夕方の涼しさに秋を感じるこのごろ。
うっかり上着を忘れ、仕事終わりで外に出て「・・・寒っ( ゚Д゚)」となる、
盛岡の夏の終わり。
暑くてしんどいと騒いでおいて、
いざ夏が振り返りもせずに過ぎ去ろうとすると寂しい。
・・・なんだってそんなもんですよね(-_-)
さてさて、観ました!
ずっと観たかった!
「プロミシング・ヤング・ウーマン」
(C) 2020 PROMISING WOMAN, LLC All Rights Reserved.
どこからどう言えばいいのか難しいんですが。
控えめに言って、すっごく面白かった!!!
もうほんとはラストまで大きな声で語ってしまいたい!
言えないけど!!!
監督も言ってます。
「この物語のエンディングは、キャシー自身から語られないといけない」とね!
オープニングからすっかりやられます。
音楽、作り、映像、衣装、もちろんストーリー。
そしてそれらすべての絶妙ーーーなバランス!
とにかく脚本が素晴らしい!!
「重くて暗い復讐劇じゃなくて、ポップでひたすら面白い復讐劇が作りたかった」と語るエメラルド・フェネル監督。
この作品は、長いアカデミー賞の歴史でも76の賞の候補に70人の女性が選ばれるというかつてない数の女性がノミネートされて話題になった今年のアカデミー賞で、
作品賞・監督賞・脚本賞・主演女優賞・編集賞の5部門ノミネートされ、
4部門は「ノマドランド」に負けてしまいましたが最優秀脚本賞だけは勝ち取ったというのがこの映画の特徴を表していると思います。
「ノマドランド」ももちろん素晴らしかったし、
ほかの作品もすごいのばかりなんですけどね。
でもこの脚本の秀逸さはまさに最優秀脚本賞にふさわしい。
他の4部門もこの「プロミシング~」でもよかったのになあと思いますけどね!
ただ今年は女性が多いだけでもいろいろ言われていたので、
映画の内容的にもあまりにもMe Tooにすり寄りすぎるのも逆に良くないということなのでしょうか。
たしかに、「ノマドランド」のほうが性別問わず、しかも大きなテーマで問題提起できますからね。
まあ、そもそも女性が監督賞にノミネートされることじたいがとても珍しく、
しかも女性が同時に二人、監督賞にノミネートなんてありえなかったので、
今年は「ノマドランド」のクロエ・ジャオ監督と「プロミシング・ヤング・ウーマン」のエメラルド・フェネル監督という女性監督が二人ノミネート、
そして最優秀監督賞もクロエ・ジャオ監督が受賞と、
これまでのアカデミー賞では考えられなかったほどの女性の躍進。
それだけでも大きな進歩。
これまでに実際に女性が最優秀監督賞を受賞したのも2009年のキャスリーン・ビグローのみ(この方が「ターミネーター」「タイタニック」のジェームズ・キャメロンの元奥様というのもまたすごい話!)。
2009年のアカデミー賞では元夫婦で賞を争い(キャスリーン・ビグローは「ハート・ロッカー」、ジェームズ・キャメロンは「アバター」)、
キャスリーン・ビグローに軍配が上がったあのときは鳥肌がたちました。
なんかスゲー夫婦( ゚Д゚)!!
ちょっと話がそれましたね。。。
それで、「プロミシング~」の話に戻りますが、
この作品はとにかくすべてのバランスが絶妙なことに脱帽です。
暗くて重くて、とにかく目には目をと暴力や銃なんかで仇をバッタバッタと倒していく復讐劇なら今までにも観たことがありますが、
この映画はこれまでのどの復讐映画とも違うスタイル。
(C) 2020 PROMISING WOMAN, LLC All Rights Reserved.
