2023年2月17日金曜日

「離ればなれになっても」が濃厚恋愛ものかと思いきや昭和世代の「それな!」すぎる青春群像劇だった件

こんにちは。
先日、一周りほど年下の子と話していて「中ズック」の話をしたら(上履きのことをこのへんではそう言う)、
「え、ちょっと待ってください!中ズックってなんですか?」と話を途中で止められ衝撃の質問をされたことにショックを受けた昭和世代のオバチャンです。
そう、知ってましたよ、「中ズック」が共通語ではないことぐらい。
都会では「上履き」ということぐらい。
「中ズック」が北東北を中心に使われている方言のようなものだということぐらい。
でもさ。
でもだよ?
まさかそこに、ジェネレーションギャップまで入ってきていたとは・・・・(゚Д゚;)
もう、このあたりでも「中ズック」とは言わないのか・・・・!
なんか・・・・都会に寄せてる感じがして好きじゃない!!(?)
中ズックでいいじゃないか!
このあたりではずっとこれまで揺るがずに「中ズック」って言ってきたんだからこれからもそう言っていけばいいじゃないか!
誰よ!?勝手に言い方変えたの!?やはり東京モンか!?
私が小学生の頃は、学校からのお手紙にもしっかり「持ち物:中ズック」と書いてあったんだから!!
中ズックと言うと、なんとなく「華美でない、シンプルなキャンバス地の靴」って具体的なイメージが浮かびますよね?
でも上履きって言うとざっくりしていて、高そうなスニーカーでもいいし逆にスリッパでもなんでもいい感じがしてわかりにくくないですか??
・・・・・・・・ま、どうでもいいですね(-_-;)
とにかくこのごろ、方言という素晴らしい文化が消えつつあることをなんとなく感じて寂しい気持ちになってしまうオバチャン化も進み、
TikTokだかなんだかよくわかんない今ふうな世界のなかで90年代のJ-POPが流行ってると聞けば「ほらね!やっぱり良いものは時代が違っても良いんだよ!」などと唾を飛ばしながら(やめてください)激しい合いの手を入れてしまったりもする昭和感丸出しの私でした。
そう、中学時代の待ち合わせは❝イイヅカ❞前(昭和の盛岡あるある)、
高校時代の土曜の学校帰りは大通りマック(今は盛岡のマックは国道沿いかイオンにしかありません)、
20歳ごろの夕方はC&A(大通りの真ん中にあった超オシャレなファッションビル)のカフェでバイトしてる友人のところで時間つぶしをしてからその真向いの「村さ来」のハッピータイム(生ビール半額)に行くという黄金ルートで過ごした、バリバリ90年代が青春時代だったゴリゴリのオバチャンです。
あ、共感してくれた方はズバリ同年代ですね。
今度、昭和歌謡を聴きながら飲みましょう♪
カラオケの1曲目は中森明菜森高千里です。
ビバ、90年代!フォーエバー、激動の20世紀!

そんなわけで最近、若かりしころの思い出に浸ったり、時間の流れに思いを馳せたりしがちなオバチャンがドンピシャなタイミングで観て、
「超わかるーーーーーー!!!わかりみ深すぎて泣ける!!」
ってなった作品がこちら。
「離ればなれになっても」
(C) 2020 Lotus Production s.r.l. - 3 Marys Entertainment
いやこれ、思いっきり濃厚なラブストーリーだと思って観たんですよ。
そういう宣伝だったので。
ノスタルジックで、せつなくて、キュンキュンする40年間の純愛ものなんでしょ?
ってね。
でも途中で、というかわりと早めに気付くんです。
・・・・・・・・え?思ってたんと違う(゚Д゚)!?
頭の中が永遠の中学生でアオハルフェチな私がもう思いっきり大好きな「思春期回顧系」で始まり、そもそも時代設定がズバリ同世代!!
ありがとうございます!!(?)
同世代の40年間はエモすぎる!!
この映画、濃厚恋愛ものではなくて私の大好物、青春群像劇でした!!!
なにしろ英題が「The Best Years」です。
エモ!エモすぎて沼!!(?)
