こんにちは。
ちょっとあたたかかい日が続いていたので、昨日今日の寒さにびっくりしました。
そうですよね、盛岡の冬がそんなに早く終わるわけないですよね。
4月に入っても雪が降る町です。
毎年、なんで「春と秋の服が無い!」とあわてるのか、
「もう春かと思ったけどまた雪降って寒いね」という会話をしてしまうのか。
ほんとに人って、忘れる生き物ですねえ。。。
それでも暦は3月です。
ずっとお知らせを続けてきた『キネマ旬報ベストテン』特集上映も、
残すところあと2作品となってしまいました。
明日からは、外国映画5位の『三姉妹~雲南の子』です。
(C)ALBUM Productions, Chinese Shadows
タイトルだけで、ちょっとした違和感を感じる方も多いと思います。
雲南、というのはもちろん中国の雲南省のこと。
中国では、今もまだ“ひとりっこ政策”が続いているはずなので、
三姉妹っておかしいですよね。
でも、ひとりっこ政策が厳密に守られているのは中国の都市部のほうだけで、
田舎の農村部や、奥地のほうでは子どもは、家族が生きていくための大事な頭数。
戸籍にのらない「いないはず」の子どもたちがかなりいるということです。
このタイトルだけでも、現在の中国がかかえる闇や問題が浮き彫りになっているのです。
この作品は、
ベネチア国際映画祭グランプリ、
ナント三大陸映画祭グランプリ&観客賞などを受賞。
世界中が驚愕したドキュメンタリーです。
母は家を出、父は出稼ぎに行ってしまった両親が不在の家で、
わずか10歳の長女が妹たちの面倒を見、
家畜の世話や畑仕事に一日を費やす。
その姿をカメラは、ひたすら見つめ続ける。
中国の映画は、私は個人的にすごく好きです。
政治的にどうかとか、人道的にどうなのかとか、反日感情がどうとか、
そんなことは映画の世界では関係ありません。
映画は、面白いものはなんでも好きです。
香港映画はもっと好きですが、
香港映画とは全く逆をいくのが中国映画です。
香港映画については、あとできっと語れる日がくると信じて、今日は中国映画について語ります。
中国映画を観て、衝撃を受けないことがないです。
『ラストエンペラー』に驚き、
チャン・イーモウ監督の作品たちに圧倒され、(政治的に問題があり、中国国内では上映されない作品ばかりの監督ですが、世界的には高く評価されている巨匠の一人です。厳しい歴史や現実を描きだすものが多いですが、「あの子を探して」や、「初恋のきた道」などは、中国奥地のさまざまな問題を取り上げつつもほんわかとしたあたたかい作品になっていておすすめです。)
『山の郵便配達』『こころの湯』『太陽の少年』などに感動し、(レンタルショップで見つけたら絶対観てみてください!ほんとに良いです!)
『さらば、わが愛~覇王別姫』に泣きました(こちらは4月からの「新・午前十時の映画祭」で上映します!必見です!!)。
最近では若い世代も面白い作品を発表していますね。
ジャ・ジャンクー監督の作品(「長江哀歌」「世界」など)もすごく良かったです。
経済的には急速に発展を遂げている中国ですが、政治的にまだまだ閉鎖的。
いまだに「検閲」なんて時代錯誤な制度を続けている国です。
自由な表現などは難しく、
映画などはどうしても外国の資本が入り、製作も海外になってしまいますが、
そのなかでもやはり現代中国の「今」や「闇」を描いていきたい人たちはたくさんいます。
平和なだけでは表現できない、中国にしか撮れないものがたくさんあります。
そういうものをやっぱり私たちも観たいと思うのですね。
中国映画に通じるものは、常に「生(生きる)」だなと私はいつも感じます。
『三姉妹~雲南の子』も、そんな「生」の輝きに満ちたたくましさにあふれています。
映し出されるのはハードな現実。
決してハッピーなほんわか映画ではないけれど、
「生きる」というエネルギーに圧倒される作品です。
是非、劇場でご覧ください。
ちなみに、上で紹介したチャン・イーモウ監督は最近、ひとりっこ政策に違反したということで
数億円の罰金を請求されていました!
都市部でもお金持ちの人たちは、
こっそり何人も子どもを持ったり、たくさんの愛人に一人づつ子どもを産ませたり(!)
しているようですが、罰金はその人の所得によって違うらしく。。。
有名になるといろいろと大変ですね・・・。
『三姉妹~雲南の子』公式サイト→http://moviola.jp/sanshimai/
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