あっという間に2024年も終わっていくようですね。
時間がたつのがあまりにも早いので、〝年末だね”〝お正月だね”といってもどことなくひとごとのような感じがしてきてしまうこのごろ。
しかもこの年末年始は、中劇の上映作品ラインナップもちょっと・・・
なんていうか・・・・
落ち着いてる?というか・・・・
静かそう?というか・・・・
平たく言うとマニアック?通好み?みたいなね。
いわゆる子供向けの大型アニメ作品とか、大ヒット漫画原作万人受け実写化作品とかが一切無く、
実在の児童養護施設に密着したリアル青春ドキュメンタリー(大きな家)、
(C) CHOCOLATE
(C) 2024 Trafalgar Releasing. ALL RIGHTS RESERVED.Photo by Kaasam Aziz
かわいらしいモルモットの車のストップモーションアニメ(PUIPUIモルカー)、
(C) 里朝希/PUI PUI モルカー製作委員会
幕末の侍がタイムスリップ(侍タイムスリッパー)、
(C) 2024未来映画社
激シブイケメンバイク映画(ザ・バイクライダーズ)、
(C) 1970 - COMPAGNIA CINEMATOGRAFICA CHAMPION(IT) - FILMS CONCORDIA(FR) - SURF FILM SRL, ALL RIGHTS RESERVED.
大興奮のライブを映画館で(サカナクション、NCT DREAM)、
っていう実に個性的なラインナップで年を越そうという、
なんというか奇抜?逆に?
ヲタク(のみ)に刺さる劇場を目指す?
みたいな、映画館としてはなんともけっこう思い切った舵取り。
・・・ていうか、ごちゃごちゃ言ったところで常連のみなさまならすぐに気づくと思いますけど、
今回もまた例によって例のごとく「気が付いたらこうなってた」という中劇お得意のやーつ。
本来は掻き入れどきであるはずのこの時期、究極に重箱の隅をつつきまくる年末年始の中劇でした。
がんばってメジャーなキラキラの都会派な映画館のステージまでたどりつこうとしているつもりが、
たまにこういった本来のマイノリティな空気出しちゃいがちな中劇ですね。
静かな、落ち着いたお正月の雰囲気がもう目に浮かびます。
東宝の大型作品が入ってこないだけでこんなに落ち着いた年越しになるなんてね!
もう振り切ってお正月の定番「春の海」でも流しましょうかね!(テン テテテテテテ テン♪てやつ)
甘酒でもふるまって?おみくじでも置いちゃいましょうか?
地元の、人の少ない小さな神社に初詣に行ったような気持ちになれるかも!!
・・・なんてちょっと苦しい自虐も入れつつ、
まあそうは言ってもこのどこもかしこも休みになっちゃう期間中に、どこかが壊れたりなんだりしないでくれればもうそれだけで感謝!!!
という気持ちでスタッフ一同、とにかく『平和に年越し』できればOK!!
→つい先日、劇場内の暖房が壊れて数日間暖房が使えず、子供のころ体育館にあった懐かしい大きなストーブを何台も場内とロビーに設置してしのぎ、「大きな家」の竹内監督の舞台挨拶の前日になんとか復活。とか、
いつかの年末にはトイレが壊れてしまい、非常階段を使って一組一組、下の階のトイレに案内したり。
なんてこともあったしね。
少し前には廊下に雨漏り、エアコンからは異臭など、それはもう次から次といろんなところに不具合が出てき始める築年数になってきた中劇のビル。
お願いだから、正月が明けるまでどこも壊れないでくれ!
それだけ!!
と思ったらまさに今日、休憩室の電子レンジが死亡。
ほらね、やっぱり。
年末、絶対になんかあるでしょ!?
人間も機械も建物も、ちゃんとガタがくるものなんですね。
メンテナンス、大事。
さてさて、そんなマニアックなラインナップでお送りする中劇の年末年始作品たち。
最近、さっぱりよその劇場に行けてなくて映画観るのをサボリがちな私が一応、なんとか観られたものだけざっくりご紹介しておきましょう。
大きな家
(C) CHOCOLATE
先日、監督が舞台挨拶に来てくださったこちら。
実在の児童養護施設に密着したドキュメンタリー作品です。
中劇で上映してコアなファンが共感しすぎて号泣したりもした(!?)タイムリープコメディ「MONDAYS」、
そして中劇では何回もリバイバル上映した「14歳の栞」の竹林亮監督と製作チーム『CHOCOLATE』の最新作です。
企画&プロデュースはなんと俳優・斎藤工。
もう、まさに、リアルタイムでドラマ「海に眠るダイヤモンド」を毎回何度もリピートして見てた私なので、斎藤工!ていうか進平兄ちゃん(役名)!!!!