私のような昭和世代のオバチャンたちが震えるほど心を揺さぶられる、
「スタンド・バイ・ミー」「セント・エルモス・ファイアー」
「男女7人夏物語」(!)、「東京ラブストーリー」(!!)・・・・
そんな映画やドラマを思い出す、大好きなジャンルです!
(→セレクトで歳がバレる!!)
(C) 2020 Lotus Production s.r.l. - 3 Marys Entertainment
今回のこの「離ればなれになっても」は、
主人公たちが16歳だった1982年、
色合いやざらざらした空気感までまさに私が多感な思春期の頃から夢中で見てた昭和のドラマを彷彿とさせる、思いっきり80年代から始まります。
主人公たちは私より少し上の年代ではあるんですが、私も確実にその同じ時代の空気感のなかにいたと実感できる、暮らしぶり、ファッション、髪型、
そして私が子どもの頃に憧れたお兄さんお姉さんたちの姿。
早く大人になりたいなーと思いながら見ていたドラマ「ふぞろいの林檎たち」「スチュワーデス物語」なんかも思い出す!(ザ・昭和!)
ローマの下町で出会った少年たちと、「ジェンマ(宝石)」という名前の美少女。
遊んで騒いで恋をして、いつまでもこんなふうに笑って過ごしていけると思っていたのに。
楽しい日々は突然終わりを迎えます。
設定としてはハイクラスな家庭ではなく労働者階級の人々が暮らす街。
それぞれにいろんな家庭の事情があることをさりげなく描き出しているところに、
みんなそうだよね、わかるわかる!と『共感』のボタンがあったら5万回くらい押したい気持ちになりました。
複雑な家庭らしいクラスメイト、誰もが振り向く美少女、
何をするでもなくただただ集まってバカをやってた仲間たち、
そして、あんなに仲良しだったのに引っ越してしまったら手紙の返事もくれなくなってしまったあの子・・・。
(C) 2020 Lotus Production s.r.l. - 3 Marys Entertainment
やばい・・・胸の奥にしまってたムズ痒い懐かしい感情を久しぶりに掘り返してしまった・・・!
と、ズブズブとノスタルジーの沼に浸りそうになったとき突然やってくるイタリア人の怒涛のラテン系展開
・・・・と、ここはあえてネタバレせずにおきましょう。
日本映画青春群像劇ではまずやらないであろうラテン系展開です。
ここまであんなにエモだったのに、そう来る!?みたいな。
うん、わからなくはないけど、でも・・・・そうなっちゃう!?っていう。
なんでも遠回しで、あいまいにすることが美徳みたいな日本人とは真逆の、
本能からの、どストレートでまっすぐな愛情表現。
さすがです・・・・!
まず観てください!
なんていうか、私は映画を観ていてこういうお国柄というか、民族性というか、そういうのが如実に顕れる瞬間がたまらなく好きなんです!
エッジの効いたおしゃれな映画も好きだし、
眺めてるだけで癒されるような絶景も、旅行したような気分になれるロードムービーも、
ゴリゴリのラブストーリーも、大好物の青春映画ももちろん大好きなんですが、
実はジャンルとかはなんでもよくて、
飾られた、それを見せるために作られたような映画とか撮られたシーンとかではなくて、
映画の中にどうしてもにじみ出てくる、民族性やお国柄、
そしてそこに生きるごくごく普通の人々の、当たり前の暮らしぶりやその時代の空気感、生活感やなんかが垣間見える瞬間にどうしようもなく魅かれるんですよねぇ・・・!
私がこの「離れ離れになっても」のなんともいえないイタリアっぽさ、隠しきれないラテン系を感じた時に思い出したのはやはり、イタリア映画の金字塔「ニュー・シネマ・パラダイス」でした。
名作中の名作である「ニュー・シネマ・パラダイス」ですけど、
もちろんめっちゃ泣ける、せつなくて懐かしくて素晴らしい傑作なんですけど、
あれ、いろんなバージョンがあるのをご存じでしたか?
国際的に高い評価を受け、世界中で愛される名作になったのは、一番短い「劇場公開版」
あれは私も大好きで、大好きすぎて、だいぶ後になってから公開された「完全版」だったか「ディレクターズカット版」だったかも観に行ったわけですよ。
銀座の映画館のレイトショーにね。
そしたら、なんか全く別の映画!?ってくらいに雰囲気が違う!
