2019年11月7日木曜日

必見!「ひとよ」壊れた家族の物語。

こんにちは。
だいぶ寒くなってきましたね。
ゆっくりと確実に、北国・盛岡に本気の冬が近づいてきています。
けっこうしんどい灯油代とかー、
朝起きるのキツイとかー、
腰が痛くなる雪かきとかー、
夜家に帰ったら親切な除雪で家の前に雪の壁ができてて車が入れないとかー、
(→盛岡あるある)
なんかいろいろめんどくさいなーと思いつつ、
コタツに入ってのお鍋とかー、
それプラスおいしい日本酒のコラボとかー、
あったかい家の中から見る雪の景色とかー、
不思議と嫌じゃない冬の日々。
とはいえ冬、長すぎなんですけどね(^_^;)
ここから盛岡は、半年ほどの「冬」に入るわけです。
しかし長いよねー!!!
だから冬はもう、映画観るしかないでしょう♪
家出てくるのめんどくさいけど。
寒いし、バスはなかなか来ないし、
滑るし、歩きづらいし、
外に出るのほんと嫌だけど。
でも、そこをがんばって映画館へ来てみてください。
あったかいコーヒーと、おいしいおやつでも持ち込んで、
がっちり暖房の効いた映画館でゆっくりしましょうよ♪
最近行けてないけどフォーラムさんなら「イエスタデイ」は絶対観たいし、
南部興行さんもいいのが続くんですよねえ!
「タロウのバカ」は早く観ないと終わっちゃうし、
中国映画「帰れない二人」とか「カーマイン・ストリート・ギター」とかインド映画「あなたの名前を呼べたなら」も観たいんですよね(*‘∀‘)
この時期、どこの映画館も素敵な映画、やってます♪
そして中劇ももちろん、なかなかいい感じのラインナップでお待ちしております。
というわけで、前回の続きから。
冬の中劇、おすすめ作品を一挙ご紹介!

12月6日公開
ワム!の名曲をテーマにしたとびきりのロマンティック・コメディ
「ラスト・クリスマス」
(C) Universal Pictures
「ブリジット・ジョーンズの日記」「ラブ・アクチュアリー」
そして「アバウト・タイム」と、
上質なロマンティックコメディを作るのが得意なイギリス発。
ってだけで、絶対に面白いに決まってる!
まさにクリスマスシーズンにお届けします♪
公式サイトhttps://lastchristmas-movie.jp/

12月20日公開
手塚治虫文化賞(短編賞)受賞の衝撃の話題作が、
二階堂ふみを主演に迎え、ついに!まさかの!実写映画化!!
「生理ちゃん」
(C) 吉本興業 (C) 小山健/KADOKAWA
女性たちに月イチでやってくる「生理」を擬人化し、
絶大なる共感の声を呼び大ヒット中のコミック「生理ちゃん」
最強のブサカワキャラ「生理ちゃん」が、漫画の中から飛び出し現れた!
女性なら100%共感するはず、
何かと大変な女性たちへの応援歌です。
公式サイトhttps://seirichan.official-movie.com/

12月27日公開
待ってました!
中劇に再び降臨!!
「マシュー・ボーンin CINEMA」
(C) New Adventures 2019 Photography: Johan Persson
斬新な解釈で、全編をめくるめくエンターテインメントで包みこみ、
世界中を魅了したこちらの作品。
男性が演じる「白鳥の湖」
5年前(!!)中劇で上映したときにもたくさんのお客さんが観に来てくださいました♪
https://moriokachugeki.blogspot.com/2015/11/blog-post_12.html
世界中で話題のマシュー・ボーンのバレエ作品。
中劇ではコンスタントに上映を続けている定番のコンテンツです。
まだ観たことがないですって( ゚Д゚)!?
ありえない!!
でも、だったら余計、今回の新演出版「白鳥の湖」
絶対に観てください!
バレエとか、ダンスとか、ミュージカルとか、
もうそんなのどうだっていい!
これが本当のエンタメだっ!!!
公式サイトhttps://matthewbournecinema.com/

