2018年2月15日木曜日

心がヒリヒリする青春映画『リバーズ・エッジ』

こんにちは。
オリンピック、盛り上がってきましたね!
韓国でのオリンピックだと、徹夜しなくていいのでとっても助かります♪
メダルラッシュで興奮してウキウキしていたのに、
気が付くと外は雪。
すごかったですね!
膝まで埋もれるくらいに積もってましたね。
雪かきで肩と腕がしんどいです(-_-;)
そんななか、車は故障して修理に行ってるし、
そのせいで予定外の出費が痛いし、
中途半端な用事がちょっとづつ続いて連休が潰れるし、
なんだか気分が晴れません。
今月、誕生日なのにーーーー(;´Д`)!
ま、誕生日が嬉しいお年ではないのでいいんですけどね。
誕生日当日も、できれば誰も何も言わずにそっとしておいてほしいという多感なお年頃(?)
大雪とか、オリンピックとか、そのへんのどさくさに紛れて、
私の誕生日なんか誰にも気づかれずにいつの間にか過ぎてるといいなあ。。。


さて、明日2月16日公開は、
私もかなり楽しみにしていた作品
『リバーズ・エッジ』
©2018映画「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島
もはや伝説。
90年代青春漫画の金字塔。
岡崎京子『リバーズ・エッジ』
これです。

もうねえ、神です。
20年以上前だなんて信じられないけど、
この漫画、雑誌「CUTiE」に連載してたときからドハマリしてて、
この単行本も何度も何度も読み返してボロボロになっちゃってます。
そして最初、映画の公開が決まったときのティザーチラシがこれ。

このチラシを見たときにザワッと鳥肌が立った私。
原作本の表紙と同じカット。
漫画の実写化には基本、反対派の私ですが、
この、原作漫画の当時の表紙と同じカットを使ったチラシを見て、
「あ、本気なんだな。」
と、納得しました。
しかも主演は二階堂ふみちゃんで、
監督は行定勲監督!
それならいいかも!
なんとこの作品、
この『リバーズ・エッジ』の漫画に衝撃を受けた二階堂ふみちゃんが、
行定監督に持ち掛けたことから始まったんですよ。
行定監督はもともと、漫画の実写化はやらないというポリシーを持ってた方なので、
よく引き受けたなあと思ったのですが、
監督自身もこの原作を今、実写化することに興味を持ち、
ポリシーを曲げてまで自分がやりたいと思ってしまったようですね。
私も大好きな漫画なだけに、
中途半端な映画化なら観たくないと思いましたが、
この二人なら大丈夫!
二階堂ふみちゃんは、若いのに腹の据わった面白い女優さん。
この歳で、この過激な作品を自らやりたいと言える時点ですごいです。
©2018映画「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島
今回、かなりとんがった青春映画なんですが、
この人なら大丈夫。
十代のころから園子温監督の「地獄でなぜ悪い」や、
浅野忠信との禁断の愛を体当たりで演じた「私の男」など、
そもそもが難しいとんがった役ばかりを体当たりで、
しかも飄々とこなして注目を集めてきた若手女優ですからね。
今回は、ふみちゃんが演じるハルナは、
他の登場人物に比べると至って普通の女の子。
毎日が退屈、たいして好きでもない彼氏がいて、団地に暮らす、
取りたてて何があるというわけでもない女子高生。
そのリアルがこの過激な物語の背景にあることで、
たくさんの若者の共感を得たのだと思います。
退屈な学校。
何かを隠すために延々と続くお喋り。
愛も、死も、友情も、なんとなくわかってるようで全然わからない。
そして、なんにも考えてないようでいて、
実はいろんなことが頭の中も体中もぐるぐる回っていて気が狂いそうだったあのころ。
原作漫画のような過激な日々や事件は、
田舎の平和な高校生だった私には全く身近ではないし、
あり得ないストーリーではあったものの、
その底にある言葉にできないモヤモヤした気持ちや、
そんなつもりはなくてもいつしか自分のキャラクターを演じているような毎日、
ただただゲラゲラ笑ってお喋りして楽しいのにふと感じる絶望的な孤独、
さらには将来への圧倒的な不安と、
なんともいえない漠然とした閉塞感。
そのころの私と同じ十代の複雑な感情や日常、
そういうもののすべてがこの漫画にはあったのでした。
設定もせりふも、できるだけ原作に沿って作られているので、
舞台は90年代。
私の世代なら、この映画の中にいるのはまさに「私」
でも、この映画が描いているのは、
時代に左右されない普遍的な若者の痛み。
まだ家には携帯もパソコンもない時代、
ものすごい進学校でも荒れ放題のヤンキー高校でもない普通の高校生の、
日常と非日常と、心の揺らぎ。
誰でも胸が締め付けられる、青くて暗くてせつない日々。
青春ど真ん中を舞台にした作品ですが、
全くキラキラしてないし、
登場人物、全員病んでる。
どちらかといえばどす黒くて、重くて、しんどい映画です。
それでもこの作品に惹かれるのは、
やっぱりみんな、青春がただキラキラした甘酸っぱいものではなかったからなんじゃないでしょうか。
そして大事なのは監督です。
行定監督も、このごろはずいぶんと巨匠っぽくなってきていますけど、
この方の撮る青春ものはほんとにイイんですよね!
セカチューは言うまでもありませんが、
なんといっても『GO』
そして『きょうのできごと』です。
好きすぎてDVD買っちゃってます。
若者特有の心のひだを丁寧に、でも淡々と、
しかも色鮮やかに描きだすのがほんとにうまい!
やりすぎない、一歩引いた目線なのがいいのかも。
今回も、ハードでディープで過激な物語を、
ときに生々しくリアルに、でもクールに見つめる撮り方に注目です。
そして、びっくりするのはキャストたち。
原作漫画を読んでる方はわかると思いますが、
登場人物を演じる役者さんたちが、いちいち原作とソックリ!
話のカギを握る山田を演じたのは吉沢亮くん。
目の感じとか、雰囲気がもうまんま山田!