進平兄ちゃん、じゃない斎藤工。
4年前、彼がたまたまこの映画の舞台となる児童養護施設に一日限りの催しのスタッフとして訪れたとき、そこで暮らす子供から「今度来たときピアノ聴いてね」と言われ、
『今度来ること』を想定していなかったため「また来るのかな」という表情をしてしまい、
それが気になってそこに通うようになったといいます。
そして「14歳の栞」の竹林亮監督に相談、この映画の企画が走り出しました。
本格的な撮影に入る前に、監督だけでなく製作スタッフもカメラを持たず定期的に何度も施設を訪れ、
さまざまな事情で親と離れて暮らす子供たちや施設の職員との信頼関係を築いてから具体的な構想を組み立て始めたこの作品。
出演者への配慮のため、予告編も本人が特定できないように作り、配信やパッケージ販売も行わず映画館のみで公開。
youtubeでもサブスクでもテレビでも触れることのできない彼らの本音に迫る青春リアリティとなっています。
プライバシーに配慮というやり方には被写体にぼかしを入れる方法もありますが、
写真や映像にぼかしを入れた状態で世に出ることで、『自分は隠さないといけない存在なんだ』と思ってしまう子どもがいるということで、それは絶対にやりたくなかったと語ります。
いつでもどこでも情報が手に入り、一部を切り取ってそれがさらにいろんな受け止め方をされながらどんどん拡散されていくのが当たり前になり、その流れを止めることはもうすでに不可能な時代になった今、
わざわざ映画館に足を運んで料金を支払い、その空間の中でだけ観られる作品として発表することで、その映画の意義や込められた願い、作られた意図や出演者の心情などが歪められずに真っすぐに観る人に届けられるかもしれない。
そんな祈りのような気持ちをこめて映画館のみでの上映とされたこの映画。
(C) CHOCOLATE
まだあまりよくわからないままそこで暮らす小さな子供、
「案内するね」と無邪気に笑う7歳児、
「ここの人たちは家族じゃない」と言い切りつつも「ほんとの家族にはできないけどここの仲間にはつい当たり散らしてしまう」と呟く中学生、
海外のボランティアに参加して「自分は恵まれてたんだ」と語る高校生、
施設を出てからも「なんだかんだと理由をつけては帰ってきてしまう」と笑う大学生。
彼らの、複雑で難しい心のうちが伝わってきます。
年齢ごとに受け止め方や心情が変わっていくのを、観ているこちらも自然と感じる作りになっているのが秀逸。
カメラ無しで半年以上かけてゆっくりと関係を深め、その後、約1年間の長期の撮影。
ドラマティックな出来事は起こりません。
そこには、子どもたちが生活をし、桜が咲き、学年が上がり、部活に励み、登山に行き、誕生日会をして、笑い、悩む〝ふつうの日常”があるだけ。
少しだけほかの子供と違うのは、「家族とは一緒に暮らさずたまに会うだけ」、「高校を卒業したら施設を出て一人で生きていく」と決まっていること。
海外ボランティアに参加して大きく心が動く姿にも密着しているのには驚き。
外国で自分と同じような境遇の子供たちと接し、何かをつかんだように勢いよく喋り出す少女のキラキラした瞳が印象的。
子どもたちは淡々と日々を過ごしているようで、心のなかは不安や悩みでいっぱい。
子どもたちはこちら側の勝手なイメージだけではわからない複雑な気持ちを、施設の職員や映画スタッフにときどきぽろっとこぼしたりする。
思春期でトガりまくっている少年は、私たちが親やきょうだいにするように、一緒に暮らす仲間に乱暴な言葉を投げたりもする。
そのリアルな姿は、私自身や周りのこどもたちとそう変わらない。
ともに暮らす彼らのことを第三者が、『家族ではない』ともいえないし、『一緒に暮らしているなら家族だ』ともいえない。
それは当事者でも人それぞれ感じ方や捉え方も違うこと。
ひとから言われればどうも違う感じがしたりもする。
見ているだけの私などからすれば、そこにある事実をただ受け止めるしかできないけれど、
家族のように甘えたり反発したりしながらも〝甘え”の形が必ずどこかに少しだけ距離があることや、
それでも頼れる大人がそばにいたことのあたたかさ、
血がつながっていなくても長い時間をともに過ごしたかけがえのない人たちとの確かにそこにあった大切な時間を感じて、
自分のなかにもある『日常』『ふつう』そして『これまで』や『これから』を考えさせられます。
〝児童養護施設のドキュメンタリー”なんていうと、ちょっと暗いのかな、重いのかな、というイメージがあるかもしれませんが、この映画はとてもシンプルで軽やか。
すがすがしくて、ほんのちょっと勇気がもらえる青春リアリティ映画です。
公式サイト→映画『大きな家』公式
「エドワード シザーハンズ ダンスバージョン」
(C) 2024 Trafalgar Releasing. ALL RIGHTS RESERVED.Photo by Kaasam Aziz
今年もやってきました、マシュー・ボーン。
もう、これがないと年末の感じがしないまであります。
そして今回、鬼才マシュー・ボーンが手掛けたのはこれまでのようなバレエやミュージカルの定番の名作ではなくて映画「シザーハンズ」をアレンジしたダンスバージョン。
こちらもまた映画界の鬼才ティム・バートンの代表作でありジョニー・デップの出世作でもある「シザーハンズ」!!