有名な劇場公開版が、❝万人受けするハリウッド映画❞だとしたら、
ディレクターズカット版は、❝マニア向けのイタリア映画❞
劇場公開版、さすがの編集テクニックだったんですね!
青年時代の描写をバッサリいってたんだね!
ちょっとしつこすぎるラブシーンに、私でさえドン引きしたもんな。
イタリア映画の、人間くささや生々しさが顕れる場面ではあるけど、
そこをまるっとカットすることであの名作が生まれたんだね!
編集でこんなにも違うなんて!
劇場公開版では全部カットされてた青年期の部分、
ちょっと長いし説明くさいし、たしかにあの映画で濃厚な恋愛エピソードは無い方がスッキリして主題が伝わりやすい。
なるほどねー!
約3時間のディレクターズカット版、ちょっと寝てしまったしヘトヘトになった帰り道、
「しかしとにかく長かったけどなんか面白い。。。」
と思った私。
作品としてどうか、なんてのはとりあえずそのへんに置いといて。
なんというか、そこに暮らす人々の姿をリアルに感じられる映画の魅力に気付いたというか。
ストレートな表現や底抜けな明るさのなかに泥くさい人間らしさがあふれるイタリア映画と、
どうやったって暗さやスタイリッシュな空気感がにじみ出てしまうフランス映画との違いなんかも面白いですよね。
お隣の国なのにどうしてこうも違うのかと思います。
イタリア映画は、名作「ニュー・シネマ・パラダイス」
美しい風景とせつないストーリーに心を揺さぶられた「イル・ポスティーノ」
そしてこの「離ればなれになっても」
どれも、カラッとした明るさやゆったりしたおおらかな人間性と背中合わせに、
人生のほろ苦さや世の中って甘くないよねっていう鋭い生々しさが容赦なく描かれるというか、とにかくなんともいえないそのイタリア感がたまらない!
(C) 2020 Lotus Production s.r.l. - 3 Marys Entertainment
「好きなら抱き合え!」
「でも離れちゃったら抱き合えないし、ほかの人好きになっちゃったらそれは仕方ないじゃん!ごめんて!」
っていうストレートさも、
それを言っちゃあおしまいよ・・・!のあたりを言わずにはいられない正直な人柄も、
性も人生もあっけらかんとしていて「だってそれが生きるってことでしょ!?」っていうシンプルさも、一周回ってなんか深い。
情熱的なノリと、シビアで乾いた価値観がごちゃまぜになって同居してるようなカオスな雰囲気もまたイタリアっぽい。
そもそも2時間ちょっとで若者たちの40年間を丁寧に描き切るなんてまず無理なので、
一瞬で10年とかたっちゃってるのは仕方ないし、
ちっちゃいことは気にすんな!とばかりに進んでいく、彼らの、私たちの40年間。
そのへんもラテン系のおおらかさが見え隠れして、私は好きです。
(C) 2020 Lotus Production s.r.l. - 3 Marys Entertainment
あ、そこは説明しないのね!
え、それはもうそんなことになっちゃってるのね?
みたいなツッコミをしていくのも楽しい。
そんななか背景にはさりげなく、ベルリンの壁の崩壊アメリカ同時多発テロなんかも挟み込んで時代を切り取り、
あの頃、遊んで騒いで無邪気に笑ってた❝俺たち❞のそれぞれのその後の人生を見せていきます。
仲間との楽しかった日々から離されてあまり幸せではない人生へと転がってしまうかつてのみんなのマドンナも、
なんだかんだで自分に自信がなく優しいがゆえに大事なものを手放してしまったあの人も、
親のようにだけはなりたくなくて必死で勉強して成り上がったもののあの頃思い描いた大人にはなれていないことに気付いちゃうあいつも、
夢を追いかけているだけで幸せだったのにどこかで何かをかけ違えてドン底に堕ちてしまったも、
なんだか私や私の周りの友達に似てる気がする。
誰でもみんな、大なり小なり、多かれ少なかれ、いろんなドラマを持っていて、
それぞれがいろんなものを抱えて前に進もうとしてるんだよな。。。
そんなふうに感慨深く観ているそばから、
「高校中退してママになったあの子は今、どうしてるかな」とか、
「そういえば中学卒業のとき引っ越してしまった大好きだった彼と数年後に再会したとき真っ黒に日焼けしてて上半身裸に白いオーバーオール着て(片方の留め具は外してダラリと下ろしてるので目のやり場に困った)めちゃくちゃチャラくなっててドン引きしたなあ(でも超イケメンだった)」とか、
ついつい映画とは関係ないことを考えてしまうので要注意です(?)