さてさて、そうです。
今週始まる必見の作品がありました。
11月8日公開
「ひとよ」
(c)2019「ひとよ」製作委員会 
劇作家・桑原裕子が主宰する劇団KAKUTAの舞台作品を、
『孤狼の血』で日本アカデミー賞4部門を受賞した白石和彌監督が映画化した『ひとよ』
家族に関して白石監督自身も複雑な事情を抱えているため、
「いつかは撮らねばならない」と感じていたという〝家族”の話。
6月に中劇で上映した『凪待ち』では、〝血のつながらない家族”を描いていましたね。
無精ひげにくたくたの服、土色の顔に疲れた表情を乗せた香取慎吾が衝撃でしたが、
今回もまた、白石監督の得意技「イケメン汚し」が遺憾なく発揮されていますよ!
今や映画にもドラマにも引っ張りだこの佐藤健を、
無精ひげと世を諦観したかのような生気のない顔つきでボロボロにし、
その裏にさりげなく〝30代に突入して脂ののった大人の色気”を漂わせるというズルさで魅力倍増にしています。
ちなみに、「蜜蜂と遠雷」では天才ピアニストを演じている松岡茉優ちゃんも、
こちらもこの「ひとよ」では中途半端な茶髪にくわえタバコ、
派手さが絶妙な飲み屋の姉ちゃんファッションで、
まさに「あるある」な田舎のホステスになっており、
さらに長男の鈴木亮平は、「西郷どん」の男らしさはどこへやら、
自信のなさそうなおどおどした表情で、兄弟にも妻にも本音を言えない頼りない中年男性を見事にそこに存在させています。
(c)2019「ひとよ」製作委員会 
そして一番重要なのがこの人。
女優・田中裕子
(c)2019「ひとよ」製作委員会 
まずこの人ありきで企画が進み、
「田中裕子がダメならこの企画は流そう」ということになっていたそうですよ!
どうしてもお母さん役をこの田中裕子でやるために、
スケジュールやタイミングなど、2年待って実現したこのキャスティング。
あまりたくさんを語らず、
作品を選んでオファーを受けて、
その代わりに、「絶対この人でないとダメだった」と思わせる。
そんな女優・田中裕子
前にも何度も言いましたが、
私が大好きな日本映画「大阪物語」
ここでは14歳の主人公・池脇千鶴の母親役を演じていました。
何がすごいって、なんと旦那役がプライベートでもパートナーのジュリー(沢田研二)
しかも、この二人が大阪のコテコテの夫婦漫才師の役だったんですよ!
マジですごくないですか!!??
不実で自分勝手な風来坊みたいな旦那を、
責めもせずに見守る姿は、さすが田中裕子の真骨頂といった感じでした。
よかったですよー!
この方のイメージは、私の世代だと「向田邦子シリーズ」とか(小林薫との、好きなくせに一向に距離の縮まない大人の恋愛にシビれたもんです)、
「おしん」とかですかね?
・・・・どれも〝耐える”イメージ(;'∀')
でも今回の「ひとよ」では、耐えるだけではありません。
耐えて耐えて耐えますが、子どもたちのために夫を殺します。
やっちゃいます。
それが、子供たちのためだと信じて。
必ず帰ってくるからと言い残して。
そして15年後、約束通り帰ってきます。
そこからの、現実と、気遣いと、すれ違いと、
そして生々しい家族の姿を、乾いた目線で追うカメラ。
結局なんでも母親のせいにしてしまう子供たちや、
久しぶりでギクシャクしつつも、喧嘩になれば容赦ない言葉を浴びせてしまう親子のリアルや、
小さな町の狭い人間関係のなかでの、息苦しくもあたたかい独特の距離感と空気感が生々しい。
ショッキングな事件から始まる重厚な人間ドラマなので、
暗くて重そうな感じがしますが、決してそれだけではありません。
シリアスとコメディの間を行ったり来たりするバランスが絶妙。
佐々木蔵之介に見事にキマる佐藤健の飛び蹴りとか、
田中裕子がある物を万引きするシーンとか、
まさにハマり役でそのまんまなヤクザ役の千鳥・大悟なんかには思わず吹き出してしまったし、
3兄弟がタバコを吸いながら雑談するシーンではなぜか涙が止まらなかったし、
最後は意外にもハラハラドキドキだし。
静かなお話ではありますが、
きちんとエンタテインメントの要素を盛り込んであるのはさすが。
〝衝撃的な事件のその後”という映画なんですが、
じつはその裏にある普遍的なテーマ〝家族”を描いている作品です。
人間の弱さや醜さ、哀愁をストレートに映し出し、
でも「それも悪くない」と思えるような、
そんな優しさの滲む映画。
一貫して「喪失と再生」をテーマにしてきた白石監督の、
「それでも生きていく」という根本的な強いメッセージを感じる温かい映画だなと、
私は思いました。
ちなみに今回、潔いグレーヘアで母親役に挑んだ田中裕子ですが、
撮影に入る前、本人が、
「これは白髪でやりたい」と希望を出したそうですよ。
そして今、役者が一緒に仕事をしてみたい監督として一番に名前を挙げられる白石監督なので、
ほかの役者陣もみんな意欲的に役に取り組んだようで、
佐藤健は、この監督の映画なら線が太いほうがいいと思って体重を増やし、
松岡茉優は、この役で髪の毛にキューティクルがあっちゃおかしいと髪を染めたうえでスナックのフィールドワーク(!)に出かけ、
鈴木亮平は自主的に吃音の指導を受けに行ったという、
ガチの役作り!
そのあたりもぜひ、スクリーンでチェックしてみてくださいね!
公式サイトhttps://hitoyo-movie.jp/




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