両手がハサミの人造人間エドワード・シザーハンズの孤独と切ない恋を描いたダークファンタジー。
私も大好きな作品。
私はティム・バートンもウィノナ・ライダーも大好きなので、もちろんつい先日「ビートルジュース」の続編「ビートルジュース ビートルジュース」を観たばかり!!
でも、それにしてもティム・バートンの、クレイジーで独創的で奇想天外でファンタスティックでエキセントリックな世界観をバレエで!?マシュー・ボーンが( ゚Д゚)!?
と思ったのですが、心配無用でした。
オープニングからもうすっかりそこはティム・バートンの世界。
色とりどりでキュートでポップなあの映画のまんま。
それが、マシュー・ボーンの躍動的なめくるめくバレエと合わさって、
とびきりキュートでハッピーな「シザーハンズ ダンスバージョン」の世界に!
音楽も、懐かしいあのダニー・エルフマンの「シザーハンズ」のメロディのまま!
エドワードもすっかりジョニー・デップに見えてきます。(がっつりメイクなので当然ですけど)
そして、セリフがないぶんストーリーはシンプルに、
楽しいダンスのシーンはダイナミックでパワフルでキラキラで。
一瞬で目を奪われて、夢中で観ているうちにすっかり心を奪われて、あっという間の90分。
バレエはどうも敷居が高くて・・・という方にもおすすめの、キャッチーでコミカルなバレエ作品。
もとの映画を知ってる人は当然、結末はわかってますよね。
ポップでキュートでクスッと笑える作りでありながら最後は・・・。
それでもやっぱり大好きな作品でした。
(C) 2024 Trafalgar Releasing. ALL RIGHTS RESERVED.Photo by Kaasam Aziz
映画での大好きなシーンだった、庭の植木をチョキチョキとかわいくカットするところとか、
キムと心が通じ合う雪のシーンとかもちゃんと見られて良きでした!
お城や、かわいらしいおうちや、ちょっと懐かしい感じの髪型やファッションも映画そのまま再現されているのも嬉しい。
あの世界観もやっぱり重要な肝ですよね。
観終わったあと、やっぱり本家が観たくなっちゃって、ティム・バートン&ジョニー・デップ/ウィノナ・ライダーバージョンの映画を観直した私でした。。。
こうしてどんどん睡眠が削られていく映画ヲタク。
それもまた良しとしましょう。
そして映画版を観直してから気付いたのは、
「あ、これ、この時期ピッタリだったんだ・・・!」
どんぴしゃクリスマスシーズンの映画なのでした。
雪もしんしんと降り積もり、つまり年末にピッタリってこと。
よくわかんないけど第九を聴くと年末って感じがするように、
年の瀬は時代劇を見ておきたい気もしてしまう昭和世代の私ですが、
ダイナミックで心ときめくバレエとカラフルでポップな「シザーハンズ」も、
いかにも年末!年の瀬!って感じがする作品でした。
セリフがないダンス作品だし、わかりやすいストーリーと楽しい世界観、尺も90分と、
子供から大人までみんなで楽しめる映画です。
明るい作りなのでお正月にもいいですよ!
そんなこんなで、今年も終わり。
今年やったことといえば、7月の推しのライブに行ったくらい。
今年やったことといえば、7月の推しのライブに行ったくらい。
まあそこが一年のうちで一番大事なイベントなので、そこに体調やなんかのコンディションのピークを合わせるために綿密な計算をして、あとは静かに粛々と日々を過ごすのみ。
オリンピックにすべての照準を合わせるアスリートみたいな気持ちです(-_-)
→一緒にするな。
あ、でもそういえば昨日、「金曜ロードショーとジブリ展」を観に、横手の秋田県立近代美術館まで行ってきました!(秋田市の県立美術館ではなくて、横手市の秋田ふるさと村に隣接する秋田県立近代美術館です。)
休みの日に映画館通りまで出るのはめんどくさいのに、
ヲタ活&推し活のためなら早起きして遠出もいとわないという不思議な現象。
たぶん、『映画』が身近にありすぎるんでしょうね、私の場合。
家族には不機嫌にぶっきらぼうになれちゃうみたいなね、
親友とは喧嘩しちゃうみたいなね、
身近なものに限って後回しみたいなね、
もうあんまり意識しないですぐ目の前にあるみたいなね、
ほとんど水?空気?みたいなね。(→必死の言い訳)
でもジブリ展とか、やっぱりワクワクしますねぇ!