そしてイタリアは歴史的にも古くから発展していたため世界遺産だらけなうえに、
気候も良くどこからでもアクセスの良い土地柄もあって観光地としても大人気なので、
映画もやはり観光ガイドのような役目になりがちなんですが、
この映画は、そんなこれまでのイタリア映画とはちょっと違う目線なのも面白いところ。
どうだ!これがローマだぜ!世界遺産、すごいだろ!
なんていうわかりやすい描写は一切なく、
この映画に出てくるのはひたすら「故郷」であるローマ
大人になったジェンマが一人でローマに帰ってきたとき、
道端で車に乗った青年たちにナンパされるんですが。
ローマではそれが挨拶代わりですからね!なんたって、こんなチンチクリンの私にさえ声をかけてくれるローマの男性たちでしたから。優しいよね(?)
とにかくジェンマがそれを軽くあしらって足早に通り過ぎるのが、あの有名なコロッセオの前だったり。
仲間たちが久しぶりに再会して「なつかしいねー!!」とはしゃいで遊ぶのが、これまたあの有名なトレヴィの泉だったり。
そういうさりげなさが、粋なんです。
(C) 2020 Lotus Production s.r.l. - 3 Marys Entertainment
ここで無邪気に遊んでた若者たちが、やがて大人になり、立場も変わり、
関係性も変わっていく。
距離ができたり、いつのまにか会わなくなったり、再会したり。
三角関係になったり、選択をまちがったり、言いすぎたり。
そう!そうなのよ!わかるわかる!!
身に覚えがありすぎて、スクリーンのなかの彼らに思いっきり自分を重ねてしまってあちこち痛すぎる!
彼らは、私でもあり、私の周りにいる友人たちでもあり、
誰の胸の中にもあるはずの、甘くてほろ苦い日々に共感の嵐。
でもそこにはやはり、ラテン系の、底なしに明るくて前向きな、
地中海の青い空と青い海みたいにどこか突き抜けた幸福感があふれてる。
人生、いろんなことがあるけど、悪くないよね。
今が幸せならいいんじゃない?
そんなふうにハッピーな気持ちになる映画でした。
こんなしょうもない私の人生も、好きなことだけやってきたんだから仕方ないよね。
こうしかできなかったんだからしょうがない。
そう思えて、私もちょっとだけ自分に自信が持てた気がします。
恋愛ものかあ・・・と、ちょっと尻込みしてる方がいたら、
それだけじゃないのでぜひ観てみて!!とすすめてください。
なんだかんだ言って結局、旅行に行きたくなりますけどね!



そういえば、バレンタインデーでしたね。
ソワソワドキドキのバレンタインデーなどとっくの昔の5万年くらい前に過ぎていってしまった私としてはなんでもない「普通の日」でしかないのですが(もう推しにしか乙女心は動きません)、
バレンタインデー直後のちょうど今の時期はちょっと張り切ってコンビニに通います。
え?なんでって?
そりゃあ決まってるじゃないですか!
バレンタイン用の上等なチョコ菓子ががっつり値下げになってるからですよ!
あの有名なメーカーとのコラボ商品や、ちょっとつまむ用には高すぎるあのチョコレートなんかもガンガン半額シールがついてますからね!
こんな楽しいことないですよ( *´艸`)
昨日は緑のコンビニに寄ったから今日は青いコンビニ。
と、年に一度の幸せウィークです♪
・・・・・・・そう、こういうところがまたオバチャンなんですよね(-_-;)
もう、諦めましょう。
どう抗っても、オバチャンはオバチャンなので。
昭和世代のみなさん、
方言も、ジェネレーションギャップも、セールワゴンに吸い寄せられる性質も、
すべて受け入れて大事に抱きしめて進みましょう。
・・・・・・・・って、え、私だけ( ゚Д゚)!?


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