クラシックで重厚感のある家具と、ビタミンカラーのネオンが輝くダイナーみたいな古き良きアメリカの匂いがするインテリアが共存し、
狂気ではなくクールに、そして殺すのではなくキツイお仕置きで、
表では優等生を気取って裏ではゲスなクソ野郎という最低な〝ナイスガイ”と、
それを見ていただけだから自分は何もしていないと言い張る無責任な奴ら、
そしてそんな男どもに迎合することで地位や名誉にあぐらをかくようなオンナどもにまで怒りの鉄槌をくだすブロンド美人のダークヒロインを、
ガーリーな音楽とスタイリッシュな映像で描き出すスーパークールな復讐エンターテインメント。
そのセリフのやり取りも、復讐の方法も、これまたリアルで生々しくてゾッとします。
復讐なんて、ものすごく体を鍛えて武器の扱い方を勉強して敵地に忍び込んで・・・
なんてしなくたって誰でもできるんだな、と目からウロコでした。
韓国映画のようにじっとりと執拗にでもなく、
日本映画のように号泣させるでもなく、
「キル・ビル」のように死体が重なるのでもなくて。
ポップでキャッチーな雰囲気のなか、
凍りついていた心を溶かすようなキラキラのラブストーリーをまぶしながら、
最後の最後まで観客の目も、耳も、心もグッとつかんだまま走り抜ける復讐劇。
せつなくて、苦しくて、でもかわいくて、
ムカついて、胸糞悪くて、けど爽快で、
しんどいけど納得。
そんな映画。
そしてこの映画の中にちりばめられているいろんな仕掛けがまた楽しい!
あえてキリスト像や宗教画に見えるようなアングルで撮影されている緻密なカット割りや、
かかっている音楽にも意味があったりと、
私は観ている途中でいろんな仕掛けがあったことに気付き、
「やっぱりもう一回観たい!」と思いました。
決して、何度も観たいようなハッピーで明るい映画ではないのだけど、
次は映画のつくりや周到な脚本、セリフの一つ一つに画面の端の小物までじっくり観たいなと思う作品でした。
主人公キャシーは決して復讐に囚われて正気を失くしたイカレ女ではないけれど、
昼間は30歳にしては若すぎるかわいらしいカジュアルな服装でバイトに行き、
夜はゴージャスでイケイケな女のファッションに変わるところとか、
どうやっても噛み合わない堅苦しい両親と同居している自宅の彼女の部屋だけはまるで中学生の部屋のように子どもっぽかったりと、
セリフや設定だけでは伝わりにくい彼女のアンバランスで複雑な心のなかを表すようなコンテンツが細かくあちこちに落としこんであったりするのも見事。
キャシーが着ている服はどれもかわいいなあと思って見ていたのですが、
あとで資料を読んでみてビックリ。
この映画の衣装を担当したのは、「リトル・ミス・サンシャイン」やソフィア・コッポラの「ヴァージン・スーサイズ」「ロスト・イン・トランスレーション」などの衣装を手掛けた方!
やっぱりね!!どれも私の好きな映画ばかり!
映画において、衣装や小物、インテリアなんかは脇役のような感じもありますが、
そのお話を象徴する大事なコンテンツにもなるし、
時として主役にもなるような重要なポイントだと思います。
色合い、時代感、主人公の心理状態、全体を包む空気感・・・
そういうのをセリフでも説明でもなく雰囲気や視覚でこちら側に伝えることができるので、
すごく大切な部分ですよね。
この映画のなかでも、キャシーの衣装やメイクはもちろん、
両親と過ごす空間と自室のギャップ、
復讐を決行するときと恋する女子のときの落差、
そして最終ターゲットに向かうときの戦闘服にシビれる!
全編を通して、スクリーンを眺めているだけで気持ちが明るくなるようなカラフルでポップな色合いとは裏腹に、
物語が怒涛のエンディングに向かって少しずつ加速していくエキセントリックなスピード感にハラハラドキドキが止まらない。
まさかね、違うよね、でも・・・。
このお話が、観たあといつまでたっても頭から離れないほど強烈なインパクトを残すのは、
これが決しておおげさなエンタメ作品でもどんよりと暗いドキュメンタリーでもなく、
私のすぐそばにあってもおかしくないお話で、
実際にあちこちで起きている胸糞の悪い卑劣で卑怯で最悪な出来事でもあるから。
この映画のなかで起きているのは犯罪大国アメリカだからの事件ではなく、
私たちが暮らす日本でもよくニュースになっているくらいに身近な事件。
その加害者はたいていお金持ちのボンボンだったり、
有名大学の学生だったりするのがまた腹が立つし、
お勉強がよくできる上流階級の人たちに限ってそうでない人たちのことを見下して理解しようとも思わなかったり、性別や人種やその他どうでもいいようなことで当たり前に差別したりしがち。
あれ?なんか最近、学生のころのいじめ問題で大騒ぎになったいいところのボンボンや、
ホームレスに対するヘイトスピーチでバッシングをうけた頭の良いボンボンのお話を思い出しちゃいますね。
そして、そう言って正義を語ろうとする我々は、というか私は、
ここまで卑劣な行為でなくとも身の回りの小さな不正や、
誰かの悪意や悪質なおふざけに耐えるあの子の姿を見ないフリをしたり気付かないフリをしてはいなかったか?