ついこの夏も花巻の「アニメージュとジブリ展」に行ってここで報告したばかりですけどね。
盛岡でも去年、「鈴木敏夫とジブリ展」やってたしね。
それでもつい行っちゃうよね!ジブリはね!
楽しかったですよ!!
それに、私がこんなめんどくさい映画ヲタクに育ったのは、いろんなジャンルの映画を毎週テレビで放映してくれた金曜ロードショーのせいでもありますからね(?)
昔はエンタメが今よりもっと、いろいろと自由だったしおおらかだったしざっくばらんで適当で楽しい世界だったので、
犯人が逃走するときにわざわざシートベルトつけたりしなかったし、
刑事がノーヘルでバイクでショットガンをぶっぱなしたし、
金曜ロードショーでアホなパリピたちが無差別に理由もなくガンガン殺されていく「13日の金曜日」とか普通にやってたし。
そうやって、子供のころにいろんな世界を映画から、しかも家のテレビから知ることができたのがやはり今の私の映画ヲタクの原点ともいえるでしょうね。
そんな金曜ロードショーのいろんなデータなんかも垣間見られましたし、
ナウシカ、ラピュタなんかのド定番ジブリ作品の裏側も見られました♪
「もののけ姫」とか「千と千尋の神隠し」のころはもうすでにこの業界で(映画館通りで)働いていた私なので、鈴木敏夫プロデューサーの映画興行当時のお話もとても興味深かったです。
いやぁ~・・・・良い休日でした!
実は私、秋田県立近代美術館にはよく行くんですけどね、
帰りには必ず近くの横手市増田まんが美術館に寄るんです。
こちらもおすすめ。
こちらも楽しいのでぜひ!
ただ、冬は運転に気を付けて!
盛岡を出た時には晴れていたので、信号の無い道路をかっ飛ばして行きたくて鶯宿~沢内を通るルートで行ったんですけどね。
さすが全国でも有数の豪雪地帯。
まあどんどん雪が増えてきて、途中から目の前真っ白なホワイトアウト( ゚Д゚)
ほぼ遭難状態でした。
死ぬかと思った!!!
帰りはおとなしく4号線北上ルートで帰ってきましたよ。
みなさん、金曜ロードショーとジブリ展に行くならルート取り、気を付けてくださいね!
というわけで、トイレが詰まったら寒いしちょっと歩くけど裏の非常階段へご案内しますし、
暖房が壊れたら体育館みたいなストーブが出現しますし、
たまになぜかどこからか水漏れしてて通路にパーテーションが張られてたりもする、
どうやってもいつまでたっても昭和感満載の中劇。
それでも足を運んでくださるお客様のおかげで今年もいろいろありましたがなんとか無事に新しい年を迎えることができそうです。
来年も、たくさんの素敵な映画を上映できるといいなぁ・・・(´ー`)!
めんどくさいから配信で~とか、
観たいの無いからしばらく来ない~とか、
そんな寂しいこと言わないで、
ちょくちょく公式サイトをチェックして遊びにきてくださいね!
たまに得意のシークレット上映(予告なしにいきなり今週末から緊急上映とか)なんかもぶちかましますからね!
・・・いや、良くない。シークレット上映は良くないんですけどね。
興行的にも、お客さん的にも良くないんですけど。
でも大人の事情でそういうこともあるんですよね、どうしても。
なので許してください。
ていうか、家だと寝ちゃうので外で仕事しがちな私なんですが、
隣の席で一生ボールペンをカチカチしてる人がパソコンいじってるだけのはずなのにしょっちゅうドシン、ドサッ、ガタガタ、バンッとかするのが気になって気になって・・・!!
もっと静かにしてよね!気が散るじゃん!!
などと内心イライラしながらブログを書いている年末の私でした。
何をやってるんでしょうね、私こそ。
年の瀬の夜9時のカフェ、Lサイズコーヒー3杯目。
まあ、来年もこんな感じで。
無理せずのんびりマイペースでいきます。
それでは来年もスタッフ一同
より一層精進してまいりますので、
引き続きご愛顧のほど
どうぞよろしくお願い申し上げます。
皆様、良いお年をお迎えください。
★中劇公式サイト http://www.chugeki.jp/