の途中降板で大騒ぎに。
トラブルメーカーですが、この人の作る独特の世界観はやっぱり天才としか言えない。
またオモロイもん、見せてほしいなー!

「未来世紀ブラジル」
© 1984 Embassy International Pictures, N.V. © 2002 Monarchy Enterprises S.a.r.l. All rights reserved.
こちらもまたいくつかの作品で、途中降板したり中断したりしたことで有名なトラブルメーカー、テリー・ギリアム
奇才といえば、で必ず名前が出てくるお方です。
イギリスのコメディグループ「モンティ・パイソン」のメンバーって時点でなかなかだし、
イラストレーター、アニメーターという肩書もすごい。
名前が有名なわりには監督作品はあまり多くなく、
しかもエキセントリックな映画ばかりなので万人受けはせず(;'∀')
普通の人が観られるまともな映画は「12モンキーズ」くらいか?
私は「Dr.パルナサスの鏡」とか「ローズ・イン・タイドランド」も嫌いじゃないですよ?
ファッション、映像、「なんじゃ、こりゃ?」な展開・・・印象的なシーンがいくつも浮かんできます。
まあ、なんの話だったのか、いまいち説明に苦労はしますけど。。。
この独特の世界観もまた、不思議で面白いんですよねぇ(*´ω`)
この方も最近、映画製作の話はあまり聞かないのですが、
新作、観てみたいなあ。。。
もともと多作なほうではないので、ゆっくり待ちますか!

「ファイト・クラブ」
© 1999 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
これまたゴリゴリのトラブルメーカー、デイヴィッド・フィンチャー監督の作品。
やっぱりこの方も、映画監督デビューの「エイリアン3」からトラブル続き。
どの作品も、細部まで徹底して作りこまれている完璧主義というのが伝わる映像ですもんね。
その後は「ベンジャミン・バトン」「ソーシャル・ネットワーク」などでアカデミー賞の常連に。
この「ファイト・クラブ」は興行的には微妙だったんですが、
あとからジワジワと評価されはじめて映画好きの間ではカルト映画的な人気作品になりました。
「セブン」以来のタッグのブラッド・ピットが、めっちゃカッコいいのにイカレてて最高。
エドワード・ノートンは憑依型俳優の進化系で、コワすぎる( ゚Д゚)
私はビビリなので大きな音とか出るたびにビクーッ!としてましたが、
もうそもそもこの映画じたいもやっぱりイカレてる!
・・・・・それも好きだけど。
殴り合いは苦手!でも、主人公の二人のカッコ良さにハマります。
身体がイイ( *´艸`)!!もちろん顔もね!
目の保養にぜひ♪


とまあ、こんなふうにつめこみましたが、
なんだかんだで秋を楽しもうとしている私です。
寒いけど、雪も降るけど、文句言いません。
本気の冬がやってくる前に、映画もたくさん楽しんでいきましょうね!!


中劇公式サイト PC→http://www.chugeki.jp/