「私〝は”、やってない」と、心で自分に言い聞かせたりはしなかったのか?
ラスト、スマホに届いたメールの顔文字に胸が痛んだ私は、
たぶん私もいつかの無責任な傍観者だったのだろうと胸が押しつぶされるような気持ちでした。
(C) 2020 PROMISING WOMAN, LLC All Rights Reserved.
主人公のキャシーを演じたキャリー・マリガンがとにかくいい!!
表情に影を持ちながらもそのオーラは天使のように清らかで、
髪をレインボーカラーに染めてナース服を着たビッチの格好をしていても、
スーツ姿で無表情にバールを振り回している姿にさえも品の良さが滲み出るという稀有な空気を持つ魅力的な女優さん。
この映画を包むハイセンスな空気感や、リアルながらもどこかふわふわとした第三者的なアメリカ感は、このキャリー・マリガンと監督のエメラルド・フェネルがふたりともイギリス・ロンドン出身(しかも同い年)であることもあるのかもしれませんね。
この映画の撮影や音楽などの裏方もイギリス出身なのは、なるほどと思いました。
だって全部がおしゃれなんだもーん(*´▽`*)!!(→イギリスびいきなのでお許しください)
そして製作がなんと「スーサイド・スクワッド」や「アイ・トーニャ」、「スキャンダル」などで今、飛ぶ鳥を落とす勢いの女優マーゴット・ロビー。
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でのシャロン・テート役も良かったですね!
腕のいい映画プロデューサーでもある彼女が迷わず製作に名乗りを挙げたこの映画が、面白くないわけない!
自分で主役を演じたがってもおかしくないのですが、やらず。
そこはやっぱりちゃんとプロデューサー目線で決めたんですね。
センスがいいんだなあ!
キャリー・マリガンはこのあと、例のハーベイ・ワインスタインのセクハラと性的暴行事件を描いた新作映画にも主演。来年公開の予定だそうです♪
そちらも楽しみ!
とまあ、そんなこんなで話があっちこっちに飛んで支離滅裂になっちゃいましたが、
この「〝前途有望”なナイスガイに人生をめちゃくちゃにされた、〝前途有望”だった彼女と私のガーリーでポップな復讐劇」をぜひ今、スクリーンで観ておいてほしい。
実は先週の時点でしっかり「プロミシング~」を観ていて、
早くこれをアップしようと思ってはいたんですが・・・・・
なぜか1週間たってしまっていました(*_*;)
なんでだろう??気が付くと朝になっている・・・・!
しかも、ほんとに夕べ絶対に更新するぞ!と決めていたのに、
今日も気が付いたらパソコンに突っ伏して寝てしまっていてAM2:30でした。。。
やはり缶チューハイを飲みながらは無理だったか!
(→当然。)
いや、休みの前の日はやっぱり飲みたいじゃないですかー!
だからいつもはアルコール9%のやつだけど、
さすがにブログやらなきゃと思って5%のにしたのにな(*´з`)
(→そういう問題ではありません。)
で、二日酔いでずっと寝てて、やっと今更新します!
ていうか、缶チューハイなんてほぼジュースなのにたった2本で二日酔いになってる自分が情けないっ!!!
これが歳をとるということなのかっ!?(→バカなの?)
まあ、そんなズボラでだらしない私ですが、
この秋は楽しみな映画がたくさんあるのでがんばってブログ書きます!
ほんとは沢山の方に映画を観てもらうための宣伝になっていなきゃいけないんですが、
映画マニアの私はとにかくちゃんと観てから書きたいので、
公開には間に合わないことも多いのはご容赦ください( `ー´)ノ
(→つまり宣伝というよりただの感想文!)
・・・・・・・のんびりお付き合いください(>_<)
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