©2018映画「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島
過食症のモデル・こずえを演じたSUMIREは、
シベリアンハスキーみたいな印象的な目と、
なかなか出せないこのアンニュイなたたずまい。
そりゃそうだ。
浅野忠信CHARAの娘ですからね!
©2018映画「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島
“主人公の友人”から、徐々に物語のキーパーソンとなっていくルミちん(土居志央梨)とカンナちゃん(森川葵)も原作からそのまま出てきたようだし、
「暴力」パートを象徴する観音崎を演じた上杉柊平も、
江口洋介ばりのロン毛で、暴力でしか生を感じることができない淀んだ若さを発散させるクレイジーな役が衝撃的だし。
ただ、今流行りの若手俳優をそろえたのではなく、
原作を忠実に実写化することを目指して集められたこのメンバー。
しかも。
主題歌。
なんと。
小沢健二です。
素晴らしい!
なぜ素晴らしいかって、それは、
原作者の岡崎京子小沢健二がもともととても親しい間柄だからです。
90年代オリーブ少女だった私にしてみると、
岡崎京子小沢健二といったら、
ほんとに神&神。
まさに私の青春でしかない。
小沢君は、今でも私の一番の王子さま。
そして伝説的漫画『リバーズ・エッジ』の実写化には、
マジで小沢健二が必要不可欠なのでした。
嬉しいことに、この映画のために書き下ろした新曲で。
それで最後のピースが完璧に揃って。
衝撃的、なのに普遍的。
ありえないのに激しく共感。
そんな、新しい、ヒリヒリと心をざらつかせる青春映画が完成しました。
この映画はとにかく、
行定監督吉沢亮、さらには主題歌の小沢健二まで自分から声をかけて映画化の実現に自ら動いた二階堂ふみちゃんの熱い魂のこもった意欲作。
最近、イマドキの高校生活のなかでキラキラの男子と透明感あふれる女子の恋愛模様を描いた、似たような映画が多いなあと思っていたところでしたが。
それとは真逆の、
猫の死体が転がっている淀んだ川岸を舞台にした、
閉ざされて鬱屈した毎日を過ごす高校生を描いた青春映画を観てみませんか?
そこには、あのころの、
あるいは今まさにど真ん中の、
あなたがいるかもしれません。
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